年間ベストアルバム2021年(邦楽洋楽混合)
明けましておめでとうございます!
とかげ日記の年末年始の風物詩ともいえる年間ベストアルバム発表の時間です。
2021年もいろいろあったなー(遠い目)
では、10位からカウントダウン!
【10位】MANIC STREET PREACHERS『The Ultra Vivid Lament』
10位にはマニックスの新譜がランクイン。邦楽と洋楽の混合のベストアルバムをうたっているこの記事ですけど、日本語詞と英語詞の曲では、やはり圧倒的に日本語詞にアドバンテージがあると思います。英詞を歌詞翻訳サイトなどで読んで分かったつもりになっても、母語で聴いてすぐに意味が分かるのとは違うのです。
しかし、このアルバムは、英詞であっても言葉からはみ出るように熱が伝わってきました。特に一曲目の「Still Snowing in Sapporo」は珠玉の名曲です。パンクの熱さをパンクからかけ離れた流麗で洗練されたサウンドで結実させる実力に脱帽です。
【9位】笹口騒音『シン・世界』
上にバンドサウンドという衣をつけない笹口さんソロの意欲作。笹口さん率いるうみのて等の4バンドと比べ、笹口さんの表現の恥部があらわになっており、音楽を用いて表現するということの原初的な精神が輝いています。
【8位】桑田佳祐EP『ごはん味噌汁海苔お漬物卵焼き feat. 梅干し』
洗練されたポップスを作る職人が最近は明らかに少ない気がする…。J-POP黄金期の90年代と比べたら、その差は顕著。日本人のソウルフードを並べたタイトルのこの作品は、まさに日本人のソウルミュージック。このポップネスは桑田さんと日本のポップスでなければ出せない味だ。
【7位】Weezer『OK Human』
本作も洋楽で英詞のアルバムだが、聴いてすぐに意味が分からなくても、歌詞の主人公の姿勢や歌われている感情に親近感がわきやすい。そして、38人編成のオーケストラを使い、ギターレスである本作の良さは、その温かく包まれるようなサウンドと素朴かつスケールの大きいソングライティングにある。
【6位】踊ってばかりの国『moana』
サイケな歌ものの最高峰であり、何度も聴きたくなる中毒性もある間口も広いアルバム。人間性の浅いところから深いところまで掘っていくようなダイナミズムがあり、それゆえに霊性を感じさせるシャーマニックな要素が映えている。
【5位】ドレスコーズ『バイエル』
優しく、易しい「うた」を甘い言葉で歌う博愛のアルバム。今の世の中には、本作のように骨があり、温かい包容力のある作品が求められていると思う。世知辛さをまるごと包み込みながら、その先のまばゆい未来を想像(創造)させる、チェンバーポップの名盤だ。
【4位】SEKAI NO OWARI『scent of memory』
普遍的な良い歌ものであることを過去から継承しつつ、新たな表現の扉を開いたセカオワの新作。どの曲も特有のscent(≒匂い、香り)を放ち、世界観を持っている。本作収録の「周波数」が描くファンタジーは、2020年に父が亡くなった僕の慰めの力になってくれた。人によって意味付けは違うだろうが、セカオワの曲は一人一人の特別なエピソードに向かい合ってくれる。
【3位】ダニーバグEP『何も無い夏の肖像』
去年も彼らの新譜をベストアルバム上位に入れたけど、今作も素晴らしかった。一曲目の「ヤング」からして、ロックな温泉に入っているような心地よさ。彼らは何も無い日常の中で特別なことを探す。ニヒリズムに飼い慣らされないための心のこもった魂の歌がここにある。
【2位】夜に駆ける『生は苦しくて、美しい』
繊細でありつつ、神々しくさえある力を持ったvo.はしもとりおの歌声。楽器隊も誠実に彼女の歌唱を支え、闇が続く中の一閃の光のような世界観を保っている。そして、全ての曲に特別なサムシングがある。特にラストの「やめるときも、すこやかなるときも」のポエトリーリーディングとギターの轟音が訴えかける悲痛な切実さの意味を受け止めてほしい。
【1位】NEW OLYMPIX『202X』
まだ配信は開始されていませんが、笹口さんのPay ID(旧BASE)で本作をゲットできます。
https://preview.page.link/thebase.page.link/LGxX
また、ニューオリンピックス九州グループと東京グループによるお互いの演奏の応酬が魅力の本作ですが、九州グループによる7曲はすでに各種配信サイトで配信されているのでどうぞ。
圧倒的な表現の力と深さと幅広さ! シン・刺激、シン・感覚、シン・ひらめきのシン・時代のシン・アルバム! シン・ジ君もシン・ジロー先生もびっくり!
シティ・ポップが抑制の美学だとすれば、彼らの音楽はカオス・ロックで猥雑の美学がある。そして、僕はシティ・ポップよりもカオス・ロックの方がジャンルとして好きだし、本作は日本のカオス・ロックの金字塔だと言えると思う。
歌詞と演奏で言いたいことを思うままに言い切り、その鋭さで僕らを未知の世界に連れていってくれる。メタ視線で辛辣な計算高さと、計算せずに音楽に滲み出る高貴で下世話な精神による、相反する要素のダブル・パンチがたまらない。
今年は笹口さんも笹口さんが率いる4バンド(うみのて、太平洋不知火楽団、NEW OLYMPIX、笹口騒音オーケストラ)もさらなる飛躍の一年になってほしい…! 2022は笹口騒音歌手活動20周年イヤーとのことで、とかげ日記でも盛り上げていきますよ! まずはこのニューオリンピックス新譜のレビューを気合い入れて書きます。
とかげ日記が選ぶ2021年ベストアルバム
【1位】NEW OLYMPIX『202X』
【2位】夜に駆ける『生は苦しくて、美しい』
【3位】ダニーバグ『何も無い夏の肖像』
【4位】SEKAI NO OWARI『scent of memory』
【5位】ドレスコーズ『バイエル』
【6位】踊ってばかりの国『moana』
【7位】Weezer『Ok Human』
【8位】桑田佳祐『ごはん味噌汁海苔お漬物卵焼き feat. 梅干し』
【9位】笹口騒音『シン・世界』
【10位】MANIC STREET PREACHERS『The Ultra Vivid Lament』