Cloud Nothings『Life Without Sound』(2017年)
●邦楽厨の僕が興味を持ったきっかけ
黒い要素が入っている音楽は好きですが、モロにブラックミュージックだったりR&Bだったりする音楽は好きになれないことが多い。あれらの音楽って、黒人の演歌でしょう? あるいは、白人によるその模倣。自分の世界から遠い感じがする。だから、最近海外で流行っているそういった音楽からは置いてけぼり。The WeekndやJames Blakeの最新作は三回通して聴いたけれどほとんど何も感じなかった。ファレルやディアンジェロは興味を持って聴けたことを考えると、歌としてのキャッチーさやポップネスがないと僕はブラックミュージックを聴けないのだろう。
海外ではもはや主流ではないロックのさらに傍流のインディーロックの世界はどうなっているのだろう? ふと、そんなことを考えた。そんな時に、信頼しているある音楽ブロガーがアメリカのオハイオ州出身のインディーロックバンドであるこのCloud Nothingsを一押ししていたので、聴いてみることにした。
●聴いてみた
本作は#1「Up to the Surface」のひどく感傷的な鍵盤のイントロで始まる。エレガントでシックな曲調のロックサウンドに、おお、これは僕の好きなタイプの音楽だと嬉しくなる。
と思っていたら、演奏が盛り上がりを見せ、荒ぶり始める。荒ぶる演奏の中にも美学と知性があり、音にフェティシズムを感じる。
二曲目以降のメロディのポップなセンスはWeezerを思い出した。Weezerを始めとするパワーポップのバンドに通じるキャッチーさが本作にはある。
歪んだギターサウンドの重ね方は、Teenage Fanclubなどの往年のオルタナティブロックバンドを思い起こした。
音が立体的に入り組んでいてスリリングだ。ついついもう一曲、もう一曲と聴いていたくなる。しかし、ロックの華々しさが感じられなく、ロックが傍流に追いやられてしまったのも仕方がないかなという気もする。
Score 6.9/10.0