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ジェイムス・ブレイク『Assume Form』(2019年)

●正しいだけで日本の大衆を巻き込む訴求力がない


Travis Scott、Metro Boomin、Andre 3000、ROSALIAという豪華なゲストとコラボした、James Blakeの約3年ぶりとなる待望の4thアルバム『Assume Form』。


ジェイムス・ブレイクの甘い歌声が静謐なピアノや壮麗な電子音楽と化学反応を起こし、甘美な陶酔感あふれる音楽になっている。ハードな電子音楽というよりは、電子音楽を用いた歌ものという感じがした。


しかし、僕はこういうフワッとしたメロディよりも、もっとハッキリしたメロディの方が好きだ。鳴っている音像は好きなのだけれども、歌ものとしてメロディがちっともポップに感じられなかった。もっとも、前作までを聴いていると、これでもポップの外套を纏っているという気はするのだが。


二周聴いたけれども、こういう音楽を聴いていると、ガツンとギターが鳴っている音楽が聴きたくなるね。生音のドラムとベースが恋しくなる。要は僕はバンドサウンドが好きだということ。


洋楽が90年代までしかあまり聴かれない理由は明白だ。日本人が内向き志向になったという理由もあるけれども、洋楽が日本人にとってつまらない音楽になったことも大きいと思う。多くの日本人は歌メロが際立っていて、演奏にはっきりとした主張がある音楽が好きなんですよ。60年代のビートルズ、70年代のレッドツェッペリン、80年代のクイーン、90年代のオアシス、みんな歌メロが強いし、演奏にはっきりとした主張がある。


実験性とポップを両立させたレディオヘッドの足元にも及ばない。ジェイムス・ブレイクの実験性もポップネスもこの時代では正しいが、正しいだけで日本の大衆を巻き込む訴求力がない。レディオヘッドが偉大なのは、日本の大衆も巻き込む実験性とポップネスだったからだと思う。つまり、日本人でも理解できる歌メロと演奏の強度があったのだ。


もちろん、世界で見ればジェイムス・ブレイクは売れている。日本でジェイムス・ブレイクが売れるには、日本人の耳に変革が必要だと思う。こういうメロディ、リズム、アレンジがクールなのだということを日本人が実感できるようにならなければならない。残念ながら、僕の耳では理解できなかった。


ただ、ゲストのAndre 3000のラップは良かった。言葉の切っ先が鋭く耳を刺してくる。また、ジェイムス・ブレイクの歌唱も良い気だるさがあって素晴らしい。よって星3つ。

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