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Interpol『A Fine Mess』(2019年)

●骨太で濃密なバンドサウンド


インターポールが今年発表したEP。骨太なバンドサウンドがかっこいいし、エフェクトがかかったボーカルが渋い。これこそバンド。Franz FerdinandやThe Killersなどのポストパンクリバイバル勢や、The StrokesやThe White Stripesなどのガレージロックリバイバル勢が好きな方はぜひ。良いよ!


電子音楽全盛の昨今ですが、細かいニュアンスの違いを表現するために、未だにギター・ベース・ドラムは有効な訳で。手で弾き、手や足で叩いた音が強弱や長さ、ニュアンスも含めてダイレクトに音になる強み。各種のエフェクターがその強みを倍増する。電子音楽を作るために、鍵盤を弾いたり、コンピュータ上でドラッグやコピーアンドペーストしたりするよりも、豊かなニュアンスを表現できると僕は思っている。電子音楽よりもコントロール不可能な側面がバンドサウンドには大きく、そのコントロール不可能な側面が味になったり、ニュアンスを豊かにさせている。


そして、Interpolの音楽には、バンドサウンドで細かいニュアンスを表現する際のサウンドデザインの美学を特に感じる。その洗練されていて過不足のないサウンドデザインは、バンドサウンド好きならハマるはず! 簡潔なミニマリストのバンドサウンドだけど、地に足の着いたダイナミズムがある。


ソングライティングも売れ線に走らず、かといって過度にマニアックにもならず、良い感じ。過去のインタビューでも語っていたが、より多くの人たちに聴いてもらうために音楽を作るのではなく、自分たちのかっこよいと思った音楽を作るのだという意思が伝わってくる。そして、かっこよいと思って作る彼らの音楽をリスナーもかっこよいと思う幸福な関係がここにはある。


リリックは和訳が手元にないのでどんなことを伝えようとしているのか分からないのだが、過去のインタビューによるとInterpolの作品は一貫して愛と孤独とセックスについての濃密な詩世界を展開しているという。英語が聞き取れて理解できる人間になりたかった! でも、歌詞が濃密なことはサウンドの濃密さと合わせて筆致の濃い作品世界を作り出していることは理解できる。


僕は筆致の濃い作品が好きだ。ろ過された上澄み液のような筆致の薄い作品は嫌いだ。筆致の薄い作品は正しいことを言っているとしても自分がない。間違ってもよいから、濃密な自分と実存をリスナーにぶつけてくる作品が好きなのだ。そして、Interpolのこの作品には濃密な実存がある。


オススメは#1「Fine Mess」と#3「Real Life」。かつては、The Strokesと共にNYロック黄金時代を築いたInterpol。1997年から活動していて、未だにこんなに脂の乗った音楽を作れることが信じられない。


Score 8.2/10.0

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