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雨
芙蓉は雨を見ていた
芙蓉のめは、降り注ぐ雨の向こうにある
滅多な事には降らない場所を見ている
枯れ果てたその場所は
長く続く
墓標の地だ
芙蓉は知っている
その場所で葬られた人々は
取り敢えず、埋葬されたという現実を
そして、この後それを踏み躙るかの様な現実がある事も
芙蓉は
声にならない
言葉ですらない
もちろん、歌や綺麗なものではない音を
その音だけを、奏でた
誰にも知られないように
ただ静かに
ただの音のように
芙蓉は静かに目を閉じて
彼の龍を想い
再会を願うのだった