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私の 思うこと
私は、巫女の教育をうけるものたちとともに暮らす寮に戻った
途中で何人かとすれ違う
みな、髪を一纏めに後ろに長く伸ばしている
衣装は、芙蓉の頃に見た花魁とは違って上下の異国風のものだ
『あれって、大陸の向こうの…どこだろう…芙蓉は知らないはず』
様々な思いが頭の中で交錯するけれど、今は部屋に帰りたい
戸を開け、部屋に入る
そこは見慣れた場所
ここには数年暮らしているけれど、もともと巫女になる種族のありきたりの部屋だ
でも、その場所はまぎれもなく、私にとっての生活の場所
その事にほっとする
何か飲もうか
部屋には、温かいお湯を入れるためのものがある
時間が経てば、私たちの面倒を見てくれる方々が入れ替えてくれるものだ
お湯を注ごうとしたその時、
『…芙蓉…』
声?
私を?
『誰?』
『僕だよ』
『あ…!』
その声は、
「ジル!」
思わず、声が出てしまった
そんな自分に驚いて、思わず口をふさぐ
私は、こんなにももう一度
ジルに会いたかった