とりあえず笑ってみたんだけど
「ごめんなさいってなんだよ……」
「い、いやー、そのー」
「おいなんだよ、その申し訳なさそうな目は」
「うーん、と、そのー」
「おいなんだよ、その可哀想なモノを見る目は」
え?なになに、ユニークスキルなんだろ?チートなんだろ?チーレムなんだろ?心配になってきたぞ。
「説明しづらいんだけどね……」
おい、なんで視線をそらした。
「実はその、私のミスで……」
「は?」
「私のミスであなたに能力を賦与することができませんでしたーーーーーーー!!!!」
「……は?」
言ってる意味がよくわかりません。
「だ、だからね、予めステータスアップや能力を賦与する人数を予約しておいたんだけど、私のミスで予約の人数間違えたみたいなの……」
「え?つまり……?」
「あなたをトイレに置きっぱなしの方が良かったってことね」
そういうことじゃねーだろ。チートは?チートは?
「俺に能力は……?賦与は?」
「申し訳ございません」
「……」
「えーとだからね──って泣きそうな顔しないでよ!」
「誰のせいだと思ってんだよ!」
「うぅ、ごめんなさい」
これからどうなっていくんだよ……。ユニークスキルも?チートも?ステータスアップも?なんにもありませーん。これから剣と魔法の世界でーす。
いや。
死ぬわ。
「そ、そこでね、私がその責任をとってあなたの冒険の手助けをするから……」
「え?」
「そういうことだからそこまで落胆しないの!」
おや、これまじか?
神様、神様が直接俺を手厚く保護してくれるってか!?
チートじゃん!なにこれチートじゃん!
「だからそういうことだから、改めてよろしくねたけしさん」
「お、おう……マ、マリアさん?」
おいおいこんな綺麗な人と生活できると思ったら緊張してきたぜ。
「そんなさん付けもしなくて良いわよ、これから一緒に生活する仲じゃない」
「そ、それもそうだな、そ、そしたらそっちも俺のことさん付けしなくても……」
「それもそうね」
会話できてるじゃん、俺案外会話できてるじゃん。女子とまともに会話したのって小三以来じゃない?
「じゃあまず早速だけどこの森を抜けなくちゃいけないわね」
「そうだな、頼りにしてるぜ神様」
「ふふっ、任せなさい」
「ははっ、あっはははははははははは!」
「ふふっ、あっはははははははははは!」
いや、なに笑ってるんだろう。