問合せてるんだけど
うぅ……痛い。
意識が戻った俺は辺りを見渡した。
人の気配が全く無い、ちょっと他の学校の人達の着いた所よりだいぶ離れてるんじゃない?大丈夫ですか?
ここは森だった。見たこともないような巨木が沢山生えていて、葉っぱの層が厚いのか昼なんだろうけど全然明るくない。いかにもヤバそうな雰囲気。
「俺は……ここから一人で……なんの賦与もステータスアップも無いまま……」
あるのは役に立つか立たないかわからないユニークスキルのみ。
俺は一人途方に暮れていた。
「いったー……」
おや、俺の近くで聞き覚えのある声が聞こえるな。声のする方を見てみると、薄暗い森の中で場違いな銀色の輝きを持った女の人が居た。
俺はコイツを知っている。
「おい、なんでお前も居るんだ」
「てててて、いや、流石にあのままあなたを異世界に放り出すにはいかないでしょう」
最低限の道徳心はあるようだな。
俺はちょっとコイツを見直した、マイナス100からマイナス99.99くらいになったぜ。
「とりあえず、ちょっと神界に問い合わせてみるわね」
「おう」
問合せ、ってなんか現代的。
マリアさんが右手を挙げてなにか小さく呟くとその右手に光が生まれた。
「あのー、すいませーん、送迎担当のマリアなんですけどー」
あ、コイツ下っ端っぽい。
「はい、えーと、ちょっと調べて欲しいのですが、山田たけしさんについてなんですけど」
フッ、ここで俺のチートが明らかになるのか。
「はい、はい、はい、え?」
フッ。
「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!?」
えらく取り乱してるな、それほどに俺のユニークスキルは凄いのか。どんなスキルなんだ?詳しく教えろ。
「……はい、わかりました、申し訳ございません、はい、ちゃんと責任はとります……はい、えっ?……わ、わかりました……」
ん?なんだなんだ?
「では、失礼します」
言い終わると同時に右手の光は消えた。
「で、なんだったんだ?原因は」
「え、えーと、それはー、そのー」
おい、何故視線を逸らす。
「ご……」
「ご?」
「ごめんなさい!!!!!」
「は?」
なんか、神様に土下座されたんだけど。