賦与されないんだけど
おいおい、ちょっと待て。
「賦与できない?お前それどういう事だよ」
「しっ、知らないわよ!こんなこと今までなかったんだし……」
え?なにそれ?もしかして俺、神様の力すらはじき返す物凄い特殊能力を元々持っていたりとか?ユニークスキルって奴ですか?チートですか?
「仕方無いからせめてステータスだけでも他の人より大幅にあげてあげるわね……」
おいおい、良いのか?ユニークスキル持ちの俺にさらに他の人よりも大幅にステータスアップさせちゃって。
「……あれぇ!?なんでぇ!?」
「おいどうした」
「ステータスも全く動かないわ……どうしよう」
ちょっとそれは困る。
さっきの会話で他の人も多少はステータスアップしてる事がわかる。しかし俺は変化が無いときた。
まずいんじゃね?
「どどどどうしよう」
狼狽えるマリアさんに俺は冷たく言い放つ。さっきからイライラさせてくるしな、ここぞと言うときに仕返ししないと。
「いやさぁ、どうしようって……なんとかするのが神様なんじゃないですか?なんだっけ?全知全能?世界の創造?送迎バスの運転手?」
「最後の違うし!あぁ!もう!やだーー!!」
なんだ、神様の癖に俺達人間とほぼ変わらないじゃないか、いや、脳みそは人間以下かな。
俺は完全にコイツを舐め切っていた。
「なにか……方法は……って、も、もう着いちゃう!!」
「はぁ!?お前俺になんの賦与もステータスアップも無いまま異世界に放り出す気!?」
「うるさいうるさいうるさーーーーーーい!!」
「お前がうるさ──」
最後まで言おうとしたんだけど間に合わなかったな。
そしてまた俺の意識が途切れた。