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「君」は僕のもとに帰ってきた。  作者: RuikA
第五章
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君は猫。僕は人。

君と暮らして何年がたったんだろうか。もう、14年は経ってる。

僕もだいぶ年を取った。もうすぐ50歳になる。

君はもっと年を取った。人間でいうところの80歳くらいかな。


でも君の目の輝きも、声の透明感も何も変わらない。


・・・体力だけはだいぶ衰えてきちゃったね。

君は寝てることが多くなった。病院に行く機会も増えて、僕は心配。


もしかしたら・・・


ああ 何で僕はそんな不吉なことばかり考えてしまうんだろう。



ごちそうさま。

ごちそうさま。


君は大好きなツナを食べて、僕は大好きなハンバーグを食べた。

僕らは満足そうにいつもの定位置、ソファに座った。

何でもないバラエティー番組を見ながらふたりで笑う。僕はアイスを食べて、君は氷を舐める。僕らは冷たいものが好きなんだ。


突然君がケホケホッと咳をした。大丈夫?僕は背中をさそる。

あんまり具合がよくないみたいだ。病院に連絡しようとしてスマホを取ると、君は僕からスマホをあの時のように奪った。


大丈夫。私は、あなたといたい。病院に行っても、寿命はどうしようもないのよ。


ねえ。また君は、僕を残していくの?


君はまたケホッと咳をしたかと思うと、コテンと横になった。

僕は急いで毛布を君に掛ける。


君は咳が落ち着くと、むくっと起き上がって僕の方へ歩いてきた。

そして僕の膝の上で丸くなった。


背中をなでる。


ポトッ


涙が君の毛布に落ちる。

君はそんな僕を見て、笑った。


「ねえ。君は、また僕を残していくの?」


君は 何も言わなかった。

ただ、いつものように微笑んでいた。僕だけを見て。君の瞳には僕しか映ってなかった。


「いやだよ。。。そんなの。。。ほらやっぱり病院に行こう。 お薬もらえば元気になるよ。」


最期に貴方と離れるなんて、私はやだわ。


「最期なんて、言うなよ。 君は僕のそばにずっといてくれるんだろ」


貴方は、もう受け入れられる。


「っ・・・・」


私が死んだという 事実を。


「      」


私も受け入れられる。 もう 泣かないで。

ほら、私の目を見て。


「私はここにいるよ。もうどこにも行かない。」


「君は。。。また僕を残していくの?」


私は、幸せだったよ。

大丈夫。

君と私はこの後、何度生まれ変わったって、巡り会うんだから。

私はちゃんと君のとこに帰ってきたでしょ?

ほら信じて。涙を拭いて。




そして、私にキスをして。




僕はそっと君を抱き上げて、キスをした。



「愛してる。これからもずっと、そうだね。次は僕も君も猫だ。」


君と僕は笑った。一緒にツナ食べようね。


一緒に桜見ようね。


おうちでゴロゴロして、テレビも映画もみよう。


音楽も聞こう。


「僕のとこに帰ってきてくれて、ありがとう。」


どういたしまして。


にゃあ


君は綺麗な声でないた。


そして君はゆっくりと目を閉じた。


またね。


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