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【番外編】もう一つの夏 7月某日

ビーーッと、ブザーの音が鳴る。


俺の放った3Pシュートは、ゴールから(わず)かにずれ、リングに当たり床に落ちた。


中学最後の地区大会決勝戦。結果は_____






115対113



たったの2点。1ゴール差で俺達は負けた。


頬を汗じゃない別のナニカが流れる。



クソッ…アイツと約束したのに…!!



_____


「地区大会で俺らのチームが優勝したら、俺と付き合ってほしい」


俺、徳元隼(とくもとしゅん)は、今生まれて初めての告白をした。相手は3年間クラスが一緒で、男女別ではあるが同じバスケ部の星空藍(ほしぞらあい)


共に初めて顔を合わせたのは1年の部活のとき。体育館の中でだ。


…顔を合わせたといっても、体育館の男女をわけるネット越しでたまたま目が合っただけだけど…。


それからクラスが一緒ということに気付き、同じ班になったり隣の席になったりと、それなりに話す機会は多かった。


皆とは違う小学校だった藍は、初めは話す人はそんなにいなかった。でも、もとの性格の良さや、優しい笑顔ですぐに友達ができていった。


いつも笑顔を絶やさなかった。


そんな藍でも、真剣な顔をするときがあった。部活のときだ。


教室での笑顔は引っ込んで、スゴく真剣な顔で練習をしていた。


そのときの藍の表情は、いつもの笑顔よりも俺にはとても輝いてみえた。



そんな藍に俺が惚れるのにはそう時間はかからなかった。


教室での藍も好きだったが、何よりもバスケにひた向き姿勢、楽しそうに練習をする姿が、俺は1番好きだった。




3年間片想いし続けた藍に、俺は一世一代の告白をした。


「…本当に、私でいいの?」


「藍がいい。藍じゃなきゃダメなんだ」


「…私も、ずっと前から隼のことが」


「その先は!…俺から言わせてくれ」


「う、うん。…待ってる。地区大会、頑張ってね」


「ああ。絶対優勝する」


「約束だよ」



_____


約束、だったのに…。



大会の閉会式も終わり、皆帰っていった。俺は1人体育館の裏にいた。


「…隼!」


「!…あ、藍」


「お疲れ様。全部見てたよ」


「………約束したのにな」


「…うん」


「最後の最後で外すなんてな…ダセェな俺」


「ダサくなんかない!」


「え?」


「隼はダサくなんかないよ!今日は皆よりもずっと頑張ってた!優勝したいって気持ちもあるだろうけど、私の約束の為に頑張ってた姿が誰よりも格好よかった!!」


「藍…」


「結果なんかよりも、隼の気持ちのほうが私にとっては大切だよ…」


「分かった。分かったから…泣くなよ」



本当、ダメだな、俺。自分から約束したくせに守れず、その上好きな人を泣かせるなんてよ…。


だったら、今度は好きな人を笑顔にしないとな。


「…星空藍」


「なに…?」


「あの約束は、バスケ部の一員としての約束にしてもいいか」


「どういうこと? 別にいいけど…」


「これから言うことはバスケ部の一員としてじゃない。徳元隼という1人の男としての言葉だ」


「…?」



格好よくはないかもしれない。でも、ここで言わなかったら一生後悔する気がする。



「俺は、星空藍のことが好きです。俺と付き合ってください!」


「隼…!」


もし、断られたら俺はそれまでだったてことだ。約束1つ守れねぇ弱い男と見られるだろう。


それでも、今言わなきゃ俺は………!


「こ、こちらこそ(よろ)しくお願いします!」



__ああ、言ってよかった。


「ありがとう」


思わず藍を抱きしめた。


頬を涙で濡らしても、嬉しそうな藍の笑顔はいつもよりもずっと、綺麗に見えた。

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