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一年目 春 四月末

その日も何時も通り本を読んで過ごしていた。別に、変わったことをしていた訳じゃない。本当に何時も通りに本を読んでいたんだ。


なのに何故…


「ねえ、それおもしろいの?」


何故私に話し掛けてくるんだ聿之江倫翔!!


「ねえってばー」


「…面白いですよ」


「そうなの?」


「はい」


「ふーん」


自分で聞いておいて興味を一切持たないのか!

因みに、私が今読んでいるのは某赤毛の少女の物語である。男子にはあまり面白くない話かもしれない。



「おーい、倫翔!」


また人が来た…。


「一緒に外で遊ぼう、そんなヤツほっといて」


…同学年ならまだ反論出来るが、さすがにこの人は無理だな。

今私を『そんなヤツ』呼びした彼女は、四年生の仁志友香(にしゆうか)。女の子だが、目付きが少し怖いので私は苦手だ。体も大きい。反論したら何をされるか分からないし、何より危険だ。


そんな人だが何故か私の班の班長だ。恨むぞ神様。そして彼女は聿之江倫翔を一目見たときからいたく気に入っておりよく一緒に遊んでいる。


「うん、いいよ!」


よし、聿之江倫翔が外へ行くな。これでようやく読書が…


「君も一緒に行こう!」


「は?」


気付いたときにはもう腕を引っ張られていて、外へ向かっていた。私の腕を引いたのは聿之江倫翔だった。

いきなりの事なので何も出来なかった。後ろをチラリ、と見ると、仁志友香が私を鋭い目付きで見ていた。


「友香ちゃん、はやくー!」


元凶の彼はとてもいい顔で笑っていた。


「…! 今行くから待って!!」


呼ばれた彼女は慌てて私達を追いかけてきた。



____


…読書したい。


聿之江倫翔に腕を引かれ、グラウンドに出て早数分。六人の人が集まった。私と聿之江倫翔以外は全員四年生だ。

なにこれ鬼畜。


「何するの?」


「何でもいいよー」


「じゃあ鬼ごっこは?」


「いいね、それにしよう」


私いなくても別によくない?

しかも鬼ごっことか一番体力使う遊びじゃん。めんどくさい。


適当なところで学童の中に入ろうかな…。


「鬼誰にする?」


「私と倫翔はセットな」


「え~ズルいよ!いつもそうじゃない!」


仁志友香、そんなに聿之江倫翔と一緒にいたいのか。ていうか、他の四年生も聿之江倫翔がお気に入りなのか。良かったな聿之江倫翔、その年で年上のお姉さま方にモテモテじゃないか。


「ねえ、早く始めようよー」


聿之江倫翔の一声で鬼ごっこは(強制的に)始まった。



鬼? 四年生の人がやってるよ。


さて、いつ抜け出そうかな…。

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