4.伊坂なな
今日は1限から4限の授業しかなく、あーちゃんに部活動見学を一緒にしないかと言われたのを遠慮し、せっかくだしこの世界楽しもう計画に取り掛かる。
それにしても、結局同じクラスなのにリリアさんとは話さなかったな。
……と言うことで現在進行形でリリアさんつけてる。ブロンドに碧眼の女性はこの学園には彼女しかいないわけで見失うはずがない!!
変なところで意気込む癖直そう……
って、え? リリアさんどこ入る気?
いやいやいや、花の女子高生だよ。てか、なんでこんな部あるんだ。
【ホスト&キャバ】
……いやいや。なんでリリアさんこんなとこ入るかなぁ。
ゲームにあったっけ? 学校公認部活なのがまたどこから突っ込んでいいのか。
いや、まて。
そういえば一人いたホストっぽい攻略対象。名前なんだっけ。確かここのキャバ嬢はお助けキャラ的な。
帰ろう。そう思って回れー右。あれ、なんか暗いぞ。え、誰?
「お嬢さんせっかくだし入って行きなよ」
あー、思い出した。ナルシスト先輩。幸坂王子。
部活に参加しないと好感度が一定にしか上がらなくて面倒かった。
なに、リリアさんこんなの好きなの?
「間に合ってます」
失礼を承知でとにかく駈け出した。もう必死に。
二度とあんな所に近づくか。
生徒手帳にメモしとこう。リリアさん【ホスト&キャバ】に出入り。
久しぶりに走ったからか息があがる。
はぁっはぁっ。
「ん」
体制を低くして休んでいたら目の前にペットボトルが差し出された。
まじ天使現る。
恐る恐るペットボトルを受け取るとその人は持っていたタオルを私の頭にかけて走っていった。
急いで周りを見渡すけど誰もいなかった。私の手元に残ったミネラルウォーターと頭にかかったタオル。
どうすればいいの?
とりあえず近くのベンチに腰をおろして、貰ったミネラルウォーターを口に含む。
取り敢えず一息。はぁー。
声的に男の人だったけどなぁ。
それに、このタオルすっごく見覚えがある。
今日わかったことはゲームの世界は疲れる。