30.伊坂なな
黙々と目の前のプリントを終わらせる。テスト対策プリントというなのそれを私達はひたすらとき続ける。
「普通にテストあるの忘れてたな」
「喋ってる暇があったら手を動かしなさいよ、夏!」
ときどき聞こえる夏の愚痴とあーちゃんの怒声。いつもはもっと可愛いげある怒声なのだか、テストが近いこともあって鬼並みの迫力がある。ゲームの世界なれど単位を落としたら留年します。流石にそれは回避したい。と、言うわけで放課後教室で勉強をしている訳なのだか……
「二人とも落ち着いて? それに今更足掻いてもしょうがないです」
リリアちゃんの鶴の一言で静かになった。でも、今のは凄い胸に刺さったぞ。うん。現実を突き付けられた……。
ガクッと私が頭をおとしたとき、鷹司くんが追い討ちをかける様に付け足した。
「あぁ。それに前々から準備をしていなかったのが悪い」
うっ。私のHPが……。鷹司くんもリリアちゃんも結構なスパルタさんでした。帰宅部の私はあーちゃんと放課後ちょくちょく勉強したてから、それなりにはなってるんだけど柳原が結構ギリギリということで皆で勉強している訳なのだが。私的にこれは逆効果なのでは? と思ってしまったつい先程。
「鷹司くん、リリアちゃんも少し休憩しようよ。柳原、そろそろ魂抜けかけてるし……」
皆は一斉にやつれた柳原を見て不本意という気配漂う休憩が入りました。
なんだろう、このスパルタ勉強会。私が想い描いていたものと180度違う。もっと、きゃっきゃっ、うふふな感じだと思っていた私にはちょっとしたカルチャーショックだった。
おも苦しい空気を代えようと窓を開ける。さーと風を感じてら、この時ばかりは頑張れ柳原って思いました。
「私、飲み物買ってきますね。皆さん何がいいですか?」
「私も一緒に行くよー。一人じゃ大変だもんね」
っとあーちゃん。さすがあーちゃん。本当は私も一緒に行きたいのだが思っているより、ダメージは大きいみたいだ。
二人が飲み物を買いに行くと柳原は独り言に近い愚痴をいい始めた。
「あー、なんでテストなんてあるんだろうなぁー。紙の無駄使いだろ、絶対」
「お前は日頃から勉強してないからだろ」
「てか、どーして潮は勉強出来るんだよー」
「日頃してるかどうかの差だって言ってるだろう」
私は開いた窓に寄り掛かりながら二人の会話を聞く。なんだ、元気じゃないか、君。
私が一つ大きな欠伸をしたのを鷹司くんは見逃さず、心配される始末。
この世界に来てから初めてのテスト。どう勉強していいのかわからなくて、図書室にある学習テキストを片っ端からやっていたから、結構眠たい。全部解き終わるはずがないと高を括っていたのだか体がさも当然と動くので寝不足なのだ。
「てか、なながやってんのセンターの過去問じゃん!」
「ん? あー、もうやることやっちゃってそれ位しかすることがなくなっちゃって」
「そんな事を言ってる暇がお前にはあるのか?」
無いです……っとまた撃沈された柳原であった……。
にしてもっと、鷹司くんは私が今まで解いていた用紙を覗きこむと感心したように私の頭をぽんぽんとした。
「頑張り過ぎるなよ」
「う、うん」
パッと場が華やぐような笑みで頭ぽんぽんをする、鷹司くん。だから、する相手間違ってるよ!
でも、嬉しい事に代わりわなくついつい顔が緩んでしまった。最近の事が合ったからかとても安心する。
勉強頑張らないと。
十五分程で二人は戻ってきたのだがその両手には溢れる程の飲み物で溢れている。なんでも、ナルシスト先輩が奢ってくれたそう。あー、絶対イベントだったのに残念。でも、ナルシスト先輩。これは嫌がらせの域に達した愛情表現になっていると思います。皆思い思いに飲み物を選んでいく。まぁ、ただで貰ったんだし頂いておこう。
この日、柳原が灰になるまでスパルタ勉強会は続いた。お疲れ様です。あと、後で柳原にはメールでもいれてあげましょう。これで赤点取ったら命ないんじゃないの? と。
私も私で結構な性格ですから。思いの外、ルンルン気分で家まで帰ることができた。私はどのくらいの学力をもっているのかが確められる、絶好の機械です!




