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29.伊坂なな

野々村先輩については保留。考え過ぎて気持ち悪い。先の先まで予想しすぎ。これはショートするよ。深読みしすぎ。お風呂に浸かりながらまったり頭の中を整理する。あくまでもまったり。湯船に浸かるアヒルさんをジーとながめながら。 


「いつから私は伊坂ななになってたっけ?」


ふと思っていたことを口に出すと変な意味だが、自分が七海京子だって忘れかけていた。伊坂ななとして、最近は過ごしていたのだ。自分が自分を忘れてしまう、自分が自分を無かったことにするなんて。凄くややこしいがその事実に少し胸が痛んだのは本当だ。私はこの世界にとってのイレギュラー。その事を実感させられた。


「ふぅー」


一息一息。全然お風呂でくつろげなかった。一人になると考えなくていいことまで考えてしまうから嫌いだ。


「なな、お風呂上がったの~? プリンあるわよ。一緒に食べましょう」


「はぁ~い! 」


玲子お母さんの手作りプリンとろ~りしていて私好み。何個でも食べられます。髪の毛を適当に乾かしダッシュでリビングに向かう。だって、あやつに全部食べられてしまう! ダダダっと駆け込んだリビング思ったとおり私のプリンに目を光らせている。


「真守お父さん! それは私のプリンですぅ~」


「は、ははっ! まさか、可愛い娘のプリンを勝手に食べるわけないだろう!!」


いやいや、凄く物欲しそうにプリンを見つめているではないかぁ!

まあまあ、私は寛大なので半分あげてもいいです。でもそれはさんざん焦らしてからね。プリン大好き真守お父さん。お母さんともラブラブで優しいお父さんなので、私は大好き! 

その様子をお母さんが微笑ましく眺める。


「はい。後はお父さんにあげる!」


「いやいや、ななが食べないさい」


目をうるうるさせながら言う。もう! 全然説得力が無いんだから!


「あ~ん」


プリンを一口ぶんスプーンでお父さんの口まで運ぶ。パクっと口に入れる。やっぱり、口は素直です。いやー、犬に餌をあげるみたい。だって、一口食べるごとに笑顔が一段と明るくなって犬の尻尾が見えるよう。


「ななはお父さん、餌付けしちゃったわね」


ははは……お母さん。笑顔でそんなこと言わないで! 天然怖いよ! 可愛いけど。

見た目少女の美魔女のお母さん。とても、高校生の子持ちだとは思えません。しかも、女社長です。


「玲子さんもななも大好きだよ、お父さん」


「まぁ、嬉しい」


そういって手を握り締める二人を見ているとお似合いだなぁって思う。そして、こんな雰囲気になったら私は部屋に静かに引っ込む。だって、お邪魔だもんね!

幸せな理想的夫婦。私もこんな家庭をきずきたい。


(それはどこで誰となんだろう)


自分のベットにおもいっきりダイブすると身体が重力で沈んでいく。それと同時に心が沈んでいくのを感じる。

ごろんっと寝返りをうつと視界に入るのは壁に飾付けられた写真。最近新しい写真が増えた。だから、初めて見たように感じてしまう。高校生らしい自分と新しい友達。高校生入学式の時の集合写真、あーちゃんと二人で遊んだ時の写真、四人でアイスを食べた時の写真にこの前のGW合宿の写真。どれも、私である。


「鷹司くんの隣で私凄く顔真っ赤だなぁ」


最近、鷹司くんの新しい一面を垣間見た。やっぱり高校生なんだなぁと思った自分にお前もだろって、いいたい。柳原に対してはイケメン滅びろ‼ 


「はやく学校始まらないかなー」


こんな風に思えるの初めて。こんな風に思えるのは鷹司くや、あーちゃん、柳原のおかげなんだろうな。幸福者だね私! 



この時、私は忘れていました。今週からテスト週間に入ること。地獄のような二週間がまっていること!



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