27.伊坂なな
おはようございます。なんだかんだで私の番までまわってこなかった恋話。うん、よかった。あーちゃんが言っていたけど、大人の階段のぼる日がくるといいなぁ(笑)
それはさておき、りリアちゃんの気になる人がまさかの田中くんだとは驚きです。辛口キューティーボーイ田中くんに目をつけるとは、さすがヒロイン。でも、彼は攻略対象ではなかったはず。イレギュラー? 攻略対象諸君も髪の毛が思いの外目に優しいし……。う~ん。わからん。
「今日の朝御飯はりリアも手伝ったんだって?」
「はい! 二人と一緒につくったんですよ」
二日目朝御飯メニュー。実はりリアちゃんも一緒につくったんです。ただの朝御飯が輝いて見えるよ。食べるのもったいないね。
そして、りリアちゃんと部長のペアは見た目から何まで美味しい。
「ななすけ、顔」
ぱっと反射的に顔を押さえる私。きっとまた顔に出てたんだろうなぁ。私の事をななすけと呼ぶ人はサッカー部では一人。
「ほっといてください、野々村先輩」
「ガードかてぇなーお前」
「ご愁傷さまです」
相変わらず野々村先輩はちょっかいをかけてくる。暇な人だ。どうせなら部長さん達の所に混ざってくればいいのに。
「おはようございます。野々村さん」
そう言って、私の隣に男の人が座った。
「潮ー。今、俺が口説いてんのわかんない?」
「わかりません」
少し空気が邪険になったけれど鷹司くんが隣にいるなんて夢みたいだ。いや? これは夢? 思わず自分の頬をつねってみる。
うっ痛い。
「おはよう、なな」
「お、おはよう。鷹司くん」
思わず声が裏返る。私にも挨拶してくれるんだね。うん、幸せ。
今日も頑張れる。
「はよー、なな」
「おはよー。ななちゃん」
今度は柳原とあーちゃんが二人して私達の近くの席に座った。やっぱり、お似合い。今日はあーちゃん、天の邪鬼スイッチ入ってないし。
「あ、副部長もおはようございまーす」
おい、先輩に対してそんなに軽くていいのか? あーちゃんはすかさず叱咤が入った。
「おはようございますでしょ!?」
「はーい」
「もうっ! 野々村先輩すみません」
二人の茶番を見ていた先輩は満更でも無いように答えた。
「あー。いつもの事だから気にすんな」
先輩のこの言葉にあーちゃん、柳原の説教に入った。
「おい。あいつら付き合ってんのか? 」
私の耳元で囁いた。
私が答えようとしたら思いっきり体が鷹司くんの方に傾いた。思わず鷹司くんの腕にしがみつく。
「まだ、付き合って無いそうですよ」
近い近い近い‼ 距離近いよ! 何事ですか!
「ふーん。そっか、ご馳走さんでした」
先輩は鷹司くんと数秒間睨みあったあと颯爽と去っていった。いやいや、この状況なんなんですか!
「急に引っ張って悪かった」
「ぜ、全然大丈夫だよ」
ぜ、全然大丈夫なわけない! 顔真っ赤だよ、絶対。誰であろうと男性とこんなに密着したこと無いんだから!
「おっ! なな顔真っ赤」
やっとあーちゃんから解放された柳原。楽しそうだな。
「気のせいだろ」
顔が赤い私を他所に鷹司くんは何処吹く風。ぷぅ。気のせいではないです。意地悪!




