16.伊坂なな
「ポッキー美味しいね。あ、リリアちゃんもどうぞ」
恋のライバル相手にも優しいあーちゃんは神だ。
なんて思ってしまった。
ありがとうっといってポッキーを受け取るリリアさんは嬉しそうだ。そんなにポッキー食べたかった?
「葵ー。俺にもくれよー!」
「嫌だ」
あ、天邪鬼スイッチ入った。
あーちゃんは柳原限定で天邪鬼になる。本当にお似合い。
私共は現在サッカー部の合宿所にバスで向かっている。ノリが遠足なのが気になる。
「あの、伊坂さんって料理上手なんだよね?」
恐る恐る私に話しかけるリリアさん。確か私弱み握っちゃってるだったなー。とってもくだらないけどね。
「そこそこかな」
「プリンの作り方って知ってる?」
プリンを作りたいのかリリアさん。調理自習イベントがあるとしたらまだまだ先ですぞ。
まぁ、それくらいなら作れる。
「作れるけど……」
あ、目の輝きが増した。プリン君はどんな威力があるんだい。
たかがプリンの分際で。
あのプルプルのボディーは可愛いけれど。
「よかったら作り方教えて」
「うん」
こんなにリリアさんと話したのは初めてだ。
安定の可愛さと美しさを兼ね揃えてる。
この際、舌がとろけるようなプリン作ってみせる。
これは調理自習イベントを楽しむための下積みなんだと思えば楽勝だ。
「あ、二人共合宿所ついたよー」
なんだかんだて合宿初日スタート。




