黎明
空が茜に染まっていく
その空を見ながら安堵に包まれる。
今日も生き延びた。と
そして明日もこの景色が見られることを願うのだ。
明日も生き延びれますように。と
西暦2841年
科学の進歩とともに世界の崩壊が音を立ててやってきた。
突如現れたオニと呼ばれる謎の生命体。
剣や銃は効かず、人々はなす術もなくあっていう間に人口は1/10にまで減少。
ニホンは第一ボーダーラインが破られ、領土の1/5がオニの巣となっている。
それでも、人々は立ち向かった。
そして、“鬼呪”と呼ばれる術式が編み出され、鬼呪を込めた対オニ用特殊な銃弾が製造され人口の減少は抑えられている。………らしい
対オニ用武器が製造されようと少しずつ人々は犠牲者となっていく
そして、政府は対オニ特殊部隊―通称レイメイ隊―を設立。
私、朝比奈 咲良も本日付で第74期兵として特殊部隊の第1部隊に配属される。
はずだった。
「あんのくそ上官っ…」
「おい、抑えろよ。上官に聞こえたらどうすんだよ」
「咲良がそこまで言うとはね」
「だってさ、結城。模擬実戦でも全弾命中。なのになんで不可って評価な訳!?」
午前中の訓練で行った模擬実戦でパートナーだった結城 陽翔に思わず八つ当たりする。
そんな私を宥めるように笑うのは幼馴染みの東雲 彼方。
それでも、腹の虫が収まらない。昼食を持っていなければ地団駄を踏んでいただろう。貴重な食材の手前出来ないが…
特殊部隊の第1部隊に配属されるはずだった。
なのに、私はまだ訓練生として予備隊の訓練に参加している。
それもこれも、上官である狡噛 司が不可を付け続けるからだ。
同期は部隊に配属されて動き出してるというのに…
何も出来ない自分に歯痒さを感じる。
これじゃ、何のためにレイメイ隊に入ったのか分からない
今までと変わらないじゃないか。
「落ち着けよ咲良。」
「そうだよ。狡噛教官だってなにか考えがあって評価をつけてるんだよ」
「どんな考えか是非とも教えていただきたいけどね。
あのくそちび…目付きは悪い、口を開けば不可不可不可!どこが悪いか指導もなし!
性格ひん曲がってんじゃないの?」
「お、おい…その辺にしとけよ…」
「そうだよ、咲良」
「おまけにちび」