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魔王様の優雅な日常(笑)シリーズ

救世の魔王様は豹変するのがお好きw

作者: 鈴生彩架

修正:段落分け

 魔王って凄く悪い存在なのだ。

 なのだ。たしか。多分…

 

「よくきたな勇者」

 

 豪奢な玉座から立ち上がった邪神がそんなセリフを吐き捨てた。小物臭がする。

  さて、そんな小物邪神様に勇者と呼ばれた金髪のショt…ゲフン、少年は…お弁当を食べていた。

 

 もぐもぐもぐもぐもぐ…

 規則正しい咀嚼音が静かな空間に響く。

 ごっくん、と良い音を立ててご飯を飲み込んで少年は取り敢えず一言言った。

 

「僕、魔王ですけど。」

 

 時間が止まったように見えた。

 しかし実際には止まっていないらしく、そう言った勇者、もとい魔王はカリカリ梅を箸で器用に挟み良い音を立てて食べている。

 そしてうまうまと呟いている。

 

「ッて待てやゴラァ!折角5000年間人間が絶滅しない程度に悪さして勇者とのラストバトルを楽しみにしてたのにどういう了見やゴルラァ!頭かち割ったるで!大体魔王は普通邪神サイドやろ!」

「ゴクゴク…ぷはぁ!あ、すいませんもう一度お願いしていいですか?えっと『普通邪神サイドやろ!』の後から」

「それうちの台詞の最後やから言い直すとこあらへんしぃぃぃぃ!」

 

 邪神様はあまりのことで驚き過ぎてこの世界にはない関西弁を使い魔王様は戦場にて持ち前の呑気さを発揮していた。

 後ろでは聖女やら騎士やらが唖然としている。

 

「まぁええわ。で、うちを倒しに来たん?」

 

 もう関西弁で行くらしい邪神様。

 勇者は呑気に御馳走様をして答えを言おut

 

「そうだ!貴様の悪行、ここで叩きのめしてやる!」

 

 今まで背景と化していた騎士がいいところをかっさらっていった。

 

「よっしゃ、ならば戦争や!」

 

 騎士はオリハルコンの剣を抜き正面に構え、邪神は腰を低くして体制を整える。

 聖女は腰にぶら下げていたミスリルの杖を抜き己の神力を開放していつでも神言を唱えられるように整え、魔術師は魔鋼製の杖を目の前に据え己の周りに魔法陣を展開し始めた。

 闘士は拳を握り締めガァンッ!とアダマンタイト製のガンレットを鳴らし、魔物使いは鞭を地へと打ち付けドラゴンやグリフォンなどを戦闘態勢にさせた。

 

 一触即発の状況下では生唾を飲み込む音すら聞こえない。況してや誰もが動くことなどない。

 

「なんや坊主ら、こうへんのか?ならうちからいくでぇ!」

 

 豪ッと音がし、石造りの床に亀裂が入った。

 既に邪神の姿は在らず。邪神はこの刹那の時で騎士の目の前へと迫っていた。

 

 人間の視覚では到底捉えきれるものではない。それよりも速い速度で邪神の白い拳が騎士に差し迫る。

 しかしそこは流石歴戦を生き残った騎士と言ったところだろうか。咄嗟に身を後ろへ倒し攻撃を回避した。

 第六感が最大の警鐘を鳴らしたことによって騎士を一命を取り留めることとなったといえよう。

 

「全てを焼き尽くすは地獄の業火!その宿業を悔い身を焼かれろ!〈踊る(ダンシング)地獄の炎(・ヘルフレイム)〉‼︎」

「神よ、かの者達の能力の枷を解き放て!【限界破壊(リミットブレイカー)】‼︎」

 

 聖女の放った神術は騎士、闘士へと飛んで行きその青白く美しい光は彼等の体を包んだ。

 そして…魔術師の放った魔法が邪神を焼き尽くさんと迫る。

 邪神は即座に斜め後ろに飛び業火に目を据え手を突き出した。

 

「はっ‼︎笑止‼︎【業火よ凍れ】‼︎」

 

 神言を紡ぐ。神にとっては容易なことだ。むしろ神へ願う部分…祈祷詠唱を必要としないため邪神のほうが有利だと言える。

 彼女の手からは極寒の吹雪が放たれその業火をいとも容易く鎮火した。

 

「さあさあドラゴンちゃんたち!あの不健康っぽい肌白の邪神を料理してさしあげなさい!」

 

 間髪入れず魔物使いがドラゴン達を解き放った。

 容赦無く放たれる炎の咆哮や刃の嵐。それを見た邪神は不敵に笑い、

 

「たかがS級のモンスターしょくん?神に抗った罪は重いわ!【重力操作(グラビティ)】‼︎」

 

 突如増大した重力はグリフォンを圧死させた。ドラゴンも地へと堕ちる。しかし流石流というべきかその硬い鱗で落下の衝撃を耐え忍んでいた。

 

「“剛拳・159連打”‼︎」

「“見えない剣閃(インビジブル・ソード)”‼︎」

 

 着地した邪神に距離を詰めた騎士と闘士は人間の視覚速度では到底捉えられぬ攻撃を繰り出す。

 だがそれはあくまでも人間には。邪神はハッと鼻で笑いまるで子供に投げられたヨロヨロのボールを軽やかに避けるかのような動きで彼等の攻撃を避けた。

 

「フハハハハ!どうした!貴様らはこの程度かぁ!百年早いわフハハハハハ!【闇よ、かの者達を拘束せよ】‼︎」

 

 うにょり。

 彼等の影から縄のような形をした何かが出現し彼等を地へと拘束する。

 

「なっ‼︎」

「フハハハハ‼︎無様だなぁ!」

 

 高らかに笑う邪神。

 顔を真っ赤にして怒りを表す一同。

 そしてー

 

「おーこの玉座座り心地いいなぁ。」

 

 邪神の玉座に座って本を読む魔王様(笑)。

 

「…………は?」

 

 その様子に邪神はつい馬鹿のように口を大きく開けて絶句した。まぁ、騎士達もだが。

 当の魔王といえば…相変わらずのんびりしている。

 先ほどまで本を読んでいたかと思えば「うわーすごく良い眺めじゃん」とか言いながら外を眺めたり「よいこらせっ」とか言いながら時空の狭間(笑)から大きな円卓を取り出して椅子を並べたりしている。

 その端っこを陣取った魔王は一言。

 

「ではこれより和平交渉に入りまーす。双方、拳or剣or魔力or神力or魔物を納めて即座に椅子に座ることー。」

「「「「「「は…?」」」」」」

 

 何言ってんだこいつ、と唖然とする。

 1番始めにキレたのは騎士だった。

 

「何言ってんだよ魔王!こんかいは諸悪の根源である邪神を倒しに」

「その台詞って僕を倒そうとか意気込んでいた時にも言ってたよねー。馬鹿じゃないの?僕に勝てないでなんで邪神に勝てるとか思ったの?間抜けなの?」

「うっ…くそう!」

 

 騎士は拘束されたまま気を落とした!

 闘士のターン!

 

「会議なんて意味ねぇんだよ!男なら拳で語れ!」

「はい出ました脳筋の言葉ー。それで僕の家を半壊させたんだからただの器物破損の犯罪者だよね。しかも殺人未遂!うわぉ、ただの犯罪者!また罰金に虹硬貨を500枚払わさせられたいのかな?」

 

 ちなみに虹硬貨1枚500万円くらいである。

 この世界では命君は安くないのだ。未遂だけでも結構払わされるのである。

 ちなみに虹硬貨250枚が殺人未遂での罰金(うち半分を使えば協会本部の神使様が「ちっ金のためならしゃあねぇな…」とがめついことを言いつつも蘇生してくれる)、虹硬貨100枚が家の修理費、残り150枚が壊された備品の修理費や怪我しちゃった魔王のペット達…シモベたちの治療費等々である。

 

「…………」

 

 返す言葉もなく闘士は拘束されたまま気を落とした!

 聖女のターン!

 

「でっでも!我が主神である善神様は魔王を倒せと!」

「誰が殺せって言ったのかな?あと君話聞いてたの?」

 

 魔王は亜空間からボイスレコーダーを取り出した。(この世界に存在するんだー)

 中央のボタンをポチッとな☆

 

『……あーあー。あ、始まってるわね。はろはろー。私、善神と申します!えーと今回はちょっと人間を殺したりしてる邪神をぶん殴っ…お灸をすえる為に邪神を捕縛しにに行ってもらいます。なるべく無傷でよろ☆』

 

 なんとも軽いノリの神の声が録音されていた。

 ちなみにこれの生神託を聞いていた時の聖女さんは狂信フィルターがかかっていたため、

 

『妾は善神。

 最近妾の宿敵である邪神が妾の子供たちを殺しておると聞いた。妾は心を痛めておる。故に子供たちよ、現世に物理干渉できぬ妾に変わって邪神を倒して欲しい。頼むぞ。』

 

 と聞こえた。狂信って怖いね。

 

「うっわー無傷で、って言われてるのに攻撃するとかバカじゃないの?あっごめーん。馬鹿だってね。」

「あぁ…女神様…」

 

 聖女は拘束されたまま神に懺悔した。懺悔すんな。気を落とせよ。流れ守れよ。

 魔物使い&魔術師のターン!

 

「邪神が欲しいのよ!神なんて構ってられないわ!」

「邪神素材の杖…じゅるり」

「その理由で邪神倒していいなら僕とか怠いからこんなガチで面倒い旅なんかしなくてもいいと思うんだよね。しかも足手まとい付きでさ?」

「「……」」

 

 魔も使魔術師気落と(略)

 邪神のターン!

 

「なんやねん!ええとこで若造がでしゃばりおって!うちが何年この時を心待ちにしとったと思っどんねん!ぶち殺すでゴラァ!」

 

 邪神の拳が魔王に迫る。

 魔王は邪神の拳をつかんだ。そして無造作にポイ捨てした。

 邪神は頭から逝った!

 

「何すんねん!」

「面倒いなぁ…これだからわがまましか言わないガキと神は嫌いなんだよねぇ…他人の迷惑考えて行動しないとか社会不適合者すぎ。友達、いないでしょ?」

「うっ!」

 

 邪気落と(略)

 

「「「「「「だけど…」」」」」」

「あぁ?文句あんのか餓鬼が。まだ数十年とか数千年しか生きてない奴がしゃしゃり出るんじゃねぇよ!」

 

 魔王様はブチ切れました。

 口調が激変してます。

 

「「「「「「は……?お前今何歳?」」」」」」

「人に年齢を聴くときは自分から言え」

 

 割と正論。

 

「21歳」と騎士。

「34歳」と闘士。

「19歳」と聖女。

「28歳」と魔物使い。

「12歳」と魔術師。

「5652歳」と邪神。

 

「おお若い若い。俺はもう5186」

「なんやうちより若いー」

「億9289万721歳ってのになー。ああ、こんな老人を働かせないでほしいぜ」

「「「「「「は?」」」」」」

 

 正直魔王の見た目は10歳。

 一同、えっ何それ?みたいな感じです。

 

「はいじゃああの屑神…間違えたルーズバカ…じゃなくて駄神…違うな…ああもうオタク神でいいや!が、言ったのは邪神の捕縛だっけか?つー訳でもう弁解は聴かんからさっさとボコられてこい。いっそのこと殺されろ。はい、【いってらっしゃい!】」

「へ?」

 

 魔王(?)は神言を唱えた!

 邪神は掻き消えた。

 さよーならー。骸となって帰ってこい(笑)

 

「さーて、家に帰って寝るかね。」

 

 魔王は帰宅した。

 

 取り残された5人は一言。

 

「「「「「……何この茶番劇。」」」」」

 

 それはこっちのセリフだ。魔王はそういった。

魔王…合法ショタ。すごく年寄り。面倒いことが嫌いで面倒いと思うと性格が豹変する。得意なことは人を口論でねじ伏せる事。暴力反対と訴える。ただし物理チート持ち。魔法チートもあり。(本編では登場しません。)ファンシーグッズを集めたり可愛いペットを飼ったりキャラ弁作ったりと割と女子力が高い。女子も顔負けである。


邪神…日本の関西のどっかかくらの転生者。好きな食べ物はたこ焼き…では無くラーメン。おバカさんで脳筋。実は女の子。見た目は12歳くらい。合法ロリ。


聖女…狂信者さん。怖いよね、狂信って。余談だが体の凹凸は無い。


闘士…脳筋バカ。バトルジャンキー。むきむきな中年おっさん。


騎士…聖女さんに惚れてるおばかさん。実はロリコン。(だから聖女さんが好きなんですねわかります)


魔物使い…女王様☆な考えのお嬢様。実は何処ぞの公爵令嬢。嗜虐的な思考のお方。


魔術師…魔法のエリートな貴族の出。女の子。術式バカ。


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