第七話
部屋から出ると、どうやらマリウスや、一部の兵士は今後の行軍についてを部屋に集まって会議しているようで声が漏れてきていた。
そーっと歩いて外に出る。
別に出かけると言えばいいだけのような気もするが、ロベリア曰くイルレオーネの『国賓』として扱いたがるらしく、必ず護衛兵がつくようになると言うので仕方ない。
宿から出るとダミア村とは様相が違う、どちらかと言うと旅人を歓迎するのに特化しているように思える。
ダミア村は完全な農村と言った感じであったが、このヘブリッジ村は交易の中継点として栄えているようで宿もたくさん見える。
村と言うよりは町に近いかもしれない。
「うーん。アヤ、お腹すかない?」
言われれば確かに、空腹感が襲う。
もう日も落ちかけておりもう少しすれば完全に日が沈むだろうし、何より今日の昼はバタバタして出発の準備やらで食事を取っていない。
そこへ酒場や宿屋から匂いが漂って来れば空腹感に苛まれるのは当然と言えるだろう。
「どっか入るか?」
「うん」
あ、とアヤが声を上げる。
大事なものを忘れていた。
「……金がない……」
出かける、と言って景気よく出たのは良いもののよく考えれば単純な話、何もできることが無い。何しろ金がないのだ。
これではただただ、他人が食事しているのを羨ましげに見るだけ……苦痛以外の何物でもない。
「仕方ない……ロベリア、帰ろう……」
「ふふん、心配ご無用だよ! アヤ!」
ない胸を得意げに張るロベリア。
心配ご無用と言う言葉の意味が分かっているのだろうか。
ロベリアが素寒貧だと言うことはよーくよーく分かっている。彼女の中でお金になりそうな価値のあるものと言えばせいぜい着ている服と、あとは需要のなさそうな貧弱ボディのみ。
「私を誰だと思ってるの? イルレオーネの英雄よ? マリウスから聞いたでしょ?」
「まあ聞いたけど……それがなんの役に立つって言うんだ」
「このロベリア様ならトーゼン顔パスに決まってるない!」
「あのな……うちの村、ダミア村でだーれも顔を知らずに普通に少女として潜入できたことを忘れたのか? ん? 忘れたとは言わせんぞ?」
図星をつかれたロベリアがうぐぅと唸る。
「だいたい宿も酒場も商売、普通に考えたらタダでなんか食わせるなんてことあるわけないだろ」
「で、でもイルレオーネ守ったし……」
「それとこれとは話が別だ。それにマリウスから話聞いたけどな、俺が思うに周りの魔法使いたちが優秀だったんだ」
「なななななにを!! アヤは私の偉大さが分かってない!!」
「分かるか! ともかく諦めろ! 帰るぞ!」
ロベリアはアヤの言葉を聞いて酒場の柱にしがみつく。
どうやらガンとして帰らないつもりだ。どこからどうやれば顔パスで物が食えると言う自信につながるのか精神構造が理解できない。
「いーやー!!」
「嫌じゃない!! 離せ! このクソババア!」
「離さない! それにババアじゃないもん! ぴちぴちの百四十九だもん!」
アヤは酒場の柱からロベリアを引きはがそうとする。こちとら生理痛であんまり動きたくないのに、と思いつつもやるしかない。
このままでは本当に顔パス突撃してしまいかねない。
ちらちらと通行人が横目で眺めながら通り過ぎていく。
見世物じゃないぞ、と言いたいところであったが駄々をこねる、外見こそ十四、五の少女を十二、三の少女が引きはがそうとしていれば誰でも間違いなく見るだろう。
アヤ自身も絶対に見る。
「おまえら面白いな」
攻防に気を取られ、気づかぬうちに背後に立っていたらしい。
若い男に声をかけられて振り向く。
そこに居たのは三人組。ガタイの良い男と、細身の男、そして女が一人だ。
「お金ないんでしょ? どう? 少しくらいなら奢ってあげよっか?」
女性は少ししゃがんでアヤに目線を合わせて誘ってくる。
見ず知らずの他人に食事をおごるなどあり得るだろうか。
アヤは警戒してよく観察を――
「ほんと!?」
「ああ、もちろんだ嬢ちゃん何が食べたい?」
「ピッツァ!」
ピッツァじゃない、しかも妙に発音がいい。なんだその無駄な発音は、心の中でアヤは突っ込む。
純真無垢、何も気にせず二人の男と一緒に入っていくロベリア。一体何を考えているのだ。
奴は本当に百五十年と言う年月を生きてきたのだろうか。飴をくれる人について行ってはいけません、なんて言うのは三歳から五歳の間の子供の話のはずだ。
ロベリアが入っていく様子を呆然と眺めていると、女性が アヤの肩に手を乗せる。
「妹ちゃんも行こう?」
「……妹じゃないです……」
「あ、ごめんね。お姉さんだったかな? ほらほら、子供が気を使うなんてことしないでいいの」
そうじゃない、と思いつつアヤも促されるままガヤガヤ騒がしく繁盛している酒場へと入り席へ通されて、席には左隣にロベリア、正面には三人組が座った。
すぐに店員がやってきて、ビールとジュース、そしてピザを含めいくつかの料理を注文し、一息ついたところでガタイの良い男が話を切り出す。
「で、こっちのお嬢ちゃんはどうしてあんなとこで駄々こねてたんだ?」
「アヤが帰るって言うけど私はここで何か食べたかったんだけどお金がなかったの」
確かに要点は捕えているがそのバカっぽい説明は何とかならんのか、と思うがガタイのいい男には十分な説明だったようでなるほど、と頷いている。
他の二人、細身の男と女の方を見ればやはり納得しきれないようで首をかしげている。
お蔭か二人のターゲットはもっぱらアヤの方を向くことになった。
「ええと、アヤちゃん……でいいのかな? どういうこと?」
まずは女性がフォローを入れろとばかりに詳しく聞いてくる。
どうしたものか、と思いつつ無難にウソを交えつつ答えよう。流石に一銭もお金の持ち合わせがない、とは言えない。
「まあその、たまたま持ち合わせが無くて……それで仕方なく宿へ帰ろうかって話をしたんですけど、このバカが言う事を聞かずにですね」
バカと呼んでやったが反応がない。
ガタイのいい大男とどうやら気が合うようで、実のないどうしようもない話をしている。ついて行けない。
「なるほどね。宿ってことはアヤちゃんと……えーっと」
女がチラリとロベリアの方を見たのでアヤが答える。
「あー、ロベリアです」
「ありがと、二人はどこに行くつもりなの?」
「イルレオーネにまで、ですね」
目的地を答えたアヤの答えに反応したのか、ピクリと細身の男が動いてロベリアとアヤを交互に見やる。
何か気に食わない事でも言っただろうか、と思うが思い当たる節などない。
二人をひとしきり眺めると、細身の男がぼそりと呟く。
「イルレオーネにロベリアか……」
「ん、なに?」
女は細身の男が何か喋ったことに気付いて聞き返す。
その様子に細身の男がため息をつく。
「気付かないのか?」
「なにが?」
細身の男は、この女ダメだ、とばかりに嘆息し首を振りアヤの方に向き直る。
なんだか面倒くさそうだ、と思いつつも間違いなく話のターゲットにされているので諦めて男が話を続けるのを待つ。
「アヤ、と言ったか」
「はい」
「イルレオーネの英雄が失踪したと言うのが七年前と言うことは知っているな?」
あ、とアヤは思考を巡らせる。
ダミア村ではほとんど無名で余りにも有名人っぽくなかったため普通に名前を出したが、やはりこう言った場所ではそれなりに知っている人間がいるのだろうか。
イルレオーネとロベリア、考えれば確かに繋がってしまうかもしれない。
「あのロベリアがこの子? 違うでしょ。確かに女性とは言われてるけど、年齢的に……」
「いや魔族ならあり得る。人の魔族の寿命は人の五倍以上と言われているからな。魔力の質も人間のモノとは少し違う。だとすればこの容姿でも三十以上の可能性は……」
鋭い。
細身の男の推察通りだった。しかし三十と言う言葉が聞こえていたのだろう。隣で実のない話をしていたロベリアが細身の男を見る。
「オニーサン何か言ったかな?」
「ロベリアだったな。お前もしかてババ……んご」
「はーい、キサラギそこまで!」
「ババ、ってなにかなあ?」
女が細身の男の名前であろう、呼びながら口を押える。
一方のババアと呼ばれかけたロベリアはガタン、と大きな音を立てて細身の男の方に笑いながら身を乗り出している。
でも目が笑ってない。
キサラギ、と呼ばれた細身の男は口に当てられていた手をはがして抗議する。
「マユユ何をする」
「失礼でしょ?」
「だが」
「良いから黙りなさい!」
怒鳴られ、ッチと他を向く細身の男。
その隣で大柄の男は、おお怖い、と呟き、女はロベリアの方を向き直り謝罪する。
「ごめんね、ロベリアちゃん。ところでロベリアちゃんってイルレオーネの……」
「うん?」
「はーい、ごめんなさい! お料理お待たせしましたッ」
狙ったのだろうか、それともあそこのテーブルで何か起きるかもしれない、と思ってなのか分からないが、ウェイトレスが料理を運んできた。
プロの技だ、瞬く間に料理をテーブルの上に広げていって、サササと去っていく。
「とりあえず食べようか」
「そうだな。嬢ちゃんたち、遠慮せずに食いな」
女に呼応して大柄の男が頷いて食べるよう促す。一方で細身の男は面白くなさそうに嘆息をし、飲み物を煽っている。
ロベリアはわーいと先ほどのババア発言を忘れたかのか喜んでピザを口に運んでいる。たぶんロベリアの精神年齢は三歳か四歳で間違っていないだろう。
この先あまり一緒に行動したくない。
「あ、そうそう。自己紹介忘れてたね。私はマユユ。それでこっちの細い方がキサラギで、大きいのがクレス。三人で冒険者をやってるの」
「ふん」
「よろしくな嬢ちゃん」
こちらこそ、とアヤは当たり障りのない返事をするがロベリアは口いっぱいに食べ物を頬張ってコクコクと頷くにとどまる。
阿呆め。
で、とマユユが続ける。
「ロベリアちゃんって本当にイルレオーネの……?」
「んぐ、そうだよ」
ロベリアは口に頬張っていた食べ物を飲み込んで答える。
「やはり間違っていなかった」
キサラギはババア、とは言わないものの持論が当たっていたことに満足したのだろう。
飲み物を一気に煽る。
それにしてもロベリアは有名だったのか。流通のあるところになってくればこうして知っている人間もいるのだろう。
本拠地、イルレオーネまでたどり着けば恐らくもっともてはやされるのだろう。そう思うとアヤは憂鬱になる。
「で、今からイルレオーネに帰るとこ」
ロベリアはもぐもぐとチキンを頬張りながら続ける。
「やっぱりロベリアって有名なんですか?」
「そうだよ、アヤちゃん。まあ有名、と言うよりは冒険者の間で噂になってるって感じだけどね」
「噂?」
どう言う事であろうか。
噂として有名、と言う事になるとドラゴンの功績がだいぶ薄くなるような気がするが。
その疑問にはキサラギが答えてくれた。
「そうだ。ロベリア本人は当然、イルレオーネでの功績は称えられ賞賛されている。それが一般人の観点だ。だが冒険者は違う。ロベリアとラグナロクの存在が結びついているのではないか、と言う噂のほうが有名だ」
キサラギの後をマユユが続ける。
「今から十三年前かな、ラグナロクが言われ始めたのは。もちろん情報も何もなかったんだけどね」
「が、七年前、事態が急変する。発端はイルレオーネの有名な予言師でお目付け役のハンナだ。ずっとラグナロクを追っていたギルドがハンナの預言の情報を入手してな。それから操作を開始したと言うのが噂の発端だ」
ギルドの存在とそしてラグナロクの捜索。
そして十三年前。
一つ一つのピースがまるでバラバラのように思えて、けれども一つの紐に通せるようなそんな気がしてならない。
一度はゲームの世界アイリスだと結論付けた世界。けれども本当にゲームの世界で、ゲームの世界にトリップしたのであれば他の人たちは?
本当はインターネットと言う仮想空間の中に何らかしらの理由でもぐりこんでしまったのでは……
いや、とアヤは考えを振り切る。
そんな非現実なことはありえない。とは言え今も非現実だから確実に否定することはできないが。
キサラギが話を続ける。
「だがそのギルドも五年前、ラグナロクの捜索を打ちやめた。原因はギルドマスターの失踪だ。そこからギルドは方針を変えた。ラグナロクの捜索を打ち切ったんだ。ラグナロクの捜索を打ち切ったギルドは次第に衰退して今では小さな弱小ギルドの一つになったがな」
で、と真剣な面持と声で話をしていたキサラギとは対照的に明るくマユユが続ける。
「そーゆーこと。そっからはね、ラグナロクなんて騒がれなくなってすっかり沈静化したの。ただただ英雄ロベリアがラグナロクを発見したから捜索が打ち切られた、だの、やはりラグナロクは存在しない、だのと言われているけどね」
「ああ、だから今ロベリアが有名なのはドラゴンの討伐ももちろんだがラグナロク関連の噂の方だ」
そう言い切り、キサラギとマユユ、そしてクレスが忙しなく食べ物を口に運んでいるロベリアの方を見る。
最初に口を割ったのはクレスだった。
「って言ってもロベリアの嬢ちゃんがこれじゃあよ、ラグナロクも知らないんじゃねえか?」
「だろうな」
アヤですら思ってしまう。
確かにあり得なそうだ。
しかし、とアヤは考える。
この世界とアヤの持っているラグナロクの関係。そして十三年前と言えばアヤが生まれた年で、そして男であった頃、ラグナロクを手に入れた年だ。
何かのピースが繋がるのか、それとも……
「っつ……」
そんなことを考えていたら下っ腹が生理の影響か痛くなってきた。
空気を読めない自分の体にイラっとするが逆らえない。アヤは下腹を抑える。
アヤの様子に気づいたらしい、マユユがアヤを心配して話す。
「アヤちゃん大丈夫? お腹痛いの?」
「……大丈夫」
さすがにこんなところで生理です、なんて大声で言えたものではない。
「あー、そっか。アヤ生理中だもんね。初めてだし早くトイレ行っておいた方が良いよ?」
場が固まる。
特に男の塊っぷりは凄まじいもので食べようとしていたフォークとナイフが、そして飲もうとしていたグラスが完全に固まっている。
アヤは頭が痛くなる。
「……昼間、森の中で、周囲を気にしながらこの事実を告げたのに、今この場で言うとはどういう了見だ……」
「えー、だってご飯くれる人に悪い人なんていないもん」
「そういう問題じゃ……」
イラっとするが、クールに行こう。
出会った時を思い出せ、とアヤは自分に言い聞かせる。
「とりあえずアヤちゃん、一緒にトイレいこ? あとキサラギとクレスは今の話忘れなさい」
そういうとマユユはアヤの手を取ってトイレへと連れ出す。
アヤも何だか下半身から何かが出たような感じがして気持ち悪くなったのでそれに従う。
「ロベリアちゃんはデリカシーないね」
トイレへ駆け込み開口一番、マユユがアヤに言うがアヤは何も言わない。
男であった頃、日本でも生理中です、なんてのは聞かない。そう考え、そしてキサラギとクレスに知られたと思うと何だか恥ずかしい。
そしてロベリアの態度にはいらっとする。
「それにしても何にもしてくれなかったの?」
「なにも?」
何も、とはどう言う事であろうか。
「んー、その様子だと何もしてくれなかったみたいだね。ロベリアちゃんって高位の魔法使い、ようは賢者でしょ? だったら生理も魔法で何とかなるんだよ」
「え……?」
それは全くの初耳だった。
隠そうとしていたのか、それとも忘れていたのか先ほどの生理暴露と一緒に後で問いただす必要がありそうだ。
「治癒魔法の一種でね。結局さ、血が出るって言うのはまあ怪我……ではないけど似てるからね」
「そうなんだ……」
「そ、だから女の子はみんな魔法使いを目指すんだよ。楽になるからね。今日はおねーさんがやってあげよう」
そういうと治癒魔法をかけているのだろう、下腹の辺りが仄かに輝いて温かくなり楽になる。
この感覚を覚えておこう。治癒魔法は得意ではないものの、使えればあまり生理については気にせず済むし何より魔法が使えるのに使わないのは勿体ない。
「どう?」
「ありがとう……楽になった……でも」
アヤが下半身を見る。
まだべたべたとした感覚が残っている。
こればかりは捨てておかないと面倒だ。
「あー、うん。外で待ってるからね。綺麗にするんだよ」
そういうとマユユは外に出る。確認してからアヤはパンツを下して血が付いた布を捨て、きれいにふき取り、再び履いてトイレから出る。
ようやくすっきりした。
腰も、下腹も痛くない。まさに快調、絶好調だ。
「じゃあ戻ろっか」
こくり、とアヤが頷いてお礼を言う。
テーブルのあった位置であろう、その場所に戻ると兵士たちが占拠していた。
これはもしや……とアヤが考えていると兵士をかき分け、ロベリアの片手を掴んで連れながらマリウスが現れる。
「ア、アヤ殿! どういうことですか? アヤ殿であればもっと常識があると……」
「……もしかしてマリウス王子? 一緒に来てたのってもしかして」
とマユユはアヤを見るので頷いておく。
確かにそうかもしれない、とあきれ顔で呟くマユユ。
「これは冒険者殿、ロベリア殿とアヤ殿がお世話になりました。申し訳ない」
そう言ってマリウスは兵士に合図し、金を渡す。
「私たちが勝手にやったことなのでそんな……」
「そういう訳にも行きませぬ」
まるで保護者とその友人の親みたいなやり取りだ。
ロベリアの扱いはいつもこんな感じだったのであろうか。そんな疑問すら感じてしまう。
うーん、わかりました、と渋々ながらもマユユは受け取る。
「さ、ロベリア殿、アヤ殿帰りますよ」
「はぁーい」
不満そうな返事をするロベリア。どうやらよほど楽しかったらしい。
「もう行ってしまわれるんですか?」
「冒険者殿、申し訳ない。明日も早い故、さすがに兵士をこれ以上使うわけにもいかぬのです」
マリウスがそう説明するとマユユも、キサラギも納得したようで、名残惜しそうにロベリアとアヤの頭にぽん、と手を乗せて撫でてくる。
「うーん、そっか。ロベリアちゃん、アヤちゃん、またね」
「嬢ちゃん! たただものじゃないと思ってたぜ! だが関係ねぇ! また飲もうぜぇ!」
「やれやれ、まさかロベリア嬢からこんな大物が出てくるとはな……」
「マユユさん、キサラギさん、クレスさん、こちらこそお話ありがとうございます」
「楽しかったよ! また会おうね!」
それぞれがそれぞれの別れを告げアヤとロベリアはマリウスに引きずられるような形で酒場から出ることになったのだった。