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Prologue

幕間、的な感じですがプロローグと言う形にさせていただきました。

本編にはつながる予定……です。

 どこまで行っても薄い緑一色の大地の静寂に包まれていた。

 いくら先を見つめてもそこに居た四人以外の誰一人としておらず、それどころか風も、雲一つすらもない。

 あるのは遠くに見える巨大な大樹のみ。


 一人の体の線が細く、髪の長い整った顔立ちの男が静寂を破る。


「この辺りか……」

「そうね」


 答えたのは杖を持った女。

 四人は何かを探しているようにも見える。

 まるでそこにあるのに、ない、とでもいうかのように。


 するとゴロゴロとまるで雷のような低い声をならし巨大な龍が舞い降りて来て、四人に話しかける。


「遅いぞ」

「すまん」


 男と龍のやり取りがあった瞬間、キシャアァァと何かの悲鳴のようなものが上がる。

 現れたのはガーゴイルやコボルト、ゴブリンからサイクロプス、リッチ、と言った実体のある魔物からウィルオーウィプス、ウィスパーのような実体のないものまで。

 雲一つない空を彩ったのはワイバーンや巨大なヴリトラ、青竜と呼ばれるドラゴンまでその数は大よそを見積もっても百は超えるだろう。


「来たようだな」


 巨大な龍が四人に向けて言葉を放つ。

 響き渡る低い声は四人へ向けて言ったのにも関わらず、現れた魔物たちをも恐怖だろうか、震わせる。


 女が目を閉じ、杖を一つ地へ向けて叩く。

 すると巨大なタイタンとティターニア、そして真っ黒なヒラヒラとしたフリルのついたゴシック調の少女が一人、まるで何かの扉から現れたかのように姿を現す。


「解散」


 女がたった一言、言葉を発すると召喚された三体の使い魔は魔物と激しくぶつかり合う。


「辛いわね。ジャック」

「あいよ」


 女にジャックと呼ばれた小柄な男は直ぐに反応し、叫ぶ。


「リヴァイアサン!」


 広大な草原をまるで海のように見立て、巨大な水龍が現れる。

 リヴァイアサンはすぐに状況を把握したのだろう、魔物とぶつかるティターニア、タイタン、そしてゴシック調の少女の方へとうねり、向かう。

 だが、ジャックと呼ばれた男はそれだけでは終わらない。


「ジン!」


 再び、ジャックと呼ばれた男が叫ぶと風を纏い、剣を握った男が現れる。

 それを一瞥した巨大な龍は不機嫌そうに言葉を吐き捨てる。


「ジャック、そいつを呼ぶな」

「ッチ、こちらからも願い下げだ。ニーズヘッグなど見たくもない」

「そう言うなよ。今はそれどころじゃないだろ?」


 現れたジンとニーズヘッグと呼ばれた龍の間をジャックは取り持つが、双方の不機嫌さは増すばかりで、仕方ない、とばかりにジャックはジンへ指示を出す。


「ジン、後にしろ。まずはリヴァイアサンを助けるんだ」

「ふん」


 ヴリトラに絡みつかれたリヴァイアサンへ向かい、そして――ジンはヴリトラを風の力で大きく吹き飛ばす。


「助かった」


 ニーズヘッグが水龍であったにも関わらず声を上げる。

 しかしすぐにヴリトラは起き上がり再びジンとリヴァイアサンへ向かってくる。

 ジンとリヴァイアサンが構えたところで、ふわり、とゴシック調の少女が間に立ち入った。


 少女はヴリトラへと手をかざす。

 するとカチカチと時間が巻き戻ったかのようにヴリトラは委縮し消滅する。


「ジン、リヴァイアサン、彼女をお願い」


 少女がそう言って指差すと、少女を召喚した女の周囲に魔物が群がり始めており、細身の男と大柄な男が二人で相手をしている。

 なるほど、確かにはた目から見ても厳しいと言えただろう。


 ジンとリヴァイアサンは頷き女の方へと向かい、そして指示を出した少女は向かってくる魔物を一閃であしらい大樹へと向かう。


「さあ、出てきなさい。忌々しい」


 少女が大樹に語りかけると、まるで呼応したかのように、ぐにゃり、と樹液のように大樹から毒々しい紫色の『何か』が現れる。

 嫌悪の眼差しをその『何か』に向け、少女はヴリトラを屠った時のように手をかざす。


 うねうねと毒々しい何かは少女に手を翳された瞬間――四散する。


「しまった!」


 少女は焦った様に声を上げて、少女を召喚した召喚士の女の方を振り返る。

 ――だが遅かった。


 ぷつり、と少女の視界は途切れた。

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