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一、

 『内側の世界』って知ってる?

 

 ネットではそんなうわさが流れていた。うわさと言っても都市伝説の類で、伝わる過程でいろいろ話がねじ曲がって実際とはちがうものになっている可能性が高い。

 この話は大きくは報道されていないが、ほぼすべての日本人が知っていることだ。ネットが発展したおかげかどうか情報がどんどん広がっていったのだろう。

 そんな話を現代の学生が知らない訳もなく、うちの大学のうちのサークルではその話題で持ちきりだった。と言うのも僕の入っているサークルと言うのがいわゆる「オカ研」と言うものだからしょうがない。大学生にもなってそういうのはどうかと思ったが、他に興味を示すものがなかったからしょうがない。



 新暦(しんれき)十年。日本の仕組みは変わった。五年前、政治にAIが導入されたのだ。その時にはどの放送局でも大きく報道された。政治にAIが導入されたのは前代未聞の話だからだ。

 はじめはどんな利益があるのかは分からなかった。しかしその効果はすぐに出始めた。ぐんぐんと景気が良くなり、犯罪も減り日本の国際地位もアメリカに次ぐものとなった。

 そんな高成長を遂げた日本だったが、ある時急変した。自衛隊が暴走したのだ。

 現在アメリカにある基地を自衛隊が独断で攻撃した。そのことはすぐさま世界中に伝わった。さまざまな国から批判を受けたが日本は動じなかった。だが、当然被害を受けた側のアメリカが黙っているはずもなく、日本に対する関係性を全て断ち切ってきた。

 世界のトップにたつ二国が対立したことにより、世界に大きな亀裂ができてしまった。再び冷戦と呼ばれる時代に入ってしまった。

 当時の僕はまだ中学生だったが、このことが世界にどのような影響を与えるかくらいは理解できた。だがこの事件のおかしな所には気づくことはできなかった。

 しかし今ならそれは出来た。

 どう考えてもおかしい。そう思った僕は少し調べてみることにした。最近は暇していたのでちょうどいい。

 とりあえず当時の新聞でも見てみることにした。 かなり大きな出来事だったが良く覚えていない。これでも記憶力に関しては自信がある方だと思っていたのだが。

 図書館に行けばすぐに見つけることが出来た。一面に大きく載っている。

【まさかの出来事。自衛隊、米軍基地襲撃】

そんな記事だ。

 しかし求めるようなことはなかった。日本国民全員が知っているようなことしかしない。まあ当たり前と言えば当たり前だが、どうにも腑に落ちない。そもそも日本の自衛隊がアメリカのそれを攻撃できるような兵器があるのだろうか。あくまでも自衛隊は「自衛」を目的としている。攻撃には適していないはずだ。それなのになぜ完全に壊滅状態に追い詰めることができたのだろうか。



 一人では分かりようにないのでサークルの先輩達に協力してもらうことにした。

「で、君。何を手伝ってほしいの?」

「自衛隊の米軍基地襲撃事件について気になることがあるんです」

大体の説明と、調査内容について説明した。

「そうね。確かに少し不自然なところがあるわね。あと都市伝説となったらオカ研として調べてみたいしね」

 オカ研のメンバーは僕と愛華先輩と後輩の守の三人だ。少しさみしい人数だがこれでも十分活動している。しかしオカ研の活動実績についてはあまり良くないが。

 翌日、守が報告書を持った。

「自分が調べられることを調べてきました」

と言って資料を差し出す。少し目を通してそこにおどろくべきことが書かれていることに気がついた。

「アメリカ軍基地襲撃事件に自衛隊が関与していないだって!」

当時あんなに大きく報道されていたのに。数年たってこの事実だ。

「どこでこれを?」

「知り合いに元自衛隊員がいたので。聞いてみました。当時のニュースでは防衛大臣が記者会見を開き、自衛隊がやったとおっしゃっていましたが、それは全くの嘘らしいです。僕が聞いたのは普通の隊員ですから」

「じゃあ、政府が何らかの意図を持ってその事件の犯人集団を隠ぺいしたってことか?」

こう聞かずにはいられない。

「その可能性も十分あり得ます。しかし国ぐるみで隠ぺいとなるとそうとうやばいものが関わっていそうですが」

そうすると今までずっと話をきいて聞いてばかりだった愛華先輩が目を光らせてとんできた。

「隠ぺいだって! その話詳しく聞かせて」

分かりました、と言って守は僕にした話をもう一度説明する。

「政府の陰謀とかそういうのも考えられるね。これ、面白そうだからもっと詳しく調べてみましょう」

 しかし実際にこれを政府が意図して隠ぺいしたとしたら大問題である。真実だとしたらせい政府の陰謀と言う可能性も、愛華先輩の言うとおりあり得る。詳しく調べてみる価値はありそうだ。

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