5
前に書いていた異世界物に比べるとアクセス数がだいぶ減りましたね・・・。やはり時代は異世界物になってしまっているのだろうか?
店を出てアパートに帰る途中。携帯からメール着信音した。見てみるとメグリちゃんからだった。
【手代さん。大丈夫だった? メグリ】
【うん。もう少しで危ない所でリンコさんの娘さんが助けてくれました。 手代】
【良かったぁ。ごめんね。リンコ社長って、めちゃめちゃ酒癖悪いの。まさか面接の日にお酒飲みに連れて行くとは思っていなかったら・・・ メグリ】
酒癖が悪い?いや、あれはそういうものじゃない気が・・・
【まあ、大丈夫だったし、娘さんがちゃんと仕事のほうは連絡してくれるって言っていたから。 手代】
【ああ、リコちゃんね。あの子。高校生なのにしっかりしているから、任せて大丈夫だと思う。 メグリ】
【そうなんだ。あれ?リコちゃん?なんか、リンコさんは別の名前で呼んでいたような・・・ 手代】
【ごめんごめん。リコちゃんは愛称で本名はヒカリコちゃんっていうの。 メグリ】
【ああ。確かそう言っていたね。そうそう。たぶんあの店でしばらく作業することになると思うから、よろしくね。 手代】
「え?そうなの?」
返信をしたら、後ろで誰かのメール着信音と共に声がしたので振り返るとそこにはメグリちゃんがいた。
「あれ?メグリちゃん?」
「実はリコちゃんに電話で知らせた後、心配で私も居酒屋のほうに行っていたの」
「そうだったんだ・・・。あれ?でも、マンションはこっち側だよね?」
「うん。駅から来たの。隣町に買い物しに行っていたから」
「え?もしかして、買い物途中でこっちに帰ることになっちゃったかな?」
「ううん。買い物が終った後に面接の結果が気になってメールしたから大丈夫」
「そっか。なら良かった」
そのままマンションに帰るというので、途中まで一緒に帰る事にした。すると、にやにやしながらこちらの顔を覗き込むようなしぐさで腰をかがめて覗き込んでくる。
「もしかして~。余計なことしちゃったかな?」
「え?何が?」
「リンコ社長とのこと」
「いや。助かりました。急に脱ぎだすからびっくりしたよ」
「あ~。やっぱり脱いじゃってたんだ・・・」
「やっぱり?」
「うん。前にお店の子たちと飲み会したときに酔って脱いでたから・・・」
「あ~。もしかして、よくある事なの?」
「ううん。なんか最近になってから。前はそんなことなかったんだけどねぇ。リコちゃんが高校生になった頃からかなぁ?」
「子供が大きくなったから、羽目を外すようになっちゃったのかな?」
「ああ~。そうかも。うふふ」
「ん?どうしたの?」
「リンコ社長の胸。おっきかったでしょ?」
「・・・ノーコメントでお願いします」
「何それ~」
いや。なんかそんなかわいい笑顔の前で、他の女性の胸がどうのって言えないです。ええ。
「ふーん。まあ、いいや。で、リンコ社長はなんだって?」
「ふぇっ?」
え?もしかして、裸で迫って来た時の事を聞いているのだろうか?
「ん?どうしたの?お仕事。どんなことするの?って、聞いたつもりなんだけど・・・。もしかして、リンコ社長と何かあった?」
「いやいやいや。な、何かある前に止めてもらったので・・・」
「・・・もしかして、全裸で抱きついて来たの?」
え?見てたの?
「そこまでしちゃっていたか・・・。お店の男連中の前では上までしか脱いだことしかないんだけどなぁ・・・」
ん?それって、女の子たちの前だと全裸になっていたという事かな?
「手代さん。リンコ社長によっぽど気に入られたんだ・・・」
「ど、どうだろうね?なんせ、今日会ったばっかりだし」
「う~ん。なんだろう。症状が悪化してるのかな?」
症状って、リンコさんは病気ですか?
「あれ?ということは。もしかして?」
「ん?」
「リコちゃん。その現場に突入したの?」
「ああ・・・。はい・・・。そうなりますね・・・」
「それって、最悪じゃん・・・」
「あー。確かにうちの親に置き換えてイメージしたら、絶対に見たくない瞬間だよね・・・」
「・・・あれは最悪だよ」
ん?なんだ、メグリちゃんが急にふさぎ込んだ。えっと・・・こういう場合はどう声をかけてあげればいいんだ?そもそも、女性慣れしていないので、答えなんて出るはずもなく。立ち止まったメグリちゃんの横でただただ右往左往する。
「ちょっと重い話。してもいい?」
「えっと。こんな場所じゃなんだから・・・どこか喫茶店にでも入る?」
「あ~。そうだね。でも、喫茶店はちょっとあれだから・・・。私の部屋に来て」
「へ?」
「大丈夫大丈夫。リンコ社長みたいに襲わないから」
そう言われて顔が熱くなるのを感じた。そして、それを見たメグリちゃんはツボに入ったのか、しばらく腹を抱えて笑っていた。
「手代さん。かわいいね」
いや。かわいくないから!と思いつつも顔がまた熱くなる。
「さ。行こう!」
メグリちゃんは、私の右手を握って走り出す。が、私のほうがもちろん体重があるので、がくんと私に引っ張られるように止まる。
「ちょっと~。手代さんも歩いてよ~」
そう抗議をする彼女の頬を膨らませた顔もかわいかった。なんだろう?凄く胸が痛い。
あなたは胸の痛みを感じたことはありますか?もちろん。病気や物理的衝撃などではない理由で。
私は残念ながらまだありません。