第1章 潔癖症男子ですけど何か?
初めて「小説家になろう」に投稿させていただきました。
拙い文章ではありますが、暖かい目で読んでいただけたら嬉しいです。内容についてはこれからいろいろと改善すべき点がたくさんあると思います。読んでくださった方々には、良かったらいろいろな意見を頂けたらと思います。頂いた意見は今後の自分の改善点として活かしていきたいと思います。
楽しんでいただけたら幸いです!
○主な登場人物
・冴木蓮也
東都大学経済学部2年生。黒髪で左目に泣き黒子があり、メガネをかけている。普段は人当たりが良く、外向的だが、潔癖症であるため、周囲の人の行動をいつも気にして清潔感のない行動に心の中では怒り狂っている。幼馴染の岡本明久には、周囲の清潔感のない人への不満をもらしている。
・岡本明久
東都大学経済学部2年生。冴木蓮也の幼馴染で唯一の理解者。冷静沈着な青年で高身長、いつも何かしらの本を持ち歩き、読んでいる。蓮也とは、幼い頃から家族ぐるみの付き合いがある。理解者ではあるが、潔癖症である彼の気持ちが理解できず、いつも不満を漏らす彼に一般人としてツッコミを入れている。
第1章 潔癖症男子ですけど何か?
1
顔が温かい。重いまぶたを開けると昨日きちんと閉めたはずのカーテンの隙間から太陽光が差し込んでいる。眼を開けたと同時に目覚まし時計がデジタル音を響かせる。
(今日は2限にマクロ経済学の講義があったな・・・あの教授身だしなみはきちんとしてないし、髭の手入れもしてないから不潔感満載で講義受けたくねぇな・・・)
重い身体をあげて、目覚まし時計を止める。
俺、冴木蓮也は東都大学に通う経済学部の2年生。難関大学である東都大学に入学し、普通の学生として学生生活を送っているつもりである。しかし、友人によると俺には周囲に引かれてしまう問題があるらしい。それが潔癖症である。俺にとっては普通のはずが、他の人にとっては異常だと感じてしまうらしい。
潔癖症になったのは、中学2年生頃だと思う。きっかけはいまだに思い出せない。でも、自分では、特に意識はしていない。当時は自分が潔癖症だとは思っていなかった。
中学3年生の春。クラスも新しく変わり、友人もいれば、これまで話したことない同級生もいた。そのとき隣の席になった女の子と付き合った。初めての交際。数回のデートを重ねていったある日、事件は起こった。時期は中学の学祭で俺と彼女が翌日のクラスの出し物の準備に追われて教室に残っていたときだった。
教室の窓から夕日が差し込み、辺りを紅色に染めていた。何時間も作業を続けていた俺と彼女は疲れが溜まっていた。
「そろそろ休憩しようか。」
「そうね。わたし疲れてきちゃった。」
自分では彼女はクラスで五本の指に入るほどの可愛い娘だと思っている。俺は椅子に座ろうとしたとき、彼女は向かいの机の上に座ろうとしていたのだ。しかも俺の机だ。その瞬間、とっさに大声をあげた。
「ちょっと待ったぁぁぁ!」
彼女はビクッと身体を震わせ、驚いた顔で俺を見た。
「どうしたの?」
「今、僕の机の上に座ろうとしたよね?」
「そうだけど・・・それがどうかしたの?」
彼女は不思議そうな顔をしていた。その後の記憶はおぼろげなのだが、俺は彼女に向かって、その行為が汚い行為だといったことをまくしたてるように言ったらしい。覚えているのは、
「おしりを机の上に乗せるのがどういうことかわかる?キミは、今日トイレにいったよね?つまりは不特定多数の誰だかわからないような人の便座に腰掛けたということだよね。便座には汚い菌がいっぱいついているんだよ?そんな汚いところに座ったキミが僕の机の上に座るなんてありえないよ!僕はこれからその机で勉強するんだからそんなことしな・・・」
全てを言い終わる前に彼女の平手打ちが当時の俺の頬に炸裂した。俺は目をパチパチとさせながら彼女を見つめた。
「それくらいでなんなの!気にするようなことじゃないでしょ。わたしが汚いみたいな言い方して・・・信じられない。」
彼女は目に涙を溜め、頬を赤くして扉へと駆けていった。扉から出て行く直前に彼女は立ち止まり、俺の方を向いて言い放った。
「潔癖症とかありえないから!」
その後の俺は、潔癖症であることを隠そうと努力した。どんなに自分にとって嫌な行為であっても我慢し、耐えてきた。だが、周囲の友人は俺が潔癖症であることを感じてはいるようだ。でもそれは俺の潔癖症の一端にすぎない。唯一、俺の潔癖症の全容を知る幼馴染の岡本明久に言われ、潔癖症改善を試みた。時には明久に背中を押されて転び、手をつくとそこには犬のフンがあったり、年末の学校の大掃除では、わざとみんなが嫌がるところの掃除をするように仕向けられたりした。そうしていく中で、多少潔癖症は改善されていったが、今なお潔癖症は完全に治っていない。今では、そんな自分を受け入れて生きていくことにした。他の友人に多少知られて引かれてしまうくらい問題ない。
2
東都大学第2食堂 午後13時25分。
今はお昼時ということもあってか、食堂内はたくさんの学生でごった返していた。ガールズトークに華を咲かせる女子学生たち、昼だというのに下ネタを連発する男子学生たち、隅でコソコソと食事をとる暗い学生、オタクトークで盛り上がるオタク学生たちなどなど、様々な学生たちがいる。
俺と明久は2限のマクロ経済学の講義を終え、食堂で食事をとっていた。
「はぁ~、しんどい。相変わらずアイツのマクロわかりにくい。」
「そんなこと言うな。あれでも教授だ、敬え。」
今話したのは、俺の幼馴染の岡本明久。高身長で細マッチョの明久とは小さい頃からの付き合いで、家族ぐるみで交流がある。唯一本音を話すことができる友人で、日頃我慢している俺の不満を適当に聞いてくれる。この適当さが下手に嘘をついて対応してもらうより気が楽だ。いつも冷静沈着で、掴みづらい性格をしているが、長い付き合いの俺には声のトーンの違いで明久のテンションが読み取れる。擁護はしていたが、明久もあの教授の講義に退屈を感じていたようだ。
「ちっ、講義の退屈さの前にアイツ身だしなみがなってねぇよ。髭も生やすなら手入れぐらいしろってんだよ。」
「教授だって忙しいんだろ。手入れをしてる暇がないんじゃないか。」
「それにしても鼻毛くらいは処理してほしいものだね。横を通り過ぎたくらいでわかっちまうくらいなんだからさ。汚いったらないね。」
「蓮也は細かいところまで気にしすぎなんだよ。」
明久は本を読みながら顔を上げることなく言った。コイツの本を読む姿にはムカツクくらいかっこいいと思う。
「細かくねぇよ。それくらい気にするの普通だって。」
「そうかねぇ。蓮也の普通は他の人にとっては異常。過去の経験からわかるだろ。」
「いつもニコニコするのにも疲れた・・・。今日なんかさ・・・」
またかというように明久は呆れ顔を浮かべていたが、本を閉じて食堂の安いコーヒーを飲みながら聞く体勢をとってくれていた。
第1章はいかがでしたでしょうか?
自分なりに面白く書いたつもりですが、短かったので伝わりづらかったかなと思います・・・。反省点です(笑)
この『潔癖症◯◯の一日』はシリーズとして、これから投稿させていただこうかと思いますので、読んでくださった方は是非感想やコメントをしていただけたらと思います。
これからもどうぞよろしくお願いします!