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4話です。
楽しんでいただければ幸いです(´∇`)
赦さない…お前だけは…私の大切な兄弟の命を奪うきっかけを作ったお前だけは赦せない…
私はゆっくりと私の家族を壊した原因である人間の側に寄った。
そいつを見下ろし眺めると随分ボロボロになったものだと笑みがこぼれる。特に苦痛に顔を歪めているのが愉快だ。
もっともっと苦しめばいい。
今は仰向けに倒れ気を失っているソイツは私の愛しい兄弟の仇…
そして、絶対的にコイツは私たちを苦しめた自覚なんてないのだ…
簡単には楽になんかさせない。
私はソイツの左手を持ち上げ手のひらに×印を刻んだ。これでコイツは私から逃げられない。
あぁ、何と愉快な気分だろう
「さぁ…楽しい悪夢はこれからだ…」
誰かの声が聞こえる…
ゆっくりと瞼を開くと綺麗な子が自分を心配そうに見ていた。
「あっ?気がついたね、安心してもう君を傷つけたヤツはいないから」
「……傷つけたヤツ…?」
ボンヤリとしたまま言葉を反芻する…
そうだ!!逃げなきゃ!!
「痛った〜」
勢いよく体を起こすと身体中に痛みが走る。
体を丸めて痛みをやり過ごしていると心配そうな声がした。
「大丈夫?今はまだ動かない方がいいよ?これは夢だけど普通の夢じゃないから怪我も肉体にある程度は反映されるんだ」
夢…?そうだコレは夢だって自分でもわかってた…
つーかこの子誰だ?体を丸めたまま顔だけを上げマジマジと自分の横にしゃがんでいる人物を見る。
すっと通った鼻筋に涼やかな目元、まつ毛なんかも長くて影が出来そうだし、形の良い唇は優しそうに弧を描いていて、肌も白くて透明感がある。
髪はショートカットで色素が薄いのだろうか黒色と言うより茶色くみえる。
やば…めっちゃ美人だよ…
って違う!!見惚れてる場合か!!しっかりしろよ自分!!
これは夢だ…でもふつうじゃない…この美人だって味方とは限らない。さっきの何かの正体かもしれない…
油断は禁物だ…
警戒しているのが伝わったのか美人は少し眉を寄せる。そんな表情も絵になる…って違う!
美人をきつく見据えながら口を開く。
「アンタ誰?あと普通の夢じゃないってどうしてわかるのさ?」
少しだけ声が震えていた。緊張のためか喉が痛い。
緊張しているのがわかったのか、美人は安心させるように優しく微笑んだ。
「ごめんね?さきに名乗るべきだった。僕は鈴風って言うんだ。あとこの夢についてだけど…」
美人こと鈴風さんはそう言葉を切るとハッと何もない暗闇を見つめた。
ていうか、一人称が僕ってことはこの人男なのか?はっ!まさか…ぼくっこなの?リアルで見たことないけど…
なんてまた現実逃避していたら
「…もう時間か…」
鈴風さんはそうつぶやき視線をこちらに向けると真剣な表情をする。
「本当はもっと話さなければいけないことがあるんだけど…もう君は目覚めないといけない…」
そう言って、鈴風さんはちょっと我慢してねと捻った足首に右手をかざした。
「!熱っ!!」
まるで熱湯をかけられたように足首が熱をもつ。
反射的に足をバタつかせて手を退かそうとするが、空いていた左手で簡単に押さえつけられた。細い腕なのになかなかの力がある。やっぱり男なのか…
「ごめん…もう少しだから…」
「そう言われても!すっごく熱いです!!マジで!!」
「あと10秒でいいから」
「ね?って微笑まれても無理なんで!!」
そんな会話を繰り広げていたらすぅっと熱が引いていく感覚がした。
驚いて鈴風さんを見るとにこりと笑顔を返される。
「お疲れさま。たぶんこれで捻挫は治ったよ」
「え!?」
その言葉に思わず足首を触ってみる。確かに触っても痛みは感じないし腫れもなさそうである。
恐る恐る立ち上がってみる。やはり痛みはない。念のためにぐりぐりと足首を回してみたが大丈夫そうだ。
「ホントに治ってる…なんで?」
鈴風さんに問いかければ、ゆくっりと立ち上がった。
鈴風さんは見た目が儚い印象だが背が思ったよりあることに気が付いた。
170㎝はありそうだ。女性ならかなり背があるな。
服装もTシャツにジーンズであるため男女の判別がつきにくいが、おそらく男性だろう。よく考えれば声が女性にしては低い。
まぁ、そんなことはどうでもいい。
「アンタ一体何?」
問題なのは、この人が敵かどうかだ。
さぁ、そろそろ現実に向き合わなければ…
読んでいただきありがとうございます(><)
次話こそはこの子の名前出したいな…




