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No.007 枠外
『枠外』
「はみ出てますよ」
とは言われたものの、私の何がはみ出ているのだろうか。
自分自身では全く心当たりがない。
「何がはみ出てるのでしょうか」
とは聞いてみたものの、相手は怖がって逃げていくだけだ。
まるで私がセクハラでもしているみたいじゃないか。
ふと気付いた。
周りの視線が私に集まっていることに。
これはまずい。
実際に私の何かがはみ出しているのだ。
もしかして、シャツか?
ズボンからシャツがはみ出てるだけの話?
腰の周りを手で一周させてみたが違うようだ。
どんどん人だかりができてきている。
私は見世物ではない!
焦れば焦るほど、思考が鈍くなっていく。
いや待てよ、何がと聞かれて答えられないということは…。
そうか分かった。
ついに答えに辿り着いたぞ。
「そこの男!手を上げろ!」
黒光りするピストルが私のポケットからはみ出ていた。
「銃刀法違反の現行犯で逮捕する!」
逮捕なんてできるわけがない。
「それにしてもお前…体の半分はどこにあるんだ!」
私はこの物語からはみ出ているのだから。




