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No.012 絶景
『絶景』
街ゆく人、家にいる人、会社にいる人。
今日は誰しもが例外なく空を見上げているに違いない。
ニュースで言っていた。
今日で世界は終わるんだって。
そんなバカなと、最初はみんなそう思ったけど、
今日の空を見た後に疑う人はいなくなった。
「七色の虹が無数に交差しているみたい」
と感激する女性がいた。
「黄金に輝くオーロラが幾重にも折り重なっているようだ」
と表現する男性もいた。
「お星様がダイヤモンドになって、
お月様がサファイアになって、
お日様がルビーになっちゃった」
と驚く子どもだっていた。
「すごいだろ?もう怖くないよな」
「うん。僕も見たかったな」
「今話したことを想像できたなら、見えたも同然だ」
「そっか。じゃあ、僕にも見えたよ」
「おお、どうだった?」
「見たこともない絶景だった」
今日、一つの小さな世界が終わろうとしている。
なんてことない、いつも通りの青空の下で。




