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騒がしい同居人  作者: 小桃 綾


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7/18

YES or NO

 今日はお饅頭と一緒に緑茶を煎れて、テーブルの奥に置いてお供えしました。和菓子にはやっぱりお茶だもんね、ティーバッグのお茶だからイマイチかもしれないけど楽しんで欲しいな。


 さて、今日試してみるのは『香りの好み』について。霊といえばお線香。でもそれは生きてる人の決め付けかもしれないし、食べ物の好みがあるなら香りの好みがあってもおかしくない。

 ホームセンターで買ったお線香と、職場の同僚に勧められたラベンダーのお香。それぞれを選択用の紙の左右に置いて火をつける。


「香りが混ざって変かもしれないけど、好みの香りの方におはじき動かしてね」


 しばらくするとおはじきが動き出した。お線香とお香の間を行ったり来たりしている。悩んでる感じがすごく可愛らしく思えた。

 急かすつもりはないし、今のうちにシャワーを浴びることにしました。


 シャワーを済ませて戻ると、選び終わったのかおはじきの位置が決まっていました。

 選択肢ではない、緑茶の湯呑みにピッタリくっついて。


「ホント、好みって人それぞれだね。……そう言えば亡くなった叔父のお墓参りはビールと煙草お供えしてたっけ」


 お線香とお香の火が消えるのを待ってから、緑茶のおかわりを煎れてあげました。


  ▼


 幽霊との意思疎通の方法を一段階上げてみました。その方法は、『はい』と『いいえ』の二択。

 お供え物の質問で使っていた紙の下の方に『はい』と『いいえ』を書いて、別のおはじきをその中間に置く。最近はリアルタイムでおはじきを動かしてくれるようになったので、この方法もいけるかもしれない。

 この仕組みで最初にする質問は決まっていました。


「物を動かすのって疲れる?」


 おはじきが『はい』と『いいえ』の間をゆっくり行き来したあと、ひっくり返りました。まさかいきなり第三の選択肢が出るなんて。あとで『両方』と『どちらでもない』を追加するとして、今はこれをどう解釈するか考えよう。疲れるけど疲れない……疲れるけど大丈夫ってことかな。

 取り敢えず聞かなきゃいけないことを聞いてしまおう。

 私はおはじきを真ん中に戻して、上下に『両方』と『どちらでもない』を書き足してから質問を続けました。


「追い出そうとしたの、理由があるの?」

 →はい


「一人でいる方が楽?」

 →はい


「私がここに居て、困る?」

 おはじきがひっくり返りました。四択でも足りない選択肢? なんだろう、思い付かない……あ、『分からない』ってこと?


「少しは、慣れた?」

 →はい


「一緒にいるの、イヤ?」

 →いいえ


「……私がいなくなったら、寂しい?」

 さっきまでサクサク動いていたおはじきが急に動かなくなった。物を動かすと疲れるのは確定だから、もしかしたらムリさせたかもしれない。



ピンポーン♪


 部屋のチャイムが鳴った。インターホンの画面を見ると配達業者の制服を着た人が映っている。時間指定していた荷物が届いたんだろう。玄関に行ってドアを開けた。

 時間はもうすぐ21時半。21時までの配達指定だったので配達員が平謝りするが怒ったりしない。配達員も早く帰りたいだろうにこんな時間になっても配達してくれた。逆にお礼を言った。


 ウチが今日最後の配達先だったらいいな。


 そう思いながら荷物を受け取って部屋に戻ると、おはじきが『はい』のところに置いてあった。


 ……あれ、さっきなに質問したんだっけ。思い出せないけど……いいや、今はこっちが気になるから。


 荷物の箱を開けて中身を取り出す。物を動かせるならと思って通販で買ってみました。はい、オセロです。

 トランプは二人でやると相手の手札が分かるし、ゲームによってはズルして私の手札を覗き見するかもしれないから。


「オセロ、やってみる?」


 おはじきが今まで見たことない速さで『はい』に動く。喜んでる雰囲気が見えた気がして、私も嬉しくなった。

 で、幽霊とオセロをやってみたところ……すごい光景でした。

 幽霊は姿を消してるから駒は宙に浮いて移動するし、盤面で挟まれた駒はまるで自動化されてるみたいにひっくり返されていくし。もちろん私の駒は手動ですが。そしてゲームが終わると黒一色の光景だったり。


 いえ! 勝ち負けじゃないんです遊ぶのが目的なんですおかしいなオセロは結構自信あったんだけど。

 ……まさか、幽霊の立場を利用してアカシックレコードから私の指す手を読み取……る訳ないか。こんなことまで書いて行数増やすほど暇じゃないよねきっと。


「明日のお供えはジンジャークッキーにしよっかなぁ……」


 その回もやっぱり負けたけど私の駒は十個ほど残りました。幽霊も忖度するんですね。それでも絶対に勝ちを譲る気はないみたいです。


「もう! あ、………幽霊さんってオセロ強いんだね」


 言いながら気付きました。

 私は、この幽霊の名前を、知らないんだ。

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― 新着の感想 ―
名前を知るには五十音表を用意するしかないな。 その様相を想像すると、それは最早こっくりさん (゜ロ゜) まあ既にこっくりさんかな(・_・;) 今はテーブルゲームだが、慣れてきたらテレビゲームすら出来る…
 早速人間らしさが出てきましたねぇ。(笑)
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