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騒がしい同居人  作者: 小桃 綾


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好みの確認

 今日は豆大福と唐辛子せんべいをお供えしてみました。

 これで幽霊が甘党か辛党かが分かるし、もし『嫌いなもの』ならリアクションしないとそれが毎日お供えされ続ける可能性があるんだからおはじきを動かさなければいけないはず。

 ちょっとズルい気がしなくもないけど、それでもおはじきを動かして欲しいから、これで試してみよう。



 翌朝。

 おはじきは豆大福とぴったりくっつくように置いてありました。

 おはじきが少しでも動いたら分かるように目印を書いたけど、昨日と違っておはじきが大きく動いてる。ということは、昨日やっぱり動かしてくれてたっぽい。すごく控えめにだけど。それなのに今日ここまで大きく動かしてるってことは、これは豆大福が大好きっていうより……唐辛子せんべいが嫌いってこと?


 これは確かめなきゃいけない! 相手の嫌いなものをお供えしないために!

 よし、今夜は『山椒あられ』と『わさび煎餅』をお供えしてみよう。辛いものが苦手なら真下の『両方とも嫌い』の方に動くはず……


 ドン!


 !?

 突然テーブルから音が聞こえて、コップに入った水が微かに揺れている。


 今のは……台パン!?


 そんなに嫌なんだ。

 辛いものは大嫌い了解、ちゃんと覚えておくからね。


 ▼


 今夜のお供えはホイップあんぱんにしてみました。


 今までいろいろお供えしてきて洋菓子より和菓子が好きなのは分かってます。ならこの『魔改造された菓子パン』をどう判断するか。


 翌朝、おはじきは──


 ホイップあんぱんにくっついていました。良かった、好きみたい。

 ……あれ? このおはじきこんな模様だった? あ、裏返ってただけか、なぁんだ……

 えっ! 裏返ってる!?


 これは……どういう意味??

 美味しくてビックリという意味か、美味しいけどナシという意味か。

 今まで質問してきて嫌いなものはハッキリ主張するタイプだと思うから、ナシだったらおはじきを『嫌い』の方に置くはず。好印象だとは思うんだけど、ひっくり返すってどういうメッセージなんだろう……


 その日の夜、ホイップあんぱんを右上にずらして、左上にはたまごボーロをお供えしてみたら、翌朝おはじきはホイップあんぱんを超えた反対側に置いてありました。


 大好きってことだろうな。でも、反対側に置かれてるのは何だろう。

 あ……突き抜ける美味さ! ってこと?


 ……なんだか幽霊になぞなぞを出されてるみたい。


  ▼


 アメをお供えしてみました。

 アメといっても普通のものではなくて、口の中でパチパチ弾けるやつです。職場の人からもらって面白かったから。


 甘い物ばっかりのお供えは飽きると思ったんです。良かれと思ったんです。


 お供えして、眠るために電気を消してベッドに横になったあと──


 ペチッ


 !?

 顔に何かが当たりました。驚いて電気を付けると、枕元にはお供えしたはずのアメのパッケージが落ちています。


 台パンがなかったということは、これがどういうお菓子か知らなかったんだろうな。刺激的なキャンディーって思えば楽しく食べれそうなのに、ビックリして投げつけるくらい驚いたのかな。

 驚かせてごめんね。辛いお菓子じゃないよ?


 もう一度お供えしてみても台パンは起きませんでした。



 その日、夜中に目が覚めることはなかったですが、何も見えない夢の中でパチパチと音が鳴っていた気がしました。


 ちゃんと食べてくれたかな。


  ▼


 今日、私の気持ちをハッキリ伝える。もしかしたら喧嘩になるかもしれない。拒絶されるかもしれない。でも、絶対に譲れない内容だ。


 今まで幽霊の好みを確かめてきた。相手の好みに合わせていれば平和に過ごすことができる。でも、一緒に住むならそれは違うはず。私の主張を押しつけるつもりはないけど分かってもらわなきゃいけない。


 レジ袋を持つ手を握りしめて、私は自宅へ向かいました。



 お供えのテーブルに座って、レジ袋からあんドーナッツを取り出して置く。

 …………緊張する。

 一呼吸して、話し始めた。


「私はこのタイプのあんドーナッツが好き。この、こし餡で砂糖がまぶしてないタイプ。粒餡も食べれるけどこし餡が大好き。砂糖がまぶしてあるのも食べれるけど口の周りに付いたりポロポロ落ちるのが嫌。あんドーナッツをお供えするときはこのタイプだけだから、納得して」


 話し終わってテーブルから離れようとしたとき、おはじきが動き出した。いつもは私が眠ってる夜中にしか動かさないのに、初めてリアルタイムで動かしてる。


 おはじきは『はい』のところで止まった。良かった、納得してもらえたみたいだ。


 おはじきを中央に戻して、もう一度質問してみる。


「動かしてくれてありがとう。もう一つだけ教えて。こし餡は、好き?」


 しばらく待っていると、おはじきは『はい』の方に動いてくれた。


 幽霊とわかりあえた。それが思っていたよりずっと嬉しかった。



 ちなみに『こし餡と粒餡どっちが好きか』は聞きません。聞いてもどうにもならないなら聞く必要がないから。キノコタケノコ戦争みたいなことはしません。


 でも、そのうち様子見で善哉をお供えしてみようかな。

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― 新着の感想 ―
小豆のような赤色には魔除けの力があるとされる……………んだが、餡子食べてるな(・_・;) 魔除け、効いてねえ!?
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