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王国暦2025年の戦い 〜選ばれし聖剣と勝利の舞〜

☆この漫画はフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。

☆パロディ作品です。

王国暦2025年の戦い

〜選ばれし聖剣と勝利の舞〜



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歴戦の名馬、オグリキャップが荒れた城前広場を見下ろし、その大きな背に勇者シンジローが跨る。彼の手には「ニンテン王国に代々伝わる聖剣『スイッチ・ツー』」がしっかりと握られていた。勇者としての責任、選ばれし者だけが扱う剣の重みが、彼の胸に焼きつく。


夜空に雷鳴が轟き、広場を包む暗雲はまるで運命そのもののようだ。オグリキャップが「エッホエッホ」と荒い息を吐きながら、地を踏みしめる。

勇者シンジローは深く息を吸い、剣を高く掲げた。


「……今のままではいけない。世界が、国が、今のまま…ではいけないんだ」


おぼろげながら浮かんできた思い――それが胸の奥深くを突く。


玉座の扉が軋みを上げて開き、瘴気をまとった魔王フジテレーが姿を現す。その視線は、暗闇を支配する王のそれだった。


「愚かな勇者よ――その聖剣『スイッチ・ツー』が、本当に世界を守れるとでも?」


声は冷たく響く。


オグリキャップが鼻を鳴らし、息を整えながら地面を蹴った。

戦士マチュが息を詰めて斧『ジークアクス』を握りしめ、静かに応じる。


「この覚悟――、目の前をぶち抜くプラズマに匹敵する強さと静けさで。」


その凛とした佇まいには、決して揺るがぬ信念と力が感じられた。


魔王フジテレーは薄笑いを浮かべた。


「……ならば、行ってみるがよい。ミャクミャクどもよ、出迎えろ!」


闇から無数のミャクミャク(雑魚魔物)が湧き出し、広場を埋め尽くした。


戦士マチュは斧を振るいながら叫ぶ。


「ミャクミャクを蹴散らします!」


彼女の斧がうねり、勢いよく無数の雑魚を薙ぎ払っていく。

勇者シンジローは馬上から叫んだ。


「聖剣スイッチ・ツー――選ばれし剣よ、未来を切り拓け!」


剣先から微かに光が漏れ、ミャクミャクたちは恐れを感じて散り散りになる。

ここでまず、魔法使いルビィが杖を高く掲げた。


「シンジロー王子、ドクターイエローの光をお借りして……回復魔法『ドクターイエロー』です、どうか!」


黄金色の光が彼らを包み、斬られた戦士マチュや勇者シンジローの傷を癒す。強張っていた顔が緩み、痛みが和らいでいく。 魔法使いルビィの声には、いつもの彼女らしい優しさと誠実さが溢れていた。


魔王フジテレーは険しい表情で呟く。


「……光か。でもその光も、やがては消えるだろう?」


一瞬の沈黙。城前広場に張りつめた空気が流れる。


戦士マチュが先に踏み出す。


「次は私の番――『隻眼の残像フラッシュバック』!」


斧が銀色に輝く軌道を描き、魔王に一撃を与える。その衝撃に、魔王フジテレーが大きく後退した。


玉座の門の向こうで、魔王は呻いた。


「まだ…終わらんぞ……!」


だが広場では、もう次の光が生まれようとしていた。

魔法使いルビィが杖を振るい、光を集める。


「チョコミント色の祈りを込めて……ルビィ・セイントチョコミントビーム!」


淡い青と白の光線が魔王を包む。瘴気を押し返しつつ封じ込めるその魔法は、まるで歌を歌うように優雅で力強い。聖なる光が城前に降り注ぐ。


魔王フジテレーの胸の瘴気が微かに揺れる。


「く…その光は……!」


魔王は剣を掲げて光をはじこうとするが、力は衰えていた。

そして最後に、勇者シンジローが一歩前に進んだ。


「我らの技を――すべて、受け止めてくれたな。だがこれが最後だ!」


瘴気が消えかけたその瞬間――


シンジローは剣を振り抜いた。


まい!」


小さな閃光が放たれた。


弧弧ここまい!」


光はさらに強くなる。


弧弧弧こここまい!」


力強く旋回する光。


美竹びちくまい・奥義!弧弧弧弧ここここまい!」


勇者シンジローの剣から黄金の渦が爆発し、瘴気を根底から断ち切る。瘴気の玉座の前で、魔王フジテレーは肩を震わせ、剣を落とし、膝をついた。


「フジテレー軍は、永久に不滅です……!」


その言葉と共に、魔王はゆっくりと黒い霧に包まれて消え去った。


広場に静寂が戻る。

戦士マチュは斧を収め、魔法使いルビィは慎ましく微笑む。


勇者シンジローは馬を優しく撫でながら、穏やかな口調で言葉を紡いだ。


「ここに、平和を取り戻しました。……オグリキャップ、よくやった。そして二人とも――本当に、ありがとう」



---


そして時は流れ――戦いから数日後、田園が広がる一角で再会の祝福が行われた。

黄金色に実った稲穂が風に揺れ、豊穣の兆しを告げている。


勇者シンジローと戦士マチュ、魔法使いルビィ、そしてオグリキャップは、その風景を見つめながら歩を進めた。

ルビィはそっと寄り添い、杖先を稲の穂に触れる。


静かな田園の風景の中――ルビィは深く息を吸い、そして勇者シンジローに囁いた。


「チョコミントよりも、あなたが、好き…」


その一言は柔らかで、清らかな湖面に小石を投じたように、彼らの未来に小さな波紋を描いた。黄金の田園に祝福された、静謐な誓いだった。



---


終幕

微かな風に揺れる稲穂の音とともに、王国暦2025年の戦いは幕を閉じる。

選ばれし王子と、信頼と絆で結ばれた仲間たちが、平和の時代へと歩み出す姿を、風は優しく見守っている。

「エッホエッホ」と会場に響くオグリキャップの蹄音が、まるで新たな時代の勝利の鼓動のように、未来へ響いていった。



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