親核種と親石元素
第6話「子孫核種(擁護回)」でお約束していたご説明をいたしましょう。
核種というのは、中性子数【1】が異なる元素【2】をそれぞれ区別して扱うときの呼び名です。
核種のなかには放射壊変【3】をするものがおります。
放射壊変前の元の核種を「親核種」、放射壊変由来の新しくできた方を「娘核種(子孫核種)」と呼びます。
詳しい説明は後書きだというのに何故ここで再登場させたかと言いますと、愚痴りたいことがあるからなんですね。
先に、この文を見てください。
「"おや"かくしゅ の ハフニウム は "しんせき"げんそ で、"むすめ"かくしゅ の タングステン は しんてつげんぞ です。」
この音声を聞きながら
「『親』核種のHfは『親』石元素で、娘核種のWは『親』鉄元素です。」
という字面を見ることになるんですね。
親核種……放射壊変前の核種
親石元素……岩石相に入りやすい元素
親鉄元素……金属相に入りやすい元素
これは、親戚かと思いません?!脳内漢字変換。
訓読みのときは「親」、音読みのときは「親しい」の意で登場するんですよ。
なんなら親鉄だって、「しんせつ」に聞こえ得る語感じゃないですか。親切元素って何ですか?!
*そんなものない
ついでにタングステン。何でWでタングステン??
Hfの「ハフニウム」を見習ってほしい。
この一文、慣れればそうでもないのに初見の難易度だけ高すぎる。
「親核種のHfは親石元素で、娘核種のWは親鉄元素です。」
【1】中性子数……中性子の数。
中性子は陽子に近い質量を持つが、電荷を持たないもの。
電磁気学では粒子と見做せる中性子だが、量子力学では粒子性も波動性も持つため、言及しない。
陽子は中性子に近い質量と電子に近い大きさで正の電荷を持つもの。
電子は中性子や陽子より圧倒的に小さい質量と、陽子に近い大きさで負の電荷を持つもの。
【2】元素……原子を陽子の数で区別したもの。
原子は中性子、陽子、電子の集合体のうち、原子核が1つで陽子と電子の数が等しいもの。
(陽子と電子の数が異なるときはイオンである。)
原子核は正電荷を持つはずの陽子同士の反発が抑えられている範囲の陽子と中性子の集合体。
【3】放射壊変……元素が放射線の放出を伴って別の元素になること。