放射照度と放射強度
初回でお約束したお話です。
放射照度:単位時間あたりに単位面積を通過する放射エネルギー[J/(m^2・s)]
放射照度は私がずっと咀嚼し続けて飲み込みきれずにいる「フラックス」の一種で、実際に放射エネルギーフラックスとも言います。
放射エネルギーフラックス:単位面積あたりの仕事率[W/m^2]
と説明されることもあるかもしれませんが
仕事率:単位時間あたりに仕事をする能力(=単位時間あたりのエネルギー)[J/s]=[W]
ですので、同じものです。
「放射エネルギー流束」を採用している分野があるのかは、ちょっと存じ上げないです。
エネルギーですから、放射照度はスカラーのはずです。ですが、一旦、ベクトルかのように話を進めさせてください。詰めが甘くてごめんなさいね。
太陽と地球は十分に離れています。そのため、地球に届く太陽光線は全て、太陽と地球を結ぶ直線に平行であるとみなせます。この方向で、射出した方から入射する方へ向かう向きの矢印にしましょう。
そうすると、赤道から離れた高緯度地域では矢印と地平線が垂直になりません。この、斜めに受ける太陽放射エネルギーを認めるのが
放射強度[J/(m^2・s)]【1】
です。逆に
放射照度:太陽高度角が直角のときの放射強度
になります。図が欲しいですね。不親切ですみません。
やっと第1回のお話に戻って来られました。
これらの対応関係は
放射エネルギーフラックスー体積流束
放射強度ー流速
になります。前者は通過する面と物理量が垂直であり、後者は斜めに受けるものを含むという対応です。
流束って、スカラーなんですよ?放射強度もです。流速はベクトルとはいえ、めっちゃややこしくないですか?いや、ややこしい(反語)。
さらに、入射太陽放射照度とか、射出地球放射強度とか言うんです。
☆☆○○放射(照/強)度:地球(に/から)☆☆する○○からの放射(照/強)度
のようです。きっと、慣れですね。これは。
私は放射というと出ていっているイメージが先に来てしまうのですが、出ていっているのか入ってきているのかは「射出」と「入射」での言い分けらしいです。
そして、地球への入射太陽放射照度は定数とみなせますから、特別に「太陽定数」と名づけられました。
文句じゃないよ?気持ちは分かる。文脈的に、「太陽定数」って言ってしまって誤解ないコミュニティがきっとあったんだよね。うん。だから、これはツッコミ。
"太陽"と限定したら太陽の質量だって重力加速度だって定数扱いできちゃうじゃないですか!!
太陽定数:地球への入射太陽放射照度
放射って情報が消えとるんよ。
【1】毎度の如く、生成AIによりますと、「放射強度」の定義や単位までもが異なる分野があるそうです。特に物理学系みたいなのですが、私の精一杯では本エッセイのような理解になっています。もし有識者さんがいらっしゃいましたらご教授くださいませ。