でも、ありがとう
愚痴エッセイには定期的な箸休めが必要かと思いまして。
私は散々、同音異義語や分野の違いなど専門用語なのに誤解を招きうるものたちへの愚痴を綴ってきました。
でもね。
母国語で勉強させてくれて、ありがとう。
聞き齧った情報ですが、国によっては母国語で専門的な勉強はできないそうです。なぜなら、母国語に専門的な「単語がない」から。
詳しい論文になると、そりゃあ日本だって英語版しかない!なんてこともありますよ。
日本語ってっ言ったってカタカナにしただけじゃないかってのもありますよ。
でもね。
カタカナは表音文字だから、せめて「読める」んです。すると、1つの文章に初めましての単語がいくつか登場したときに、どれとどれが同じ単語で、どれとどれは違う単語かってことだけは分かるんです。
それだけで随分違うんです。特に、アルファベットを読み飛ばしてしまう私には。
漢字は表意文字の性質が強いから、せめて「意味を予測できる」んです。それも、散々文句を言っておいてなんですが、比較的、予測可能な漢字を当ててくれていると思います。
それだけで随分違うんです。特に、何かしらの印象があることで覚えやすくなる私には。
頑張ってくれていること。本当は知っていました。
地質年代には「代」「紀」「世」「期」といった、段階的な区切りがあります。
(なんで「き」を2種類採用したんやって点については、○○「き」の○○は被ることがないので、初学者の頑張りどころです。)
これに対して、
「代」に堆積した地層→「界」
「紀」に堆積した地層→「系」
「世」に堆積した地層→「統」
「期」に堆積した地層→「階」
と日本語を作ってくれています。
つまり、以下の2文は同じ意味です。
「三田井層は古生代に堆積した地層です。」
「三田井層は古生界です。」
後者の方が短く済むでしょ。時間と地層とに単語を作ってくれたから。 1つの文章内で様々な層を言及するときは強い効果を発揮します。
時々、諦めたなって思うこともあるし、どうしてそうしてしまったと思うこともあるけれど、私は初めから英語で良いじゃんなんて思っていません。
同時に、全部日本語にしてくれとも本気では思っていません。
ただ、「日本語」として整えてくれたから、愚痴を言いながら立ち向かえるくらいには初学者にとって越えやすい壁になったんです。
もちろん、壁自体はそこに立ちはだかっていますけどね。
でも、ありがとう。
母国語で勉強できる環境を用意してくれて。
日本地質学会が国際年代層序表というもののPDF (英語版/日本語版)を閲覧できるようにしてくれているので、興味がおありでしたら検索してみてください。
日本の誇る(?)チバニアンは「チバニアン期」「チバニアン階」に当たります。