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対流と滞留

 私、以下だと思っていたんです。


 「海水の滞留(たいりゅう)時間は十分に短いので、対流(たいりゅう)域内では微化石層序が同時間面の決定に使えます。」


しかし、実際は


「海水の滞留時間は十分に短いので、海流(かいりゅう)域内では微化石層序が同時間面の決定に使えます。」


だったみたいです。生成AIに訂正されました。どうやら対流と海流の最初の子音TとKを聞き間違えたらしいです。


あ、この一文は前後の文脈を消して抜き出していますから、地域差が小さいとみなせる種【1】がいるという話ですよ。



噛み砕きますね。


まず、滞留時間そのものより先に流入量を説明した方が分かりやすいかもしれません。



流入量……単位時間あたりに貯留体に流入する体積[m^3/s]


滞留時間……ある流入量で、ある体積の貯留体内の流体が全て入れ替わるのにかかる時間[s]


海流域……海流が巡る領域。"ジャイア"というと風による水平方向の循環を指す。


微化石層序……産出する微化石の層順。進化系列や出現・繁栄・衰退・絶滅によって異なる。


同時間面……空間的に離れた地層の、同じ頃に堆積した面


対流……水平方向のジャイアに対し、温度差や密度差による3次元的な循環を言う。



つまり、滞留時間が短いと種が進化したときにすぐに広まるから、進化前の種と進化後の種が発見される境界は地理的に離れていても同じ頃に堆積したものだと言える。ただし、それは海流に乗って進化した種がすぐに広まることができる海流域に限られる。(地理的な乖離は水平方向の話であり、かつ浮遊性【2】の有孔虫は表層に生息しているから、対流ではなく海流だった。)


って話です。


「対流」と「"滞留"時間」に加えて「"海流"域」や「流体」、「貯"留体"」も登場しましたね。このエッセイ、ちょっと音読してみてほしいかもです。



 おんなじ事を何度も言ってごめんなさいね。


同音異義語は、会話での区別が文脈依存になるでしょ。漢字変換するときに違う方が出てきちゃうでしょ。


「地球科学用語め」はネタに困ることなる13話目になりました。これを「ありがたいことに」と言うべきか、「残念ながら」と言うべきか。それだけ、用語に同音異義語が多いのです。


1エピソードとして取り上げるまでもないのでここで紹介しておくと、「体積」と「堆積」も初歩的な単語なのに同音異義語の関係にあります。


さらに、文句が言いにくいのは漢字の「表意文字」としての役割は十分に果たしているものも多いこと。


留まるのも流れるのも音読みは「りゅう」なんですよ。



これはもう「日本語との相性」が悪くないか?



 同音異義語でなくても、海流と対流で韻を踏んでいて間違えたのに。

【1】生物は界、門、綱、目、科、属、種と段階的に分類されるので、正確に言うと進化するのは種レベルとは限らないようです。(上種、下種、亜種なんてのもあって、この辺難しいんですよ。)それらのどれについても言及できるように、単数系「タクサ」、複数形「タクソン」という用語もあります。本当はそちらの方が適切なのですが、ここは簡単のために「種」とさせていただきました。



【2】浮遊性……生きている間は海流に乗って移動する生物。沈降速度が十分に速いため死んでも対流の影響を無視できる。


(沈降速度……水平方向に運搬されながら、鉛直方向に沈む速度。)


対して、底生……海底に定住する生物。



地質屋さんは「堆積場を生息域とみなせる」ことに興味があるはずです。


 「浮遊性有孔虫」に対して、「底生有孔虫」と言うんですよ。「底生性有孔虫」と言った方が対応している感じがしませんか?「底性有孔虫」とかさ。消されたりっしんべん……と思っていました。海()に生息する底()ですから、表意文字としてはそうなんですけどね。

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