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極東風紀調査隊アルファ  作者: スマ甘
chapter.1 『I'll wait for you there forever if I have to.』
4/5

 うまく不意打ちをして、タケヤの1体を仕留めることができて、キサイも機銃を積んでいなかったおかげですぐに倒せた。

 

「ここに来る途中で、瓦礫の一部を崩してきました。 カフスの群れが合流するまでに少し時間があります」


 アヤナの墜落で崩壊して、復興されることもなく放置された街。

 残っている残骸や、都市から投棄される廃材は、レジスタンスにとっての武器になる。


「カフスが合流するまでに、タケヤとキサイを倒せってことだな」

「レジスタンスもこちらに向かってくれてます。 うまくいけば、カフスはあちらが受け持ってくれるかもしれません」

 

 この場所に居るIPMIの隊員は4人。

 ヘルメットを被っていてオメガを2機も持ってる人と、キツネ獣人のアルファの女性に中国人の女性と、たぶんラテン系の男の人が、散らばって物陰に隠れている。

 

「カートリッジも持ってきました。 使ってください」

 

 そう言って、ボクはカートリッジを全員が物陰に潜んだまま回収できる位置に投げる。

 

「助かる」

 

 このカートリッジはレジスタンスがコピーしたものだけど、構造は国連のものと同じ規格になってるから、使用に問題はないはず。

 あとは、時間をかけずにタケヤとキサイを倒せるかどうか。

 

「おまえ、戦闘経験は?」

 

 ヘルメットのヒトが訊いてくる。

 

「レジスタンスの古参よりは少ないけど、同い年の子供たちよりはあります」

 

 ボクが答えると、誰かが息を呑む音がした。

 ボクみたいな子供が戦っているなんて、とか言いたいヒトがいるのかな?

 

「戦術理解の高さや武器さばきで確信したわ。 あなた、過去にアカデミーで教育を受けていたようね」


 中国のヒトに声をかけられる。

 誤魔化してるつもりでも、ベテランには見抜かれちゃうんだね。


「今は不登校ですけど、東京のアカデミーに通ってました」

「なら話が速いわ。 ポジションは?」

(ゴーリー)です」

 

 IPMIでは、各隊員が戦闘でそれぞれの役割を持ち、その役割に合わせたポジションにつく。


「Gは不在だからちょうどいい。 このまま案内係に任せようぜ」


 ポジションはラクロスのものを参考にしていて、アカデミーに通う子供たちは、まず最初にポジションを覚えることになる。

 Gというポジションは、チームの一番後方で、全体の把握や司令塔の補助、防衛戦なら守りの要として動くポジションだ。

 ボクの場合は、単独か少数で戦うことが主なレジスタンスに合わせて、何も指示を出さずに済むからGとして動いてるんだけどね。

 

「レジスタンスがポジションを理解できるのかよ」

 

 そう言ったのはラテン系の男の人だ。

 

「不登校だけど現役のボクが教えてますからね。 大人たちはぎこちないけど、子供たちはしっかり動けますよ」

 

 何も言わずに撃ち漏らしを倒して、レジスタンスが目の前の敵に集中できるようにする。

 それがボクのGとしてのスタンス。

 基本動作とポジションの役割、チームの基本戦術を覚えて、個人の動きと動作だけで全体の動きを理解し、言葉を交わさずとも適した立ち回りができるようにするIPMIの理念『統一された思考の共有』を、レジスタンス向けにアレンジしてるんだ。

 

「ここからはIPMI式で行くが、ついてこれるんだな?」

「エースとして活躍していたお姉ちゃんから、理念は叩き込まれてます」

 

 ボクのお姉ちゃん。

 首都圏での犯罪取り締まりや対テロ作戦を担う、IPMI東京支部きってのエースだったお姉ちゃんは、ボクたちが憧れる存在だった。

 でも、1年前のあの日に戦線を離脱してから消息不明になって、いまも行方がわからない。

 

「あなた、名前は?」


 キツネのヒトが訊いてくる。


「――ボクの名前は霧咲マオ。 霧咲エリカの弟です」

 

 ボクが名乗ったとたん、IPMIの人たちが無言になった。

 ああやっぱり、海外のチームでも名前を知っているヒトがいるくらい、お姉ちゃんはすごい人だったんだね。

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