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第94話 ちゃんぽん

 午前中は防戦要請もなく、プリズンと同じような時間が流れただけで、ランチタイムを迎えた。

3人で電脳棟を出て管理棟へ向かう。

「やっぱり外に出ると、ちょっと潮の香りがするよねー。」

「そう?あまり感じないけどな。」

「わたし潮の香りには敏感だからねー。うん、かすかに潮の香りがする、横浜っぽい風だよ。」

「なるほどね、それは海の近くに住んでた人にしかわからない感覚かもね。なんにせよ、外に出ると気持ちが良いのはそのせいかもしれないね。」

「はい、オレも外でると、ちょっと気分が上がりますよ。」


電脳棟から管理棟まではたいした距離ではないが、3人でゆっくりと歩いて外の空気を楽しんだ。


管理棟に入っただけで、既に温度があがったんじゃないか、っていう位、食堂からの熱気が感じられた。

「なんか、食堂の熱気、凄いよねー。プリズンの食堂とは全然違うんだなー。」


熱気に押されながらも食堂の入口までたどり着いた。

「あ、独立小隊の皆さん、こちらへ、昨日と同じ場所ですよ。」

昨日の割烹着のスタッフが来てくれた。


スタッフに続いて会食用の部屋に入る。

大きなドアが閉まると、さっきまでの喧騒がウソのように、シーンと静まり返った部屋になった。


「我儘言うようだけど、やっぱり、こういう静かな所の方が落ち着くな。」

「オレもなんか肩の力が抜けたっていうか、ほっとしました。」

「わたしたち、いくら自衛官とは言っても、基本は白衣の研究職だから、実戦部隊の中に入るのはちょっと無理があると思うなー。別に彼らが何とかって意味じゃなくて、職種が違うからって意味でね。」

「うん、体育会系部活組と文化系部活組みたいな感じかな。目いっぱい身体動かして、目いっぱい食べる派と、手しか動かさない私達じゃ食事に対する姿勢が違うんだから仕方ないよ。」


ガチャっ。

扉が開いて割烹着スタッフが配膳カートを押して入って来た。

「今日のランチはちゃんぽんです。一緒に、半炒飯とイカしゅうまい、そしてデザートにスモモのゼリーです。ごゆっくりどうぞ。」


「わー、わたしが食べたかった九州グルメ、ちゃんぽん出たー。これは楽しみにしてたのよねー。いっただきまーす。」


オレもちゃんぽん、楽しみにしてたんだよね。エビ、イカ、この貝はなんだろう?ハマグリかな?かまぼこにカニカマ。豚肉、そして野菜たっぷり。太めの麺。うん、うまそうだよ。いただきます。

ズルズルズー。うわ、魚介と豚と野菜の旨味が混ざってて、馬鹿うまだよ。


「これは美味しいー。うー。」

柏木さんのうまみの舞、頂きました。


「うん、ちゃんぽんって、味の玉手箱だよね。ラーメンとかとは別の、ちゃんぽんっていう麺類だよね。たまらないね、九州、美味すぎるよ。」


「ちょっと!イカしゅうまいってイカがプリップリなのねー。やられたわー、イカしゅうまい、これもうまいよー。」

柏木さん、連続うまみの舞を披露だ。


イカがプリップリのしゅうまい?ちょっと想像がつかないな。食べてみりゃわかるか。

パクっとな。豚肉の旨味がじゅっと溢れてくる。お、イカだ、ホントだプリップリだよ、なんだこれ、確かに美味いよ。なんで九州のものってこんなに美味いんだろう。


結局、一気に全部ランチを食べてしまった。残りはスモモのゼリーだけ、これじゃ、目いっぱい食べる派の体育会系と同じだよな。そうか、食べ物がおいしいから、熱気も増すってことかな。


スモモのゼリーも食べ終えたて、水を飲んで会食用の部屋を出た。

何故か誰も食後のコーヒーを頼まなかったのは、多分、皆考えていることは同じなんだろうな。


また、3人でゆっくりと歩いて電脳棟へ戻り、訓練室へ入った。


「やっぱり食後は美味いコーヒーが良いよね。」

飛鳥馬さんがコーヒーメーカーの方へ歩いて行った。


そう、そういうことですよ。せっかく飲むなら飛鳥馬さんが淹れた美味しいコーヒーの方が良いんですよ。


コポコポコポ・・。

リズミカルな音と共に良い香りが部屋中に広がる。


コンコン。ドアがノックされた。

「井上です。」


「はーい。」

柏木さんがドアへ行き、自動ドアを開けた。


「失礼します。あら、凄い良い香りですね。」

「今ちょうど飛鳥馬さんがコーヒー淹れてるんですよー。一緒にどうですか?」

「え、良いんですか?」

「もちろん。」


飛鳥馬さんが、備え付けの紙コップに全員分のコーヒーを注いでくれて、皆でソファーに座った。ただ、ソファーが3脚しかないので、飛鳥馬さん、井上さんがソファーに座って、残りのソファーに柏木さんが座って、そのひじ掛けの所にオレが半ケツ状態で座った。


「わー、良い香りですね。いただきます。」

井上さんがコーヒーを飲む。

「こんなフルーティーなコーヒー初めてです、美味しい!」

「これ、飛鳥馬さんの趣味なんで、持ち込んだ豆なんですよー。」

「そうだったんですか、これは美味しいですよ。」


うん、確かにこの豆はフルーティーだ。流石、飛鳥馬さんセレクションには外れがないな。

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