第75話 連戦
作戦室に入る。
「水野作戦司令!到着しました。A班、防戦対応に入ります。」
「ご苦労。今日もレトロゲームで普通科連隊が苦戦している。頼む。」
モニターには『パックンマン』が映し出されている。
「なるほど、パックンマンですか。これは動かしかた暗記型ですから、普通科連隊ではキツイでしょうね。敵ながら良い選択だと思いますね。」
飛鳥馬さんと水野指令の簡単なブリーフィングを終えて、オレ達のブリーフィングが始まった。
「パックンマンは勝ち方通りの動かし方を徹底するだけだから、集中力勝負だね。着落ち着いて着実にこなしていこう。」
「了解!」「了解です。」
ただただ決められたルートを確実に動かすだけなんで、記憶力と集中力と忍耐力とキーパッドさばきの正確さを試されてるようで、もはやゲーム要素はどこにもないよな、ま、元々仕事なんだし・・。等という邪念を振り払いつつゲームを進めた。
淡々とルート通りにパックンマンを動かし続けて約1時間後、作戦室のパトライトが消え、ゲームが強制終了した。
「よし、終了。お疲れさま!」
「お疲れ様でした。今日もイレギュラーな侵犯でしたけど、また連戦で来ますかね?」
「どうだろうな、最近はイレギュラーばかりなんで、なんとも読めないよな。」
ビーーッ。
水野作戦司令が話し終わる直前にデスクの電話が鳴った。
同時に館内放送が入る。
「ブァー、ブァー、ブァー。至急、至急、ネット侵犯発生、第二防衛線が突破された。電脳研究所独立小隊へ防戦要請発令。繰り返す、ネット侵犯発生、第二防衛線が突破された。電脳研究所独立小隊へ防戦要請発令。」
受話器を置いた水野指令から説明が始まる。
「今度は北海道エリアでまたパックンマンだ。もう一度対応を頼む。」
「了解。」
飛鳥馬さんが、オレ達の方に向いた。
「じゃ、もういちど、今回は集中力を保つことが肝だと思う。連戦だけと、乗り切ろう!」
「了解!」「了解です。」
同じ動きをもう一度最初から、繰り返してやり直し、モチベを保つのも含めて結構こういう地味なことがキツイな。
決められたルートを確実に動かし続ける、単純機械作業になってしまっていて、逆に辛い。それでも何とかルート通りにパックンマンを動かし続けて約30分。
作戦室のパトライトが消えると、ゲームが強制終了した。
「終わったな。お疲れさま。」
「今回・・」
水野指令が何かを話し出した瞬間だった。
ビーーッ。
水野指令のデスクの電話が鳴り、同時に館内放送が入る。
「ブァー、ブァー、ブァー。至急、至急、ネット侵犯発生、第二防衛線が突破された。電脳研究所独立小隊へ防戦要請発令。繰り返す、ネット侵犯発生、第二防衛線が突破された。電脳研究所独立小隊へ防戦要請発令。」
水野指令が受話器を置いた。
「また沖縄南西諸島エリアで『パックンマンだ』。頼む。」
「了解です。」
「聞いての通りだ。やるしかないな。」
「了解。」「了解。」
決められたルートを動かし続けるだけだけど、ミスは許されない。頭の中心あたりが熱くなってくる気がする。これはかなり精神的にも消耗するぞ。
開始から約30分、ほぼ頭の中が真っ白になりかかってきた時、ようなく作戦室のパトライトが消えて、ゲームが強制終了した。
「はぁ。」
「うわぁー。」
飛鳥馬さんと柏木さんから大きな溜息が出てる。
ビーーッ。
水野指令のデスクの電話が鳴り、同時に館内放送が入る。
「ブァー、ブァー、ブァー。至急、至急、ネット侵犯発生、第二防衛線が突破された。電脳研究所独立小隊へ防戦要請発令。繰り返す、ネット侵犯発生、第二防衛線が突破された。電脳研究所独立小隊へ防戦要請発令。」
「まじか!」
珍しく飛鳥馬さんが感情的な声を上げた。
受話器を置いた水野指令は重苦しい口調だ。
「今度は九州エリアだ。頼む。」
「もしかして?」
飛鳥馬さんが水野指令を見る。
「そうだ、『パックンマン』だ。」
「指令、念のためBチームの招集をお願いします。」
「了解した。」
「みんな、バックアップも手配している。きついと思うが、出来るところまでは持ちこたえよう。」
「了解!」「了解。」
勝利ルートに沿って確実にパックンマンを動かす。動かす。動かす。あっ、間違えた。まずい、本当に集中力が切れてるぞ。喉もカラカラで口の中がヒリヒリする。
「あぁっ!」
柏木さんが声をあげた。ミスったんだな。柏木さんも集中力が切れかけてるようだ。
うわっ、オレもまたミスった。これはマジでやばいかも。
「点数押されてるぞ。Bチームは回線準備中なので、もう少しだけ耐えてくれ。」
水野指令が立ち上がっている。
敵チームとの点数差が徐々に開いていく。まずいぞ。
そう思たった瞬間、電源が落ちていた3つのモニターが点灯し、馬場さん達の顔が映った。
「Bチームが参戦してくれた!」
あぁ、Bチームが神様に見えるよ。
Bチームが参戦したおかげで、こちらはフルスペックでの対応になり、あっというまに点数差は逆転した。すると逆転したその瞬間に作戦室のパトライトが消えて、ゲームが強制終了した。




