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第55話 宴席増殖中

 「ちょっと店長ー。」

柏木さんが口を尖らせて抗議の姿勢を表している。


「まぁまぁ。気になる異性をいじめちゃうみたいな感じですかね。」


「なんですか、その小学生の学級会みたいな話は。」

みんなでケラケラ笑ってる。

あぁ、もう周囲も巻き込んでみんなわちゃわちゃ。基地の中とは思えない、平和な空間だよね、ここ。


「失礼します!」

ん?女性?

引き戸が開くと、橋田さんだった。


「こんばんはー。ご一緒して良いですか?」

「わー、橋田さん、どうぞどうぞ。今ちょうど石狩鍋が終わった所で、これから飲みタイムなのよー。」

「あ、これ、沢田さんから預かってきました。」

橋田さんが一升瓶を飛鳥馬に手渡す。


「え?これ、『丹沙汰』? うわー。沢田さん、わざわざ届けてくれたんだ、ありがとうございます!」

飛鳥馬さんの目が更に輝きを増したようだ。


「えぇっ?これって、もしかして、幻のどぶろく『丹沙汰』?えぇ、何で橋田さんが持ってるの?」

店長も『丹沙汰』に反応してるぞ。


「あぁ、これは沢田さんから飛鳥馬さんにって預かって来たんですよ。」

「沢田さんって、乗馬コースの厩務員さんの?」

「はい。あの人、昔からこの酒を飲んでるみたいで、特別に送ってもらえるらしいんですよね。で、飛鳥馬さんに一本渡す約束したからって。あ、今日みんなで乗馬コースで乗馬体験したんですね、で、その時に話が盛り上がったんです。」


「飛鳥馬さん、それ、飲んでみませんか?」

「え?でも、居酒屋に酒の持込はNGでしょう。持って帰って飲みますよ。」

「いえいえいえいえ。何をおっしゃいますか。どうぞ、持込でもなんでもして下さい。っていうか、夕食持ち込んで食べてましたよね?」

「あ・・。確かに。え?ここで飲んじゃって良いんですか?」

「えぇと、ですね。出来れば、自分もご相伴頂けないかなーと。」

「あ、なるほど。そう言う事ですか。もちろん、お酒は皆で楽しむのが基本ですよ。飲んでみましょうよ。」

「うわー、ありがとうございます。 おーい、ジュンくーん、日本酒グラス3個持ってきて―。あ、その前に、橋田さん、注文あります?」

「店長、私、なんか雑に扱われてません?それ運んできたの私ですよ?」

「いやー、橋田さまー。何をおもちしましょう?」

「私、生ビール貰えますか?」

「ジュンくーん、生ビール1、最優先、最大戦速で姫様へお持ちしてー。」


また、みんなでゲラゲラ笑う。

橋田さんも巻き込んでわちゃわちゃだ。


「そういえば、沢田さんって、橋田ちゃんって呼んでたよね?知り合いなの?」

「私、乗馬部入ってて、師匠が沢田さんなんですよ。」

「あー、なるほどねー。」

橋田さんが柏木さんの横の定位置に座って早速話が始まったようだ。


「お待たせしましたー。生ビールとグラスっすー。」


店長はグラスを飛鳥馬さん、柏木さんと自分の前に置いた。

「私が注ぎますよ。」


店長が飛鳥馬さんのグラスに注ぎ始める。

とくとくとくとく・・・。

うわ、白いドロドロした酒なんだ。甘酒みたいな感じかな?


飛鳥馬さん、柏木さん、店長自身のグラスに注ぎ終わると、店長はグラスを持ち上げて、色んな角度から見ている。

「これって、普通にどぶろくにしか見えないですよね。本当になかなか手に入らなくて、初めてなんですよ。」


「じゃ、味わってみましょうか。今日は、こんな楽しい機会を作ってくれた店長に感謝です、乾杯!」

飛鳥馬さんの乾杯の音頭で、中締め的に乾杯。


最初に声を出したのは、飛鳥馬さん。

「ふわぁ、これはどぶろくっていうか、米だ。米の味とアルコールのパンチが凄い。こんな酒があるんだな。」


「これは間違いなく、飲みやすい酒ではないし、今時のウケる酒ではないし、万人受けは絶対しない酒ですね。でも、この癖がクセになる酒ですよ。誰にも媚びない、天上天下唯我独尊な酒ですね。驚きました。これは凄い。」

続いて店長。


「これはマニアックだ。」

柏木さんは一言だけ。でも酒の飲めないオレでも、言いたいことは、この一言で察することが出来た気がする。


飛鳥馬さんと店長はそのまま酒談義に突入してしまった。

店長、店は大丈夫なんだろうか?


そして、柏木さんと橋田さんは女子会チーム、かと思いきや・・。

「下田くん、彼女にメッセージしたの?」「彼女のどの辺が好き?」「彼女なんて呼んでるの?」「彼女は下田くんを何て呼ぶの?」

と何故か、オレがターゲットになってるし。


酒に弱いはずの橋田さんが2杯目の生ビールを飲み始めた。

「下田さん、リアル初恋が今の彼女さんですよね?どういう所が良かったんですか?他の女の子からアプローチがあったらどうしますか?」

「えぇっ、なになに、橋田さん、下田くんゲットに動くのか―。」

あぁ、もう女子会チーム、単なる酔っ払いになってしまったようだ。


「いや、だから彼女じゃないですって。」

「じゃ、彼女募集中ってことで良いんですか?それなら私とメアド交換してもらえますか?」

「おー、橋田さん、積極的だねー。ヒューヒュー。」


もうこれは退行しすぎて、高校生でもなくて、中学生の会話みたいになっちゃってるよね。

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