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3つの魔法  作者: 火神ツバメ
2/2

森の中でのチェス

?「ますた〜ますた〜」


誰だ?誰かが誰かを呼ぶ声がする。


?「ますた〜朝ですよ〜起きないとイタズラしちゃうよ〜にひひ。」


俺は慌てて起きた。


?「あっ。起きちゃった。おはよ〜ますた〜。」


流星「えっと。おはよう…」


目の前には見知らぬ狐のぬいぐるみが俺に向かって喋っている。

昨日はいろいろあって頭がまわらない。


?「ん?なんだか良く分かってないって顔してるね。まぁ無理もないよね〜昨日はいろいろあったからね。」


流星「その声…確かミルフィだっけ?俺の使い魔になってくれた。」


ミルフィ「正解!はなまるはなまる二重丸!」


流星「なんでぬいぐるみの姿をしているんだ?」


ミルフィ「あ~。これはね〜。現実世界でミル達使い魔はマスターからの魔力供給がなければ具現化出来ないんだよね〜。以前まではカロス様がマスターだったから問題無かったんだけど、昨日の時点でますた〜がマスターになったからますた〜からの魔力供給ではこれが限界かな。」


流星「ふーむ。俺から魔力を貰ってるってこと?俺に魔力なんてあったのか。」


ミルフィ「えーと。厳密に言うとますた〜の魔力じゃなくてますた〜の持つカロスカードからかな。」


流星「カロスカード!そういえば、夢でカロスから貰ったよな。あれ?何処だ?」


ミルフィ「今はますた〜の心の中かな。大丈夫、夢の世界でなら使えるから。あとミルも夢の世界ならちゃんと元の姿に戻るから心配ご無用なのだ!」


流星「なるほど。なんとなく分かった。あと改めてカロスゲームについて聞きたいんだけどいいかな?」


ミルフィ「モチのロンだよ〜カロスゲームはゲーム参加者がカロスカードを集めるゲーム。カロス様が残りのカロスカードをばら撒いたからそのカードの持ち主を探さなくちゃいけないの。」


流星「カードの持ち主を探す?どうすればいいんだ?」


ミルフィ「カロス様からの説明にもあった通りカロスカードは人の願いや想いに反応する習性があるんだよ〜。その人の願いや想いを成就させようと魔法を発動させる。その魔法が発動すれば何らかの異変が起こるはずだからそれを一緒に探すんだよ〜。」


流星「うーん。これは実際にその異変に出会ってみないとわからないな。それにたくさんの人の中から探しだすのは至難の業だな。」


ミルフィ「それなら大丈夫。カロスカードはカロスカードに引き寄せられる習性もあるからゲーム参加者の3人の身近な人がカロスカードに選ばれる可能性が高いの!だから、いつも通り生活しつつ周りに気を配れば大丈夫なの!ますた〜なら大丈夫だよ〜なんたってミルがついてるからね!」


流星「分かった。とりあえず、いつも通り過ごすかな。」


蜜柑「お兄ちゃーん。朝だよ~。」


流星「やべっ。朝御飯食べなきゃ。それじゃあ俺はそのまま学校に行くけど、ミルフィはどうする?」


ミルフィ「ミルはお留守番してるの〜」


流星「了解。」


リビングには既に蜜柑が朝食を食べていた。


蜜柑「おはよう。お兄ちゃん。」


流星「あぁ。おはよう。蜜柑。」


蜜柑「珍しいね。お兄ちゃんが寝坊するの。」


流星「あぁ。昨日は夜遅くまで本を読んでたからかな。」


蜜柑「ふーん。あっそうだ。今日はダンスのレッスンがあるから少し遅れるかも。」


流星「了解。ダンスのレッスン頑張れよ。」


蜜柑「うん。頑張る。」


蜜柑は芸能事務所に受かってから着実にアイドルになるために頑張っていた。

そうだ。俺がカロスゲームに負けたら蜜柑が死ぬのだろうか。考えたくもないな。

蜜柑の為にも頑張らないとな。

俺はそう強く胸に誓うのだった。


大学まではバイクで20分程だ。


?「ヨッス!流星!朝飯くったか〜」


後ろから背中を叩きながら話しかけてきたコイツは俺の高校からの友人の都筑真太郎。


流星「おぅ。真もちゃんと食ったか?」


真太郎「アタボーよ。俺は毎朝ご飯を三杯は食べるからな。」


流星「なんでそこで見栄を張るんだよ。二杯だろ?」


真太郎「なっはっは。親友は騙せんな。」


そんなことを話しながら教室に向かった。


真太郎「そんなことより流よ。課題移させてくれ。」


流星「またかよ。そんぐらい自分でやれよ。」


真太郎「すまん。恩に着る。次回からは多分すり。」


流星「まだ貸すとは言ってないんだがな。まぁしょうがないな。」


?「駄目よ貸しちゃ。流星君が甘やかすからこの駄目太郎は駄目になってしまうのよ。」


真太郎「誰が駄目太郎だ!俺は真太郎だ!」


?「そんなことは知ってるわよ。はぁ朝から疲れるわね。」


コイツは大学から友人になった霧谷時音。


流星「まぁ霧谷の言うとおりだな。今回は貸さないことにしよう。」


真太郎「なんだと!くぅこうなったら霧谷!見せてくれ!」


時音「嫌よ。どうしてもと言うならチェスで私に勝てたらね。」


真太郎「出たよ。チェス。何かあったらチェス。本当に好きだな~。


時音「どうでもいいでしょ。流星君今日はサークルに顔出すわよね?」


流星「ん?あぁ。そのつもりだよ。」


時音「わかったわ。」


そうこうしている間に教授が来てしまった。

それから昼ご飯を食べ昼の講義も終えた俺はチェスサークルの活動をする為に空き教室に移動した。

チェスサークルは俺と霧谷の2人だけだ。

大学に入学して暫くしたある日俺は大学内を散策していた時に空き教室で一人でチェスをしている霧谷と出会った。

同じ学科だったから面識はあったが喋ったことはなかった。

俺はなんとなく気になって声をかけると霧谷の方から「貴方もチェスが好きなの?」と聞かれ俺は咄嗟に「はい。」と答えた。

それから勝手にチェスサークルと名乗り勝手に空き教室でチェスをやるようになった。

最初は戸惑ったが、霧谷からチェスの楽しさを教えてもらい今では趣味の1つだ。

因みに、真太郎も誘ったが「俺に頭を使う遊びは無理だ」と言って断られた。


時音「来たわね。さぁやりましょう。」


流星「あぁ。」


チェスをやっている時の霧谷はとても楽しそうでまるで童心に還ったかのようだ。

そんな霧谷とチェスをやっていると俺も楽しい。

楽しい時間はあっという間に過ぎていくものだ。


流星「あ〜。また負けた。まだまだ霧谷には勝てないな。」


時音「まだまだ負けるわけには行かないわよ。」


流星「霧谷はいつからチェスをやってるんだ?」


時音「子供の頃からね。父に教えてもらったの。」


流星「そっか〜。お父さんとは今でもやるの?」


時音「…。まぁたまにね。それよりそろそろアルバイトの時間なんじゃないの?」


流星「あっ。そうだった。そんじゃ行くわ。また明日。」


時音「えぇ。また明日。」


俺はそのままバイト先である喫茶店に向かった。

大学から少し離れた場所にある喫茶店に大学に入学してから働かせてもらっている。

喫茶店のドアを開けるといつもの元気な声が聞こえる。

?「いらっしゃいませー!って流星君か。今日もよろしく頼むよ!」

挨拶してくれたのはこの喫茶店の店長の笠子則武さんだ。背が高くてスキンヘッドだから最初は驚いたが、とても優しい人だ。店長の淹れるコーヒーはとても美味しいが店長が毎朝作っている自家製のパンは美味しくない。


笠子店長「流星君。今日のは自信作だよ!煮干しパンだ!煮干しを粉末状にした物をパン生地に練り混ぜ焼きあげたんだ!さらに、焼く前に煮干しをパンに入れることで煮干しその物の味を楽しむことも出来る!カルシウムも取れて一石二鳥さ。さぁ流星君も1つ食べてくれ!」


流星「はい…。」


俺はいやいやながらパンを口に入れた。

ジャリジャリ。砂を食べてるみたいだと思ったら。


流星「痛っ。煮干しの尻尾が口ので刺さった。」


笠子店長「大丈夫か?流星君。」


流星「はい。大丈夫です。えっと美味しかったです。」


笠子店長「そうか!やはりわかる人にはわかるもんだな。だけど、なかなか売れないんだよな〜。」


流星「ははは。何故ですかね〜。俺準備してきますね。」


俺はその場を後にしロッカールームに行き店のエプロンをつけてキッチンに向かった。

俺は簡単な料理ぐらいなら出来るからキッチンを担当している。ホールを担当しているのは…


?「あっ先輩。お疲れ様ッス。」


流星「あぁ。若菜ちゃん。お疲れ様。今日もよろしくね。」


この子はバイト先の後輩で橋本若菜ちゃん。高校1年生だ。


若菜「先輩も毎回律儀ッスね。」


流星「店長のパンのことか?まぁ店長も真面目に作ってるからな。若菜ちゃんは食べなかったの?」


若菜「食べてないッスよ。煮干しアレルギーなんッスって嘘ついちゃいました。」


流星「そこまでして食べたくないか。」


若菜「店長には申し訳ないッスけど、あれは食べれないッス。初めてこの店に来た時に食べて以来身体が拒否反応を示して無理ッス。コイツは危険だって赤信号が点滅してるッス。だから、先輩が居てくれて本当に助かってるッス!因みに今日のは10点中何店ッスか?」


流星「ん〜。2点かな。」


若菜「やっぱり食べなくて正解ッスね。」


そんなことを話しながらバイトをこなした。


ーーーーーーー

唐沢蜜柑side


蜜柑は学校が終わり今日もダンスレッスンに励んでいた。蜜柑以外にもアイドル志望の子達と一緒に練習に励んでいる。

その中でも一際目立つのが花坂玲奈だ。

彼女は歌もダンスも他の子達よりもワンランク上にいる。

蜜柑ですらそれを理解出来るほど彼女は凄かった。


蜜柑「やっぱり本当に才能がある人は凄いな。」


先生「確かに彼女には才能があるかも知れないわね。でも、才能だけじゃないかもしれないわよ?」


蜜柑「えっ。それはどういう意味ですか?」


先生「さっレッスンを再開しましょうか。」


ダンスの先生はそれ以上は教えてくれなかった。

ダンスレッスン終了後、皆が帰る中で私は花坂さんを待っていたが一向に出てくる気配がない。

私は気になってレッスン教室に戻るとそこには残って練習している花坂さんの姿があった。


先生「彼女は毎回レッスン後に残って練習しているのよ。」


蜜柑「そうだったんですね。」

私は先程の自分の発言が恥ずかしくなった。アイドルになるために頑張ると決めたはずなのに、才能なんて簡単な言葉で片付けようとしていた。


蜜柑「先生。私も残って練習していいですか?」


先生「30分だけならね。」


蜜柑「ありがとうございます。」


私はそっとレッスン教室のドアを開けた。

すると、花坂さんは驚いたようにこちらを見ていた。

蜜柑「花坂さん。私も一緒に練習してもいい?」


玲奈「…。別にここは玲奈の場所じゃないわ。貴方の好きにすればいいんじゃない?」

そう言うと再び練習を再開した。


蜜柑「うん。ありがとう。」

蜜柑も同じように今日習ったことの復習を始めた。


ーーーーー

霧谷時音side


チェスサークルの活動を終えた後、家に帰り母と晩御飯を食べていた。

私の家は私が小さい頃に両親が離婚しており、それ以来、母と二人で生活をしている。

霧谷母「時音ちゃん。少しいい?」


時音「うん?何?」


霧谷母「お父さんがね。再婚することになったらしいの。」


時音「えっ。」

私は突然の母からの報告に驚いた。


霧谷母「それでね。1年に1度、お父さんに会っていたと思うんだけど、それを次回で最後にしてほしいって連絡があったの。まぁ仕方ないわね。再婚するんならね。」


次で最後。父に会えるのが…。


霧谷母「それでね。今週の土曜日に会いたいらしいんだけど、時音ちゃんその日大丈夫?」


時音「今週の土曜日って明後日。分かった。」


霧谷母「ごめんね。こっちの都合ばっかりで。」


時音「うんうん。大丈夫。それにお父さんに新しい家族が出来るんだもんね。お祝いしてあげなくちゃ。」


霧谷母「そうね。それじゃあ、お父さんに大丈夫って連絡しておくわね。」


時音「うん。」


明後日で最後。じゃあ父とチェスが出来るのも最後になるのか。

私は複雑な気持ちを抱いたまま眠りについた。


ーーーーーーー

唐沢流星side


次の日。

同じように俺は大学に向かった。

真太郎「ヨッス!流星。おはよう。」


流星「あぁ。おはよう。」


真太郎「流星。聞いてくれよ。昨日帰りにコンビニに寄ったらいつものお菓子が売り切れててさ〜」


流星「あれってあの系列店限定じゃなかったっけ?」


真太郎「そうなんだよ。だからわざわざ遠くのコンビニまで行って見事ゲットしてきたぜ!」


流星「そこまでするもんかね。霧谷はどう思う?」


時音「…。」


流星「霧谷?」


時音「えっ?ごめん。聴いてなかった。」


流星「大丈夫か?何か悩みごとか?」


真太郎「悩みならこの真太郎様に打ち上げるがよい!」


時音「ごめん。今は一人にして。」


真太郎「どうしたんだ?流星何か知らないの?」


流星「いや、分からないけど今はそっとしておいてあげよう。」

その日はそのまま講義が終わり俺は念の為チェスサークルをいつもやっている空き教室に向かったが、霧谷の姿はなかった。

その後バイトに向かいいつも通りバイトをこなした。

因みに今日の店長のオリジナルパンは納豆パンだった。

その日はそんな感じで一日が過ぎていった。

次の日

俺はいつも通り大学に向かった。


真太郎「ヨッス!流星。おはよう。」


流星「あぁ。おはよう。」


真太郎「流星。聞いてくれよ。昨日帰りにコンビニに寄ったらいつものお菓子が売り切れててさ〜」


ん?何か昨日も同じことを聞いたような気がする。


流星「あれってあの系列店限定じゃなかったっけ?」


真太郎「そうなんだよ。だからわざわざ遠くのコンビニまで行って見事ゲットしてきたぜ!」


流星「そこまでするもんかね。霧谷はどう思う?」


時音「…。」


流星「霧谷?」


時音「えっ?ごめん。聴いてなかった。」


流星「大丈夫か?何か悩みごとか?」


真太郎「悩みならこの真太郎様に打ち上げるがよい!」


時音「ごめん。今は一人にして。」


真太郎「どうしたんだ?流星何か知らないの?」


流星「いや、分からないけど今はそっとしておいてあげよう。」


あれ?おかしくないか?昨日と全く同じ会話同じ状況だ。

俺はふとスマホを取り出して日付を確認してみると、昨日の日付になっていた。

俺は混乱しながらもいつも通りに一日を過ごした。

家に帰りミルフィに今日の出来事を相談することにした。

ミルフィ「なるほど〜。ますた〜の説明が本当ならカロスカードの仕業かもね〜。」


流星「前にミルフィが言ってたカロスカードによる異変が起きてるってことか。だとすると誰かの願いや想いを叶える為にカロスカードが発動してるのか。一体誰なんだ?」


ミルフィ「前にも言ったかもだけど、カロスカードはカロスカードに惹かれる習性があり尚且ますた〜が異変に巻き込まれてるとなるとますた〜の身近な人がカロスカードに選ばれた可能性が高いの〜。」


流星「俺の身近な人か。」


ミルフィ「今日を繰り返す異変を起こしているということはカードの持ち主は明日になって欲しくないのかもしれないの〜。明日何か予定あるの?ますた〜。」


流星「明日は…。特に何もないはずなんだけどな〜。」


ミルフィ「うー。とにかく今日はもう何も出来ないからまた明日身近な人に明日の予定を聞いてみるの〜。」


流星「分かった。いろいろありがとうな。凄く助かった。」


ミルフィ「当然なの〜。ミルは優秀なの〜。あと、多分今日に戻るとミルの記憶もリセットされちゃうから朝ミルに記憶の共有をお願いしてほしいの。そうすれば、今話した内容を思い出せるの〜。」


流星「分かった。じゃあ、また明日だね。」


そして、また今日が戻る

ミルフィ「おはようなの〜ますた〜。」


流星「おはよう。ミルフィ。早速で悪いんだが俺と記憶の共有をしてくれないか?」


ミルフィ「ん?記憶の共有が出来るのを誰かに教えてもらったの?ますた〜。」


流星「ミルフィに教えてもらったんだよ。まぁとにかく頼む。」


ミルフィ「了解なの!」


ミルフィ「思い出したの〜。じゃあますた〜身近な人に明日の予定を聞いて周るの〜。それと今日はミルも一日ますた〜と一緒にいるの〜」


流星「それは構わないけど、何か理由があるのか?」


ミルフィ「ますた〜が皆に明日の予定について聞くことでカードの持ち主には何かしらの反応が現れるはずなの。カロスカードは持ち主の心に強く反応するから持ち主が動揺すれば必ずカロスカードにも反応があるはずなの〜。それをミルが探し出すの!」


流星「なるほど。よし。二人で頑張ろう!」


ミルフィ「おーなの〜。」


朝食

流星「蜜柑。いきなりで悪いが明日何か予定あるのか?」


蜜柑「急にだね。特にないけど、どうしたの?お兄ちゃん。」


流星「いや、ちょっと確認したかっただけだ。」

蜜柑は違いそうだな。


大学


真太郎「ヨッス!流星。おはよう。」


流星「あぁ。おはよう。」


真太郎「流星。聞いてくれよ。昨日帰りにコンビニに寄ったらいつものお菓子が売り切れててさ〜」


流星「そんなことより真太郎!明日は何か予定あるか?」


真太郎「そんなことって、俺からしたら死活問題だぞ!明日?明日はな〜大事な予定があるんだ。」


流星「なっなんだ?」


真太郎「なんと!俺が大好きなアイドルの握手会があるんだよ!だから、すまんな流星。」


流星「なんだ、握手会か。」


真太郎「なんだとはなんだ!今日の流星冷たくないか?なぁ霧谷!」


時音「えっ?ごめん。聞いてなかった。」


真太郎「お前もヒドイな!もういいよ!」


流星「まぁアイツのことは放っといて、霧谷は明日何か予定あるのか?」


時音「明日、明日は何か予定があったと思うけど、何だったかな?」


ミルフィ(ますた〜カロスカードの反応があったの!この子で間違いないの!)


流星(了解。ていうか、今頭の中で話が通じてる?)


ミルフィ(念話なの。ますた〜とは魔力の繋がりがあるから出来るの〜)


流星(そうなんだ。便利だな。ところで、これからどうすればいいんだ?)


ミルフィ(あとはいつも通り過ごしてもらえばいいの。また帰ったら教えるの。)


流星(分かった。)


俺はいつも通りに過ごし家に帰った。

ミルフィ「それじゃあ説明するの。カロスカードの持ち主が分かったからカロス様にその人の夢の世界へ移動させてもらわないといけないの。」


流星「つまりその人の夢の中に行くってこと?」


ミルフィ「そうなの。そして夢の世界にはその人のコアが必ずあるのそれを探し出してその人が望む要求に答えるの」


流星「要求って具体的にはどんな要求があるんだ?」


ミルフィ「それはその人に聞かないと分からないの。」


流星「そっか。とにかく行ってみるしかないな。」


ミルフィ「夢の世界に行くにはその人とますた〜が寝ていないと駄目なの。」


流星「分かった。それにしても他人の夢の中に勝手に入るのはなんだか申し訳ないな。」


ミルフィ「仕方ないの。カロスカードを回収しないとこの異変は解決しないの。それにもしかしたら他の参加者に取られちゃうかもしれないの。」


流星「そっか。霧谷には今度ご飯でも奢ろう。」


そして俺は眠りについた。

流星「ここは夢の中?」


ミルフィ「そうなの!」


流星「あっ。元の姿に戻ってるね。」


ミルフィ「そうなの!それじゃあ早速カロス様に連絡するから少し待ってて欲しいの。」


するとミルフィは目を閉じた。暫くすると目の前にカロスが現れた。


カロス「やぁ。久しぶりだね。二人共。元気にしてたかな?」


ミルフィ「カロス様。お久しぶりなの〜。ミルは元気だったの。」


流星「えっと、早速で悪いんだけどゲートを開いて欲しいんだけど。」


カロス「了解しました。さて誰の夢の世界に行きたいのかな?」


流星「霧谷時音の夢の世界に。」


カロス「了解しました。それじゃあ行くよ?」


次の瞬間、目の前が真っ白になり眼を開くとそこは森の中だった。


ミルフィ「無事に移動出来たみたいなの。カロスカードの気配が強くなったの。」


流星「ここが、霧谷の夢の中?この森の中の何処かにコアがあるんだっけ?」


ミルフィ「そうなの。でもそれをカロスカードの精霊は邪魔してくるの。この森もカロスカードの精霊の仕業なの。コアに近づけさせないようにしてるの。」


流星「なるほど。そう簡単にはいかないか。とにかく行くしかないよな。」


ミルフィ「気をつけて進むの。夢の中だけど死んだりするとそのまま目覚められなくなるの。」


流星「マジか。」


ミルフィ「大丈夫なの。ミルがますた〜を守るの。」


流星「うん。じゃあ行こうか?」


ミルフィ「その前にますた〜ウインドのカードで空を飛んでみて欲しいの。上から状況を確認してみてほしいの。」


流星「分かった。」

俺はポケットからウインドのカロスカードを取り出した。


流星「我に力を与えたまえ、ウインド!」

ウインドのカードの魔法で俺とミルフィは空を飛び上昇した。

すると、周りの木も伸びてきた。


流星「これじゃあ全体を見渡せないな。」


ミルフィ「仕方ないの。歩いて行くしかないの。」

俺とミルフィは諦めて歩いて森の中を散策することにした。

歩いていると頭の中に誰かの声が聞こえてきた。


流星「この声は霧谷?」


時音「私がチェスを知ったのは幼い頃に父に教わったのが初めてだった。それ以来、父とチェスをやるようになったが一度も父には勝てなかった。子供の私相手でも真剣勝負。そんなとこも似たのかな。それから暫くして父と母が別れてからも一年に一度会う度にチェスをした。私は父も母も大好きだ。別れてしまったけど、いつまでも私の父であることに変わりはしないのだと思っていた。」


時音「でも、そうじゃなかった。父は再婚するのだと言う。新しい家族をつくる。もう会えなくなる。もう私の父ではなくなるの?そう思うと今まで父に勝ちたくて褒めてほしくて頑張ってきた大好きなチェスが出来なくなった。本当は父にお祝いしなくちゃいけないのに出来そうもない。明日がこんなにも来てほしくないと思うのは初めてだ。」

霧谷の今の心の声が聴こえてきた。


流星「それで明日になってほしくないのか。」


そんなことを考えながら歩いていた時、目の前に白い大蛇が現れた。


ミルフィ「カロスカードの精霊のお出ましなの。」


流星「コイツが精霊。雰囲気からしてこれ以上立ち入るなって感じだね。」


ミルフィ「恐らく正解なの。精霊、つまりカロスカードは持ち主の願いを叶え続けさせる為に存在しているからミル達の邪魔をするのは当然なの。」


白い大蛇はこちらに迫ってきた。


ミルフィ「ますた〜ウインドのカードで大蛇の上を飛んで先に進むの!ミルはコイツの足止めをしておくの。」

そう言うとミルフィは片手にナイフを握り大蛇に向かって行った。

大丈夫なのかと言いそうになったが、俺が居ても足手まといにしかならないと思いミルフィを信じてウインドのカードを使い大蛇の上を飛び先に進んだ。

少し先に進むと開けた場所に出た。

そこは花畑になっていてその中央に丸い球体が浮いていた。


流星「これがコア。」

流星はコアに触れるとまた頭の中に声が聴こえてきた。


時音「流星君?どうして流星君がここにってまぁ夢なら有り得なくはないか。」


流星「霧谷。俺がここに来たのは霧谷にはある魔法がかけられていて、その魔法を解除する為に来たんだ。」


時音「魔法?どんな魔法なの?」


流星「一日が繰り返される魔法みたいなんだ。霧谷が悪いわけではなくて、霧谷は巻き込まれただけっていうか。」


時音「なるほどね。一日を繰り返す魔法か。それが本当なら悪くないかもしれないね。私は明日になってほしくないから。」


流星「霧谷みたいに明日嫌なことが待っていると分かっていたら普通は明日になって欲しくないと思うかもしれない。けど、本当に心の底から明日になって欲しくないと願っているのか?今日をずっと繰り返すまま、立ち止まったままでいいのか?」


時音「分かった。なら勝負しましょう。私が勝ったら私に関わらないで、私が負けたら明日が来ることを受け入れる。」


流星「分かった。何で勝負する?」


時音「勿論、チェス。」


流星「…。分かった。じゃあ始めようか。」

すると目の前にテーブルと椅子が現れテーブルにはチェス盤が置かれていた。

流星が椅子に座ると霧谷も姿を現し、椅子に座った。そのままチェスが始まる。

流星はチェスで今まで霧谷に勝ったことがなかった。

霧谷は常に冷静に最善の手を指してくる。

だが今日は違った。

霧谷の手には迷いが生じていた。

その隙きを流星が突く!


時音「くっ。」


霧谷らしくないミス。そのミスを流星は見逃さなかった。


流星「霧谷。俺は今まで霧谷には勝ったことがなかったよな。それでも俺はいつか霧谷に勝てるように今までチェスをやってきたつもりだ。その成果が今ここに現れている。一日一日を着実に歩んできた結果だ。霧谷もそうじゃないのか?」


時音「…。」


流星「霧谷もお父さんに勝ちたくて毎日練習してきたんじゃないのか?明日もし最後だとしても今まで霧谷が頑張ってきたことはきっとお父さんに伝わると思うぞ!」


時音「…。」


流星「チェックメイト。」


時音「ふー。私の負けね。確かに貴方の言うとおり明日が来ないままなんて嫌ね。ここにずっと居ても何も生まれない。でも、明日が訪れることで何かしらが変わるかもしれない。それが例え駄目な結果になったとしてもまた歩んでいけばいいんだよね。」


流星「そうだな。」


時音「ありがとう。何だかすっきりした。それじゃあ流星君また明日。」


流星「あぁまた明日。」

そう言うと目の前にカロスカードが現れ、そのカードに森と蛇が吸い寄せられた。


流星「ウッドのカード。森と蛇が描かれてる。」

次の瞬間目の前が真っ暗になり俺は眼を覚ました。


ミルフィ「おはよ〜ますた〜。」


流星「あぁ。おはよう。って今日は何曜日だ?」


流星は慌ててスマホの画面を見るとそこには土曜日の文字があった。


流星「ふー。良かった。」


ミルフィ「お疲れなの。ますた〜。これでカロスカードは2枚になったの。」


流星「ミルフィの助けがあったからだよ。ありがとう。」


ミルフィ「使い魔として当然なの。この調子でカード全部集めるの〜。」

こうしてなんとか2枚目のカロスカードを獲得することができた。

月曜日

大学


真太郎「ヨッス!流星。おはよう。」


流星「おはよう。真太郎。」


真太郎「聞いてくれよ。マイフレンド!昨日クーポンがあると思って寿司屋に行ったらここは対処店舗じゃありませんって言われてさ〜。」


流星「それは残念だったな。」


時音「ちゃんと調べなかったアンタが悪い。」


真太郎「うっ。それより、元気になったんだな。良かった良かった。」


時音「私はいつも通りよ。流星君。今日もチェスサークル来るでしょ?」


流星「あぁ。勿論。」


講義が終わり俺は今いつもの空き教室でチェスを霧谷とやっている。


時音「実は土曜日に父と会ってね。あっ、私の家、両親が離婚しててね。父とは年に1回しか会ってないんだけどね。それが土曜日だったの。」


流星「そうなんだ。お父さんとは何か話したの?」


時音「えぇ。いろいろ。私にチェスを教えてくれたのは父でね。それからずっと父にはチェスで勝ったことなかったんだけどね。土曜日、初めて勝てたの。」


流星「そっか。良かったな。」


時音「えぇ。本当に良かった。」


流星「俺も負けてられないな。今日こそ霧谷に勝つからな。」


時音「貴方も成長してるけど私も成長しているのよ。ほら、チェックメイト。」


流星「あっ。参りました。」


時音「ふっふ。貴方が私に勝つのはいつかしらね。」

そんな風に嬉しそうにチェスをやる霧谷の顔を見て改めて良かったと思えた。




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