【漫才】漫才コント漫才
ボケ「突然なんだけどさ、俺最近すげぇ納得出来ないことがあるんだよ」
ツッコミ「納得できないこと?」
ボケ「漫才中にコントするのずるくね?」
ツッコミ「は?」
ボケ「あんなもん、コントネタを漫才に流用してるだけじゃん。漫才の皮を被ったただのコントじゃん。コントを漫才だって言い張ってるだけじゃん!」
ツッコミ「お前、漫才中にコントする芸人 全国に何人いると思ってんだ!?村八分にされるぞ!?もう漫才やってけないぞ!?」
ボケ「大丈夫だよ。そうしたらコント師としてやっていけばいいんだから」
ツッコミ「俺達コントなんかやったことねぇだろ」
ボケ「大丈夫だよ。コント中に漫才すればいいだけの話なんだから」
ツッコミ「は?」
ボケ「漫才中にコントしだす奴もいるんだから、コント中に漫才しても文句言われる筋合いはねぇだろ!」
ツッコミ「漫才中コントすることへの抵抗はあるのに、コント中漫才をすることへの抵抗はないのか!?
だいたいさ?そんなことして、ちゃんと面白いコント作れんのか?コント中に漫才しだすって、設定にかなりの無理が生じると思うぞ?」
ボケ「そう言われると不安になってきたな……じゃあ、ちょっと試してみるか。俺が、将来漫才師を目指す学生役やるからお前はその友人役をやってくれ!」
ツッコミ「まぁ俺は別に構わないけど……お前はちょっとは構えよ!お前、今から漫才中にコントしようとしてんだぞ!お前がずるいと言って批判していた漫才中のコントをしようとしてんだぞ!」
※ボケ、マイクから離れる(漫才→コントの立ち位置)
ボケ「俺さ、今まで誰にも言えなかったことがあるんだ」
ツッコミ「コイツ、俺の話ガン無視して勝手にコント始めやがった!」
ボケ「実は俺、漫才師になろうと思ってるんだ。俺、ボケやるからお前ツッコミやって」
ツッコミ「早いな!コントやり始めてから漫才やり出すまでの間がほとんどねぇ!懸念してた通り、コント中に漫才しだすって設定にかなりの無理が生じてやがる!」
※ボケ、マイクに近づく
ボケ「はい、ど~も~!よろしくお願いします!皆さん本日はお足元の悪い中、裸足で来てくださってありがとうございます!」
ツッコミ「漫才の中でコントやって、そのコントの中でも漫才やるとかもう意味分かんねぇな」
ボケ(小声)「おい、いいから早く俺のボケに突っ込みいれろよ!」
ツッコミ「なんでおめぇのあのクソみてぇなボケに突っ込みいれなきゃいけないんだよ。設定通りボケのつまらなさまで学生レベルに落としやがって……
いや、なんでお客さん裸足で来てんだよ!浜辺で漫才でもしてんのか!」
ボケ「ちげぇよ!全員水虫にかかってるから裸足で来てんだよ!」
ツッコミ「どういう状況だよ!だとしても靴くらい履いて来るわ!」
ボケ「そうだわなぁ……裸足で可哀そうに……よし!じゃあ俺が靴を売ってやる!俺が靴屋の店員やるからお前お客さんやって!」
※ボケ、マイクから離れる
ツッコミ「お前何言ってんだ!何やろうとしてんだ!漫才の中のコントの中の漫才の中のコントとか、頭おかしくなるわ!」
ボケ「いらっしゃいませー!何名様でお越しですか?」
ツッコミ「くっそ!こいつまた勝手に始めやがって!……」
※ツッコミ、マイクから離れる
ツッコミ「飲食店か!何で複数人で来ること前提なんだよ!1人だよ1人!見りゃ分かんだろ!」
ボケ「え!1人!?」(ツッコミの後方をジッと見る)
ツッコミ「怖!何か見えてんのか!?」
ボケ「なんだ、ただの悪霊か」
ツッコミ「『ただの幽霊か』って言うならまだ分かるぞ?……悪霊って時点で『ただの』って事はねぇだろ!?」
ボケ「いらっしゃいませー!どのような靴をお探しですか?」
ツッコミ「最近運動不足でして。ジョギングでも始めようかと」
ボケ「なるほど……でしたら、こちらのローラーシューズなどいかがでしょう?」
ツッコミ「走らせろよ!滑らせんじゃねぇよ!縁起でもねぇ」
ボケ「いらっしゃいませー!お客様、こちらが厚底シューズになります」
ツッコミ「なんで、俺が運動靴買いに来たこと知ってんだよ!」
ボケ「お客様とは既に別の時間軸でお会いしてますよね?」
ツッコミ「全員が全員、平行世界を知覚できてると思うなよ!」
※二人、マイクに近づく
ボケ「あ~……どうも俺、靴屋には向いてないみたいだなぁ」
ツッコミ「他に何か向いている仕事でもあんのかよ?」
ボケ「そりゃやっぱ、漫才師でしょ」
ツッコミ「やかましいわ!」
二人「どうも、ありがとうございましたー」
※ツッコミが舞台袖に下がろうとする
ボケ「おいおいおい!待て待て待て!」
ツッコミ「うぉ!なんだよ!?」
ボケ「お前何勝手に帰ろうとしてんだよ!」
ツッコミ「だって、もう終わっただろ?」
ボケ「今のは、漫才の中のコントの中の漫才を終わらせただけだからな?俺達の漫才自体はまだ終わってないからな?」
ツッコミ「付き合いきれるか!」
二人「どうもありがとうございましたー!」