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大往生?
コミュ障気味ながらも、理解ある女人と結婚でき、子供たちにも恵まれ、良い人生だった。
ウッ…
鋭い痛みが思考を遮る。痛みをとる麻薬を大量投与してもらえば、もう少し楽な最後だったかとも思うが、最後にボケて自分自身でない状態なのはいやだとここに至っても思える。これで良かったのだ。
惜しむらくは、理解ある女人は先に逝ってしまい、子供たちも遠方で生活基盤を築いたので、意識の未だ続いているこのタイミングの間に親しい者が傍にいないことか。
内部からの鋭い痛みとしばらく闘ったが、やがて彼は気絶してしまった。