表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/17

そろそろカズヨシを殺そうか

今回ダンジョンに潜ってレベリングしますが、その様子は番外編でお伝えする予定です。


もう序盤過ぎてるのでさっさとレイに最強に成ってもらいます。

 ローズとチュリップ、二人の最強NPCが仲間になった。とても嬉しい。気分が弾む。

「これでカズヨシを殺せる!」

 作戦は簡単だ。

 まずは適当な更地に爆弾を仕掛ける。500キロの爆弾だ。高層ビルも吹っ飛ばす!

 そこにカズヨシをおびき寄せる。あいつは煽り耐性無しだから、適当に馬鹿にすれば魚よりも簡単に釣れる。

 カズヨシが更地に現れたら爆弾を起爆! あいつは重傷! 弱った隙にローズとチュリップで止め!


 完璧な作戦だ。勝ったら美味い酒でも飲もう。


「女の子頼みになるのは情けないが、仕方ないか」

 正直、気が進まない作戦だ。かっこ悪い。仕方ないとはいえ、屈辱だ!


「あああ! 俺が作ったプレイヤーキャラに憑依してたらカズヨシなんて楽勝だったのに!」

 それも一番初めに作成したプレイヤーキャラだ。あれはRTA用ではなく遊び用だから、999時間以上やっている。だからレベルも99999とマックス。装備やアイテムも十分にある。


 捕らぬ狸の皮算用だと分かっているが、それでもカズヨシを倒した後のことを考えてしまう。


「カズヨシを殺したら体を取り戻す。やはり、バトルオリンピアをクリアすると貰える神の秘宝にかけるしかないか……」

 神の秘宝は簡単に言うとドラゴンボールの神龍だ。呪文を唱えることでどんな願いも一つだけ叶う。本来は魔王が纏うナイトメアオーラを剥すために使用するが、そんなことも言ってられない。


 最強の体に憑依する! 最高に楽しいぞ! そんなこと想像するだけでオラワクワクすっぞ!


 最も、俺は強い奴と戦ってもワクワクしない。なぜなら俺は世界最強! 勝つに決まっている!


「ローズとチュリップに、うんと言って貰わないといけないな」

 この作戦の最大の欠点は二人が承諾してくれるかだ。


 もしもダメと言われたら、プランBで行くしかない!




「良いですよ」

 朝食の時に考えを伝える。チュリップはパンをシチューに浸しながら笑う。


「ほんとに?」

「あの人嫌いです。それにレイ様を嫌う奴なんて全員死ねばいい」

 怖いこと言いながら平然とパンを食べる。


「私も良いよ」

 ローズが眉間にしわを寄せる。


「ほんと!」

 素っとん狂な声が出る! ローズがあっさり承諾するとは思わなかった!


「あいつ、レイのこと殺そうとしてるんでしょ。今度は、私がレイを守らないと!」

 グッと拳に力を込める。勇ましい。いつの間にそんなに逞しくなった?


「二人とも、ありがとう」

 しかし、ありがたいことに変わりはない。


「でも、私たち弱いよ?」

 ローズが首を傾げる。

「そうですねぇ。なます切りにされてしまいます」

 チュリップも頷く。


 確かに、今のままでは無謀だ。カズヨシのレベルはおそらく60以上だ。

 対してローズはレベル1、チュリップはレベル10である。


 こんなレベル差で戦うなど、竹やりで戦闘機と戦うようなものだ。


 旧日本軍なら大和魂と根性で何とかするだろうが、二人は日本人ではない。


 だからこそ、レベリングする必要がある。


「そこは心配いらない。とっておきの訓練場がある」

「どこ?」

 ローズが再度首を傾げる。

 ニヤリと笑ってしまう。苦笑いだ。


 自分の提案ながら、無茶苦茶だと思っているから。


「二週目以降限定の神隠しダンジョンへ行こう。あそこならすぐに強くなる」

 神隠しダンジョンはクリア済みデータでしか入ることの出来ない隠しダンジョンだ。

 難易度は最上級。地下5階から魔王より強い奴らがゴロゴロ出る。

 しかも階層は地下99999階。おまけに一度入ったら簡単には出られない。

 インフレすればいいってもんじゃねえだろ! 真面にプレイすると最速でも200時間はかかる!


「そんなところに行くのですか? 何年かかります?」

 チュリップはズズッと紅茶を飲む。

 全然怯えていない。世間話をするかのような感じだ。なんか凄く頼もしい。


「神隠しダンジョンは時間の流れがこちらとは違う。こっちの一時間が向こうで十年だ」

「でも、向こうで十年百年も居たら、お婆ちゃんになっちゃうよ?」

 ローズが恐る恐る自分の顔を触る。

 それ心配するの? 普通なら魔王って単語に反応すると思うんだけど。


 まあ、怯えられるよりずっと良い。


「向こうでは老化が止まる」

 神隠しダンジョンは文字通り、神を隠したダンジョンだ。神々が封印されているため、時空間の歪みが生じている。

 だから地下10000階を過ぎると神が敵として出て来る。


 石川賢が考えたようなダンジョンだ。


「まあ、私の答えは決まっています。あなた様に従います」

「私も! レイを守るために特訓する!」

 二人の元気ハツラツな返事に元気になる。


「ありがとう!」

 本来ならもっと安全なレベリングがしたい。しかし時間が無い。


 カズヨシは放っておくと被害を広げる。今も人を殺しているかもしれない。


 ならば手っ取り早くレベルが上がり、強力なアイテムも手に入る神隠しダンジョンへ行くしかない。


「出発だ!」

 俺たちは荷物もそこそこに出発した。




「ここだ」

 初級ダンジョンの近くにある洞穴へたどり着く。一週目では岩で塞がれている場所だ。


「嫌な気配がしますね」

「うん。怖い」

 二人は洞穴から湧き出る不穏な空気に圧倒される。


 当然だ。本来ならレベル60以上、魔王を倒した後で挑むダンジョンだ。


「俺が付いている」

 笑いかけると、二人も笑う。


「目標階層は地下100階、そこまで行けば、地上へ戻ることができる」

 神隠しダンジョンは地下100ごとに地上へ戻れるイベントが発生する。

 地下100階を突破できる頃には、二人ともレベル300は超えている! それだけあれば、確実にカズヨシに勝てる!


「俺たちなら必ず突破できる! なぜなら!」


「世界最強だから」

「ですね」

 二人にセリフを取られた! しかもクスクス笑ってる!

 めっちゃ恥ずかしい!


「行くぞ!」

 だが気合が入った!

 勇気を振り絞って、二人とともに洞穴へ入る!

 三メートルも進むと突然視界が歪む! ワープトラップだ!


「二人とも手を放すな!」

 二人の体を抱きしめる! 二人も俺の体を抱きしめる!


「絶対に勝ってやる! 俺は世界最強だ!」

 俺たちは神隠しダンジョンへワープした!




 レイの掛け声とともに、三人は神隠しダンジョンへ飛ばされた。


 神隠しダンジョンへ潜ると、ローズとチュリップはメキメキと強くなった。

 神話のアイテムを手に入れた。神話のモンスターと仲良くなった。

 少しだけ、チュリップとローズが衝突した。

 しかし和解し、仲間として認め合った。

 愛があった。笑いがあった。

 巨大なドラゴンや昆虫と戦った。

 三人は命がけの冒険をした。

 三人はとても楽しい冒険をした。


 その詳細は別の機会に語るとする。




「戻ってきたぜ!」

 三日後、三人は無事、神隠しダンジョンから生還した。

 私たちにとっては三日だが、彼らにとっては720年ぶりの地上だ。


「地上ってこんなに平和なんだ! 敵の気配が全然しない!」

 ローズがグスグスと泣き出す。


「神よ! 私たちを地上へ導いてくださりありがとうございます!」

 チュリップは心の底から、初めて神に感謝する。


 三人の様子は三日前と全く変わっている。


 まず三人とも装備が違う。


 武器は暗黒石で作られたムラマサブレード、ヒュドラの髭で作られた杖、オリハルコンで作られたメイスとなっている。


 防具はオリハルコンの軽鎧、マンドラゴラの根で編み込まれたローブ、下級天使の正装となっている。


 装備以上に驚くのが、ローズとチュリップの表情だ。


 彼女たちは強敵や凶悪な罠を乗り越えたため、自信に満ち溢れている。もはや盗賊の一万や十万に囲まれても恐怖しない。


 また仲間と旅することで他者を受け入れる懐も手に入れた。心から笑い合う姿には余裕が満ちている。


 何より驚くのが、ローズとチュリップの色っぽさだ。彼女たちはたった三日で、幼虫から美しい蝶へ変貌した。


 二人とも、ダンジョンから脱出したばかりなのに、清潔な身なりをしている。薄化粧もしている。色気づいている。


 レイと一緒に居たことが原因であるのは明白だ。


 そんなレイは、二人を抱きしめて、嬉しそうに笑う。

 その手つきは愛する者を抱くようだ。

 



「今日は帰って寝よう」

 レイは大きく欠伸をする。さすがに疲れたようだ。


 明日、カズヨシを殺そう。畜生! 地上へ出たらまたあの屑を思い出さなくちゃならなくなった! いきなり嫌な気分になったぜ! ダンジョンに居たほうがずっと楽しかった!


 レイはギリギリと憤慨し、改めてカズヨシに殺意を滾らせる。その瞬間、突然眩暈を覚え、膝を付いた!


「レイ! 大丈夫!」

 ローズはレイの体を摩る。とても不安そうな表情だ。

 どんな時も余裕を見せるレイが、ギリギリと悔し気に歯を食いしばっていたからだ。


「ザークの意識が蘇ってきやがった!」

 少しずつだが体の自由が利かなくなる!


 カズヨシだ! あいつがバトルオリンピアに参戦を決めた! だからザークが目覚めた!


 まさか大会の二日前から影響が出るとは思わなかった! 当日だったら間に合ったのに!


「くそったれ! 計算外だ!」

 計画は破綻した! 爆弾やらカズヨシのおびき寄せなど、すべて俺が指揮を執る手はず! その俺が動けない!


 ローズとチュリップにすべて任せるか? ダメだ。破綻した計画を無理に行えば、必ず失敗する。


 それに二人は人間と殺し合ったことが無い。

 人間は力が弱くても知恵がある。カズヨシにも悪知恵がある。

 カズヨシが何をしてくるか分からない以上、二人にすべて任せるのは危険だ。


 大丈夫。こんなこともあろうかと、次の策がある!


「ローズ! チュリップ! プランCに変更だ!」

 プランB! ねぇよそんなもん! でもプランCはある!

 ローズとチュリップが強くなったからできる!


「神の秘宝で俺のプレイヤーキャラに憑依する!」

 カズヨシは一度逃げながら戻ってきた。あれだけの傷を負いながら戻ってきたということは、何か勝算がある。

 屑は負けると尻尾を巻いて逃げだすが、強くなると粋がってまた現れる。現実世界で散々学んだ。


 だからこそ、最強の姿に戻る必要がある! ナイトメア・オブ・ブラッド! 俺のキャラクターに!


「レイ。私たち、頑張るから」

「任せてください」

 チュリップとローズはレイに口づけをすると、急いでレイから離れた。


「……ん? ここはどこだ?」

 数分後、ザークが目覚める。


『頼んだぞ、ローズ、チュリップ』

 レイはザークの体に閉じ込められた。

大変だ! 俺はザークが目覚めたせいで動けなくなった! そこにカズヨシが姿を現す。

カズヨシの様子がおかしい? レベルアップしている! そうか! カズヨシもレベリングしていたんだ!

このままでは俺はザークもろとも殺される!

神の秘宝が効くか分からない! だけど祈るしかない!

ローズ! チュリップ! 頼む! 間に合ってくれ!


【次回】

「レイ復活! ナイトメア・オブ・ブラッド降臨!」

 ご期待ください。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ