失くした記憶と親子の約束
確かにお父様の言う通りだ
でも、私はハンターになって冒険したい、色々な物を見てみたい!
それに……あれ?何でだっけ?確か、もう一つ理由があったはずなのに、思い出せない
あんなに強く願っていたのに…
何故、私はあんなに……
そういえば、何で魔法を使える様になったんだっけ?
……分からない。心にポッカリと穴が開いた様だ。
ベッドの上で頭を悩ませる
コンコン
「メイ、ちょっといいか?」
また、何か言うつもりだろうか
『!はい』
扉の鍵を開くと、お父様が入って来た
「メイ……私は少し、考え直した」
怒られるとばかり思っていた私は、拍子抜けした
考え直した?何を?
「メイ、お前がハンターになる事を許可する」
『え!?』
「私にもそんな時期があった」
お父様が!?
「昔は私もハンターを志していた。アデルと結婚してからはそんな気持ちもなくなったが。若い頃に志した夢というのは特別輝いて見えるものだ。
メイがハンターになる事を許可したのは、夢を諦めてほしくないからだ」
『お、お父様ぁ』ポロポロ
「メイ!な、泣くな!ハンターになるんだろ!」
『っはい!』
「フッ…でも、3つ条件がある。
1つ目は、これから毎日、魔法と剣術、勉強に励む事。
2つ目は、フィールドで、1つも傷をつくらないで帰ってくる事。
3つ目は、期間は18歳まででハンターであることを誰にもバレない様にする事。
この3つの事ができるなら、ハンターになってもいい」
『私、頑張ります!』
やった!認めてもらえた!!
「腕の良い魔術師と剣士を雇おう。それと、家庭教師もだ。」
『はい』
これから忙しくなるぞ〜
「今日はもう寝なさい、おやすみ」
『おやすみなさい』
ベッドに潜るとすぐに眠ってしまった
△▷▽◁△▷▽◁△▷▽◁△▷▽◁△▷▽◁
___誰かの声が聞こえる
でも目の前は真っ暗だ
「桃香!目を開けてよ!」
「桃香…何で目を覚まさないんだ……」
桃香って誰だっけ?
何か大切な事を忘れている様な……
女の子と男の子の声。誰かは分からない
でも、なんだか懐かしい様な……
「桃香…桃香がこの病院に入ってから1ヶ月経ったんだよ」
「一緒に運ばれたお前のお母さんは3日前に亡くなった。
うちの母さんは、お前が目を覚ましたら、うちで引き取るって言ってた」
2人は泣いている
体は動かないが、手だけでも動かせないだろうか
手に強く力を入れると
ピクッ
「!今、手が動いた!」
「本当か!?」
2人が喜んでいる様な気がする
だんだん眠くなってきた
意識を失う瞬間、茶髪の女の子と黒髪の男の子が見えた気がした