日記
長編の方の続き、手をつけて無いのに短編書いてるやつ←
文章おかしいとこあるかもしれませんが、ご了承ください( ˘ω˘ ) スヤァ…
西暦20××年、夏の暑い日…生きている事に嫌気がさした君は、行くあての無い旅を続けていた。
歩き疲れた君は、少し休もうと思い…村外れの人気の無い古びた民家を訪れた。ドアを開け、一歩足を踏み入れると…ホコリが舞った。どうやら、ここ数年…誰もこの家を訪れていないようだ。
とりあえず、部屋の中央にある椅子に座ろうと思った君は、机の上に置いてある物に気付いた。
他の家具と比べ、あまりホコリを被っていない事を疑問に思った君は、手に取って見ることにした。触れてみると、それは粗い紙に書かれた少し色の褪せた手紙と、所々虫食い跡のある日記だった。この家に住んでいた人の物だろうか…?手紙にはこう書かれていた。
《もし…貴方が今生きていて、この日記を読んでいる頃には…私は、この世に居ないかもしれません。例え生きていても、もう…貴方はわからないでしょう。なので、貴方が私の前から居なくなってからの日々を記した日記を、ここに置いて行きます。》
少し丸みを帯びた文字から、この手紙を書いた人物は女性だろうと推測出来る。気が付くと日記を手に持っていた。自分宛ではないはずなのに酷く心が惹かれていた君は…日記の著者に心の中で謝りながら読む事にした。
《〇月〇日 貴方が私の前から居なくなって1日目、私は後悔しています。何故もっと早く―――てると言えなかったのだろう。》
《〇月△日 貴方が私の前から居なくなって2日目、村で楽しそうに微笑んでいるあの子らが――い。まるで――――を見ているようで。》
《〇月×日 貴方が私の前から居なくなって3日目、村の皆が貴方が居なくなって私がおかしくなった。そんな馬鹿な事を言ってきます。私は何もおかしくはない。私はただ貴方に――たいだけなのに。》
日記は毎日書かれていた。しかし、一部虫食いで読むことが出来ない。
《△月〇日 貴方が私の前から居なくなってどれほど経ったでしょう。昨夜、遅く出掛けたあの子が帰ってこないらしい。私は何も知らないのに、どうして?どうして村の人達は、私をあの目で見てくるの?私は…。》
《△月△日 風の噂で貴方が事故死したと聞きました。きっと、あの子が消えて混乱した村の人達の嘘。けれど…もし、本当に貴方が死んでしまったのなら、私が生きている意味が無くなってしまう…。そういえば、あの子が残していった物が今手元にあるの。それを――に…。大丈夫、全ては貴方の為に。》
《△月×日 貴方が居なくなり、今日…村に私の居場所がなくなりました。私が―――を使い、あの子を――に捧げたのだと。私は何もしていない。何も知らないのに。ただ、あの子から貰ったペンダントを持っていただけなのに、何故こんなにも…。》
ここから先は、書いては消してを繰り返したのだろう。ぐしゃぐしゃになっていて読むことが出来なかった。諦めて机に置こうとした君は気付いた。日記の後ろの方に折り目がついていることに。恐る恐るそのページを開いてみると…。
《―――貴方へ ごめんなさい。日記…途中だったのに書くのを辞めてしまって。私…ね?明日、あの子を――した―で火――にされてしまうの。貴方に会えないまま――たくない…。でも、決まってしまった事だから変えられないの。だからね?また貴方に会えるまで私は――――を繰り返すから。その時、あの日に伝え損ねたことを全て伝えるね。 この星最後の魔法使いより》
瞬間、背筋にぞわっと悪寒が走った気がした君は、後ろを振り返ってみた。いつからそこに居たのだろう…女性が居た。年齢は20代後半ぐらいだろうか?髪は黒のグラデーションで、瞳の色は深い蒼、服装は…マントを羽織っていてあまりわからない。けれど、君は彼女を知っているような気がする。何故だろう?不思議そうな顔をした君に、女性は言った。
「あぁ…ようやく貴方に会えたのね。長い…長い旅だったわ。」
微笑みながら突然泣き出した女性に君が驚いていると、
「ごめんなさい、今の貴方は私の事なんて知らないでしょう。けれど、私は貴方の前世を知っています。」
もしかして…と思った君は聞いてみる「この日記を書いた人ですか」と。
「はい、その日記は私が書きました。所々虫食い跡があって読めなかったと思います。だから、全て話します。」
~数時間後~
この日記の著者であるこの女性…マリーが語ってくれた話を簡単にまとめると、数百年前この村でマリーとルク(君の前世)が出会った。友のように仲が良かったらしい。しかし、ある日ルクが突然居なくなったそうだ。家出をしただけだと言われたり、神隠しにあったと言われたりしていたが、結局理由はわからなかったそうだ。
その後、日記に書いてあるような日々を過ごしていたが、1人の女性が病死。マリーはその女性に死んだ事を誰にも伝えないでと。困ったマリーは、ある魔術を使う事にした。それは…記憶を持ったまま何度も人として転生する魔術。数百年前のマリーは火炙りで亡くなったが、今も生きているのは輪廻転生してきたからだという。そして、ルクの生まれ変わりが日記を読みに来てくれるまでずっと待っていたそうだ。
何度も生まれ変わってまで一体何を伝えようとしたのだろう?その疑問を口に出す前にマリーは言った。
「私、日記にも書いた通り、貴方の前世に伝え損ねたことを全て伝える為だけに今まで何度も生まれ変わってきました。貴方はそんな事の為に??って思うかもしれないけれど、大事な事だから…」
頬を紅く染めながらマリーは続ける。
「ずっと、ずっと貴方の事が好きでした!!貴方が私に初めて声をかけてくれたその日から今まで…ずっと!!」
告白されているのは自分であって自分ではない。複雑な心境の君は、そのままマリーの告白を聞き続ける。
「私が辛くて苦しい時も、悲しくて泣いていた時も、寂しい時も、慰めてくれてありがとう。村の人達が私の事を魔女だって言って蔑んだりしてきたのに、ずっとそのままの貴方で居てくれてありがとう。たまに歌ってくれてた声も大好きだったよ。でもね、私が一番好きだったのは…夕陽を見て、儚く笑いながら頭を撫でてくれた事でした。私…ルクに恋をして良かった。ごめんね、返事はいらないから。」
そう言って立ち去ろうとするマリーに何か声をかけようと思ったが、自分じゃない自分に告白された時、どう返事したら良いのだろうか…?気付いたら、
「好きになってくれてありがとう。でも、遅すぎだよ。マリー。僕達両思いだったのに。」
勝手に口が動いていた。君の発言を聞いたマリーが一瞬驚いた顔をしていたが、そのままこちらに戻ってきて抱きしめられた。耳元で、
「ありがとう、君。貴方のおかげでこの世の未練は無くなりました。無事旅立てます。だから、最後に君へ祝福を授けます。」
額に何かが触れたと思ったら、目の前から何もかもが消えていた。そう…古びた民家すらも無くなっていた。まるで、最初からそこには何も無かったかのように。
後日、家に帰った君は…元々あの周辺に村など無かったことを知った。では、あの日見た村や古びた民家の中で出会ったマリーは一体なんだったのか。夏が見せた幻だったのか。家族の呼ぶ声がする。どうやら君宛にハガキが届いたらしい。差出人の名前は…。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。この小説は知人の為に書いたものなので、もしかしたら消すかもしれません。
本当は魔法使いから刺されてバッドエンドにしようかなと少し思ってたけど、ハッピーエンドがいいと言われたため、ハッピーエンド?にしました。