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太陽

作者: 平山芙蓉
掲載日:2017/09/12

教会の鐘が鳴ったら飛び降りようと決めてから、一時間ほど経った。

今日はいつにも増して寒く、マンションの屋上ということもあって風も強いので、少し怖気づいてしまったみたいだ。全く私は最後まで情けない。

転落防止用の柵は私の胸くらいの高さで、乗り越えるのは安易だろう。 でも、ここまで来ておいて昔観たホラー映画とかサスペンス映画とかの、ビルから落ちるシーンがフラッシュバックしてしまう。

こんなことなら遺書なんて書くんじゃなかった。

私は風が揺らすスカートを握りしめて、今まで嫌だったことを必死に思い出した。友人から容姿で笑われたこと、父からの性的な暴力、デマの拡散。イジメ相談のフリーダイヤルに電話をかけたこともあったけど、生きていればいいこともあるの一点張りだった。そして私は、誰も私を理解してくれることはないということを悟った。

だから、今日は私らしい格好で、私らしい惨めで不要な人間らしい最後を飾ろうと決めたのだ。

急に空が明るくなった。

雪が降ってきているのに暖かな日が差してきている。アニメの演出のようだ。

強く握りしめていたスカートをもう一度風に靡かせると、いつの間にか私は柵を乗り越えていた。そして、手が届くはずもない光に触れた感じがしたとき、あるはずもない教会の鐘の音が聞こえてきた。

そのまま私は、重力を感じることなく、浮遊していた。


「さて、続いてのニュースです。昨日夕方、市内のマンションの屋上で飛び降り自殺がありました。亡くなったのは、N高校に通う男子高校生で、警察は男子高校生の周辺などを調べる方針です。さあ、続いてのコーナーは、冬の忘年会シーズンに持ってこいの人気店の紹介です!見てくださいこの…」


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