初めてのお手伝い2
この町、王都ハルヴィースはいつも賑やかだ。物を売る者、それを買う者、雑談をして笑いあう者良くも悪くもすごく騒がしい。
「騒がしい」
エメラルド色のくしゃくしゃの髪一本だけはねたくせ毛白いTシャツにジーンズ腰にカードケースよりひと回り大きいケースをつけた俺の名前はクライス・トラトス。警備員をやってる。どこのだって?自宅だよ言わせんな恥ずかしい。つまりニートだ。ニートの俺がなぜ外に出ているかというと俺の可愛い妹におつかいがてら夕食の食材を買ってこいと言われたのだ。
「それにしても騒がしい」
普段あまり外にでないぶん人ごみとかこういう喧噪にはあまり慣れていないのだ。正直とても疲れる。
「早いとこ頼まれたものを買って帰ろう」
妹からもらったメモを見ながら店を転々と回って食材を買っていく。すると街角で紙を配り何か大声でしゃべっている女の人がいた。意外と結構綺麗な人だった黒く長いポニーテールで何故かメイド服だった。見た目の割に少し無理がある気がする。しかし胸が大きい。何を言っているのか気になった別に胸が大きいから気になったのではない。ただの興味だ。立ち止まって耳を傾けてみると何かの勧誘であることが分かった。
「お手伝い屋をお手伝いしてくれる優しい人はいませんかー?困っている人をお手伝いする仕事やってみたいというひとはいませんかー?」
お手伝い屋をお手伝いしてほしいという胡散臭い勧誘であった。
「あんなもの関わったらろくなことがない。無視するのが一番!」
そう思ってまた歩き出そうとして前を向こうとしたらこちらに気づいたのか女の人がこっち見た、目が合った。急に笑顔になった。こっちに走って来る。
「やっべ!」
急いで走り出さんばかりの勢いで早足に歩いていく。
「おーい」
知らん知らんこういうときは絶対相手にしてはいけない。俺の危険探知センサーびんびん反応している。
「おーい」
知らん。
「おーいってばー」
そういうと肩を掴まれた。
「な、なんすか?」
「今こっちみてたでしょ?」
「い、いえまったく」
「なになにあたしに見惚れちゃった?うりうり」
近づいて前のめりによって来る。近い近い。
「あ、あの近いです」
後ずさりながら言う。
「ごめんごめん今時間ある?」
「い、いやあの今急いでるんで」
食材を入れた袋を見せながら言う。
「えーいいでしょちょっとだけら・・・ね」
美人な人に言い寄られて悪い気はしない。しかしそんなハニートラップ今更引っかかったりしない。こいうときはしっかりと断ることが大事なのだ。
「ごめんなさいほんとにちょあれなんで」
「いいからこい!」
手を掴んでくる。おかしいさっきと全くキャラが違う。
「やめてください!」
すると飛んできた。なにがってグーが顔をかすった。
「当てねば分からんか?」
「でも本当にあれなんで」
「そうか、なら仕方がない」
「何でしょう?・・ぐはっ!」
ガチで飛んできた。腹パンしてきた。お腹を押さえていると二発目が来た。そのまま視界が暗転する。