表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
17歳と神殺し  作者: 彼岸堂
第三章 彼女達を
10/24



 いざ話そうと思うと緊張する。

 だって――――何て言えばいい?


 自分が死んだ後の言葉なんて――

 そんなの、普通思いつくものだろうか。



 でも、それでも――残さなければならない。

 それが、私の生きた意味。

 そして、ここまで来た答えになるのだから。



「――――よし、整った。じゃあ始めるとしよう」


























  * * *








「――本当にいいんだな?」


 それが、私からの最終確認だった。

 ただそれは、場の空気によってほとんど無意識に発せられたものであり、私自身がそれにどう反応してもらいたかったのかは、正直わからない。

 とにかく言えることは――

 ツグネも、ハヅミも、藍雪(らんせつ)組の皆も。

 誰も、この場から去ろうとするものはいなかったということだ。


「わかった。じゃあ、行こう」


 私達は、戦闘式服(しきふく)の上に飛空礼装(フェザー)を纏った状態で、戦術院(せんじゅついん)の最南に位置する灯りの点いていない第2ハンガーに集まっていた。

 第1ハンガーと比べてその大きさは半分以下だが、ここにも戦術院の所有する空船が多数格納されており、使用頻度は高い。

 だが、時刻は深夜。

 今夜、このハンガーから機体が出る予定はない。

 故に、当然人気はなく、灯火される予定もない。

 空船が規則正しく並んで眠るこの場所は、昼間のそれとかけ離れた静寂を孕んでいる。

 ……私達は、明らかにこの場にいるのがおかしい存在であった。

 当然だ。

 だって私達はここに、予め輸送機の中に隠しておいた飛空礼装(フェザー)を回収――要は強奪――しに来たのだから。

 幾つもの許可を経てようやく使用できる最上位礼装を、無許可で、しかも盗み出す。

 言い逃れのしようがない反逆行為。

 だがそれぐらいしなければならない理由がある。

 私達はもう覚悟を決めたのだ。

 ハンガーから出た私達は、海岸に面した戦術院の南端へと、人目を避けつつ走って移動する。

 院内ではそろそろ誰かが違和感に気づき始める頃だろう。


「級長格が三人もいて、飛空礼装(フェザー)を奪い取って、無許可出撃……捕まったら懲罰房ですら生ぬるいレベルね」


 隣を走るツグネは、開き直ってしまったせいか、笑みすら浮かべている。


「地獄まで来てくれるんでしょ?」


 だから、私も軽口を叩く。


「地獄ですめばいいけど」


 全くもって、その通りだ。

 何せこれから私達は、()()()()()()()()()()()()()()()()を、暴こうとしているのだから。

 むしろ、地獄程度ですむような秘密であって欲しくない。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ