出逢い
俺は強く握りしめた拳を構えた。
小学生の頃から、中学を卒業するまで護身術を兼ねてボクシングをやっていた俺は拳を構え、リズムを取り始めた。
相手の攻撃を一撃でもくらえば間違いなく終わりだ。
攻撃をよけつつ隙を見て仕掛ける。
人間に類似した身体から脳を揺らせば逃げる時間くらい稼げるだろうと予想した。
狙うはカウンター。
それも己の全身全霊をかけた一発をお見舞いしてやる!
頭の中でシュミレーションをしていると少し離れたところから女性の悲鳴が聞こえた。
隙を作らず一瞬、視線を悲鳴が聞こえた方向に向けると、そこには牛の怪物に首から胴にかけて噛みつかれた女性の姿が見えた。
おびただしい血が流れてる。。。
落ち着け。。。いま俺が行っても助けられない。。
俺は非情になることに徹した。
それでも足の震えは止まらない。
呼吸もどんどん乱れていく。
そのとき、目の前の牛の怪物が振り上げていた拳を勢いよく振り下ろした。
やばい!
俺はフルスピードで紙一重で振り下ろされた拳をかわした。
相手の拳が足元のコンクリートを陥没させ、抉る。
一瞬おれは怯んだが、すぐに気持ちを切り替え左足に全体重を乗せ、右ストレートを相手の頭目掛けて放った。
俺の右ストレートが相手の頭にヒットすると鈍い音が身体の中で響いた。
「ぐぁあぁ‼︎」
牛の怪物の皮膚は想像よりはるかに硬く、俺の拳が負けた。
骨の砕けた音がした。
時間差でくる激痛。
それでも俺は歯を食いしばり、痛みを堪えながら左手を強く握りしめ左フックを打とうとした。
しかし、相手は何事もなかったように左手で俺の右肩を掴み、力を入れてきた。
肩の骨が砕けそうだ。。。
激痛で身動きが取れなくなった俺は必死に、肩を握り潰さんとする手から逃れようとするがびくともしない。
次第に身体から血の気が引いていくのがわかった。
だめだ、意識が遠くなってきやがった。。。
ちくしょう。。。
「間一髪だな」
低い男性の声が聞こえた気がしたが俺はそこで意識を失った。
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