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たたかいはおわらなかった

 終わった。終わった。悲しみと、高ぶりと、財布の軽さを感じながら、何かもういいやこういうお店って思いと共に帰路についた。未だ街はわちゃわちゃしてたし、盛り上がり足りない人たちが闊歩していたが、下半身の不完全燃焼感とは裏腹に、頭は冴えていた、いや冷めていた。すっきりしてないのにすっきりしてたんだよ。これが悟りの境地。

 どうだった?そうね。強そうな、人だったよ。まじでこんな感想を口にしてた。だってさぁ、他に言うことないじゃん。あとさ、出せなかったよ。そうかぁ。王子の、寝ぼけ気味の、そっけない態度から優しさを感じてしまうほどに、なんかもう消耗してたんだ。肝心なやつは出してないのに、精根尽き果ててるってのはさ、駄目だね。

 食われるかと思ったのに食われなかったよははは、なんて、割と渾身の自虐をかますも王子はスルー。自分のところに来た嬢について教えてくれた。いいねその無関心な感じ。やさしいなぁ。なんでこれで彼女いねぇんだろうね。はっは。

 王子の方の嬢は、グラディエーターじゃなかったらしい。30歳くらいの、かわいい系のお姉さんで、胸はそんなに大きく無かったって。ベットでやっぱり巨乳希望で行ったほうがよかったかもしれない。それなら僕は謝罪エンドなんてまっこと無駄な終わりを迎える事は無かっただろう。無かったはずさ。そうさ。うん。

 どうする?もう一軒いく?なんて誘ってくる王子。いや明日仕事あるんでしょうよ。そうだね。だからさ、家に送ってくれたらさ、多分まだ開いてるから、一人でもう一軒行ったら?ご冗談でしょう王子、おふざけが過ぎますぞ。あんな経験の後に、もう一軒なんて行く気起きるわけ無いじゃん。

 で、起きたんだよね、行く気。コインパーキングから出て、王子を送っている最中に、他にいい店あるんよと、今更ながら言い出した王子の言葉にね。その時に行った店がソープヘルスで、本番無しって事を知ったのよ。それを聞いて思ったね。流石に、本番ありなら、どうにか出せるんじゃないかなって。

 その気になったら、行くしかないでしょ。財布にはまだ若干の余裕があり、明日は休み、次は一人でのチャレンジ。12時に閉まっちゃうから、急いだよね。まっててよ泡のお姫様。魔法が解ける前に、お金持っていくからね!

 

 

 

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