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第2地区大会ー前日〜高学年リレー予選ー

第2地区大会を前日に控えた今日は軽い練習をして明日に備える。

「明日は県大会に全員行くぞ!」

顧問の橋本が終わりの挨拶の時にそう言うと各自ダウンをして下校していった。

明日の大会に出場するのが

1年 200m 堀田

400m 赤橋

2年 100m 橘 、早崎

200m 早崎

1500m 落合

3年 100m 桂木、 早野

200m 桂木、早野、柴田

400m 堂島

3000m 後藤

がトラックで出場するメンバーだ。

そして、1.2年生で組まれる低学年リレー、全学年で組まれる高学年リレーが残っている。

低学年リレーは48.21で、このタイムだと突破は出来るだろうとのことだった。

高学年リレーは俺と優の間がいかに上手くバトンが渡るかにかかっている。

祝日明けのタイムトライアルでは45.32と県大会でギリギリ通用するかもとの話だった。

俺が家に帰ると午後7時を過ぎていた。

ご飯を食べる前に風呂に入ると疲れが出たのか15分ほどうつらうつらとしていた。

のぼせてきたので身体を洗うと風呂を出てご飯を食べた。

母さんは今日は仕事のようで作り置きされた肉じゃがと貝の味噌汁だった。

自分の部屋へと戻ると、ベットに飛び込みそのまま眠ってしまった。


いよいよ第2地区大会の日になった。

俺は8時に競技場前に着き全員集まるのを待っていた。5分ほどして優も自転車でやってきた。

18の市町村からなるこの県は県大会までに2回、地区大会が行われる。

1回目は3つのブロックに分かれて行われ、次に2つのブロックに分かれた大会、そして県大会だ。

前回よりも人数が増えた競技場は活気があり、賑わっている。

昨夜、10時間近く寝続けた俺は身体から疲れが取れてすこぶる調子が良かった。

「調子良さそうだな」

桂木部長が優と話していた俺に話しかけてきた。

「ぼちぼちですね」

「なら大丈夫そうだな、初めてだけどお前と早崎は凄い奴だから上手くいくさ」

「部長!俺に期待なんかしないでくださいよー!?」

「期待してるぞ!優!」

俺は困った顔をした優にニヤリとする。

優もニヤリとすると2人で笑いあった。

競技場が開き、先に待っていた顧問の車からミニハードルやマット、テントを持っていくと決められた場所にセットしてアップを開始した。

ダッシュの練習をしていると橋本顧問にリレーメンバーが集められた。

「2組4レーンに決まった。まぁまぁいい組とレーンだからタイムは出ると思うから各自バトンは合わせておけよ」

一人一人の顔を見ながら橋本顧問は続ける。

「で、県大会に行くためには6校までに入る必要があるわけだが」


言葉に沈黙が流れる。


「緑山、南部が43秒台、平松、本宮

、東村岡が44秒台、八川、田畑、山王、西平が45秒台だ。

最初の5つはまず県大会に行くだろうが....。

東村岡中学校は44.82だが上手くバトンが渡れば競えるはずだから」

「そこで勝てばいいんですね」

桂木部長が話を引き取り続けた。

「そういうことだ、予選は5組だから1着+3だからな!1位で帰って来いよ」

そう言うと橋本顧問は話を終えた。


9時過ぎになると開会式が行われて前回優勝校の選手宣誓などをテント前から聞いていた 。開会式が終了するといよいよ種目が始まる。高学年リレーからだ。

「平松、山王、西平中学校が2組に集まるとは運がいいのか悪いのか」

橋本顧問はぼやきながら話を続ける。

「俺は緑山や南光とも競えると思ってるからな、1位で帰って来いよ」

補欠も含めたリレーメンバーで円陣を組むと桂木部長が言った。

「あとは勝つだけだ!いくぞ!」

「「「おう」」」

全員がそれぞれの位置に向かった。

1組目がセットしてスタートの合図を待つ。

6レーンに南光中学校がいる。

「セット」

スターティングブロックに脚をのせたまま腰を上げる。

短い沈黙の後に発砲音が鳴り響き、1組目が走り出した。

俺は4レーンに置かれたスターティングブロックに近寄り合わせると待機線で指示を待つ。心臓が高鳴り、耳の奥にまでその音が聞こえてくるようなほどだ。

1組目が全校ゴールしたようだ。

会場から拍手があがっている。

タイムが気になるがそれを見ている暇なく俺らの番になる。

「On your marks」

待機線からスターティングブロックへと向かい脚をのせるとしゃがんだ。

「Set」

足を伸ばして静止する。

時間が一瞬止まったようだ。

意識がどんどん耳へと集中していき、限界まで達したタイミングで発砲音が聞こえた。

手に、腕に、膝に足先までもが速く走るために動き出す。

スタート直後に5レーンを抜き6レーンと並ぶ。わずかに7レーンの隣に並びかける。

6レーンの奴が1歩速く前に居る。

カーブを抜け切る手前で優の姿が見えてきた。

優はスタートするチェックマークを俺が通過する瞬間に走り出した。

「はい!」

優が手を後ろに差し出す。

優の手の中に押し込むようにバトンを渡す。

優がバトンを握って直線を飛ばしていく。

物凄い速さで背中が小さくなっていった。

第3走者に渡り、第4走者へとバトンが渡ったようだ。競技場の反対側で、砲丸や円盤を投げる器具があるためはっきりとは見えない。

最初に見えたのは6レーンの平松中学校だ。

競うように桂木部長の姿が見える。

50m過ぎで並ぶ。まだ2位だ。

ゴール少し前で桂木部長が半身前に出ている。

ゴール直前で相手がスピードを緩めてゴールしたのを見た。

予選は1位通過だ。


テントに戻ると競技前の人たちやテントに近かった優が待っていた。

「お疲れ〜」

色々な人から声をかけられつつ優のところへ行くと

「お前調子がいいからって速すぎだべ」

と笑われた。

「そんなに速くなかったし」

と言い返すと

「だって普段よりも絶対に詰まってたし」

とニヤリとしながら言った。


その後タイムを見に行くと

43.88 南部中学校

44.13 緑山中学校

44.58 八川中学校

と3番目のタイムで決勝へと進んだ。

田畑中学校を除いた決勝に進むと予想された8校でのリレーが決定した。

低学年リレーも順調に47秒台をマークして決勝に進んだ。

次は2年生の100mが待っていた。

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